35話: 魅夜 と 毬愛(3)
翌日の学校……
今日の授業は全て終わり、
あと帰るだけ、という段になって……
「おい、魅夜?」
光治は、教室の入り口に立って、
さっきから、じっと教室の中を見つめている魅夜に声をかけた。
すると……
「ごめん、コウくん!
やっぱりちょっと待ってて?」
魅夜が手の平を合わせ、拝むようにして光治にそう言った。
「毬愛に用なのか?」
光治が当たりをつけてそう言うと、
魅夜は、ぱあーっと明るい笑顔で頷いた。
「うん! すぐ終わるから!」
「何か嬉しそうだな?」
「や、だって! 私達、夫婦みたいに
以心伝心なんだなって思って!」
「バ、バカ! 恥ずかしいこと言うなよ!?」
……
今日、光治と魅夜は一緒に帰ることになっていた。
まあ、一緒に帰ると言っても、
家に直で帰れる光治と、駅へ向かう魅夜では
行く方向が違うので、途中までしか一緒ではないのだが……
それでも、二人にとっては、
二人で一緒に居られる、大切な時間だった……
そんな大切な時間を後回しにしてまで、
魅夜は、毬愛に何を伝えたいのか……?
いや、彼女にはどうしても、
確かめたいことがあったのだ……
……
「ねえ、毬愛……?
何か隠しているでしょ?」
今日の当番で掃除をしている毬愛に向かって、
魅夜は、開口一番、そう尋ねた。
「ぶほっ!?」
突然現れた魅夜に、突然そんなことを言われ、
完全に虚をつかれた毬愛は、思いっきり吹き出した……!
「きったないなあ!
ツバ飛ばさないでよ!?」
「ご、ごめんなさい!
わ、わたくしとしたことが……!?」
魅夜が、唾のかかったところをハンカチで払うと、
毬愛は、慌てて謝罪の言葉を述べる……
「でも、その慌てっぷり……?
やっぱり、何か隠しているんだ……?」
「なななな、何のこここここことでしょおか!?」
「あのさ、それ、真面目に隠しているつもり……?」
「へ……?」
そんな毬愛を見て、魅夜は、思わずため息が出てしまう……
魅夜は、肩をすくめて見せると、
やれやれ、といった感じで、毬愛に言い始める。
「そもそも、今日の毬愛、
明らかに態度おかしいじゃない?」
「そそそそ、そうでしょおか……?」
「な~んか、私がコウくんと話していても
いつもみたいに割って入って来ないし……
というか、コウくんを避けてるような素振りしてるし……
挙句は、いつも三人で帰っていたのに、
今日は、私とコウくんの二人で帰らしてくれるし……!
絶対、何か隠しているでしょ?」
魅夜は、腰に手をあてると、
毬愛を問い詰めるように言った……
図星をつかれて、毬愛は……
「そそそ、そんなことにゃいでしゅ……!」
思わず、噛んでしまった……!?
「ぷっ! 何それ!」
吹き出して笑う魅夜……
毬愛は、顔を真っ赤にして抗議する!
「し、舌かんにゃっただけでしゅ! あ、また……」
そんな毬愛を見て、魅夜は、また大笑いして……
「毬愛って、結構面白いよね!」
「へ?」
「いやね、私が勝手に思ってたんだけど……
お金持ちのお嬢様って、口を開けば嫌味ばかりで
面白いことでも『下品ねえ』とか言って
くすりとも笑わないものかと思っててね……」
しかも、魅夜の家は、毬愛の家に、代々恨みをもっているものだから、
魅夜は、子供の頃から、陣風家の嫌な噂ばかり聞いていたのだ……
「でも、毬愛は、そうじゃないよね……!
人に優しいし、面白いことには、くすくす笑うし……!
何より、フェアだもの!
コウくんのことに関して、卑怯なことをしないのが
すごく好感もてる……!
そもそも、毬愛のお陰で、私、コウくんと同じ学校に
通えているんだもの! 毬愛が誠実なお陰で!」
「そう……ですか」
フェア……
卑怯なことをしない……
誠実……
魅夜の口から、そんな言葉が飛び出す度に、
毬愛の心がズキッと痛んだ……
「毬愛のお陰で、私、お嬢様への見方が変わった……!
私、毬愛と友達になれて本当によかったと思う!」
そう言って、魅夜は、
嬉しそうに、毬愛の手を両手で握った……
「お友達……」
毬愛は、魅夜が自分のことを
友達だと言ってくれたことが嬉しい半面……
これから、その友達を裏切る行為をするのだと思うと、
心に何か、トゲのようなものがチクリと刺さるように感じた……
「あ、言っとくけど!
毬愛が、恋のライバルっていうのは変わらないし、
私、絶対負けないから!」
「み、魅夜様……
というか、そんなこと、まだ仰っているのですか?
わ、わたくしは……光治様のことは別に……」
「はい、嘘おつ!」
「み、魅夜様……?」
「お嬢様は、嘘が下手でございますね?
毬愛、素直になろうよ?」
魅夜はこう思う……
毬愛の目を見ていればわかるのだ……
光治を見る時だけ、毬愛の目は、ときめいていた……
あれは、恋をする乙女のもの……
光治に恋をしている魅夜だからこそ、それがわかった……
だが、何か抵抗があるのか、
光治のことを見つめては、目を逸らして……?
何かに遠慮……いや?
自分の気持ちに気付かないフリをしている……
そういう印象だった……
「ま、いいや……
はい、話はお終い!
私は、コウくんと帰るね?
二人でラブラブで下校するの!」
にこにこと笑う魅夜を見て、
毬愛もつられたように微笑む……弱々しくではあるが……
「お幸せに……」
そんな毬愛を見ながら、魅夜は苦笑する。
(ライバルに塩を送るとか……何やってるんだろね、私は……)
魅夜は、『じゃあね!』と一言言うと、
光治のところへ戻って行った……
……
毬愛は、魅夜の後ろ姿を見送りながら、
はあ……と溜め息をついて思うのだった。
(わたくし……やはり、魅夜様を裏切るわけには、いかないですわ……)
毬愛は、考える……
今日の、光治との二人だけで会う約束を早く済ませよう……
それが終わったら走ってでも早く帰ろう……
マシューやメイド達が期待しているような……
決して、【デート】などという、
友達を裏切る行為、してはいけない……!
そう心に誓うのだった……
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
光治と別れて帰宅した魅夜は、
ベッドに横たわると、
ポケットから白い布切れを取り出した……
光治の白ブリーフである……
魅夜は、それを両手で広げて、その存在を確認すると、
胸に抱きしめて、安堵の息を漏らした……
「よかった……! なくしてなかったあ!」
陣風の館で、ブリーフを取り上げられて以来、
家に帰っては、ブリーフをなくしていないことを確認するのが、
このところの、魅夜の日課となっていた……
そんなに大事なブリーフなら、持ち歩かなければいいのだが……
「だって、いつも持っていないと、
コウくんが私の側からいなくなってしまったみたいで
切なくなって来るんだもの……」
そんなわけで、彼女は四六時中、
肌身離さず、光治のブリーフを持ち歩いていたのだ……
それから魅夜は、ブリーフを鼻に近づけると、
胸いっぱいに深呼吸をする……
「ああ……コウくん……
うへへ……コウくんの匂いがする……」
魅夜はたまらなくなって、左手でパンツを鼻に抑えつけながら
右手をスカートの中に突っ込んで……
そこで、はっと目が覚める……!?
「いやいやいや、何やってるのよ、私……!?
いくら何でも最近、回数多すぎ……自重しようよ!?」
そう言って、右手を離すと
それで、ばたんとシーツを叩いた。
「ていうか、最低だよね……私……
盗んだパンツでこんなことして……
コウくんに知られたら、絶対、軽蔑される……」
そう思うと、魅夜は涙が出て来るようだった……
……
『魅夜……お前がこんな変態だとは思わなかったよ……
俺のパンツのにおいを嗅ぐとか最低だよ、お前!?』
『ち、違うの!? こ、これには事情があって……!?』
『どんな事情だよ!?
まさか、洗えているか、確認しただけだとでも言う気か!?
そんな見え透いた嘘つこうとして!?
ますます見損なったよ!』
『ま、待って! パンツなら返すから!
許して! 見捨てないで!?』
『いるかよ! そんな気持ちの悪いパンツ!
返されて誰がはくんだよ!?』
『ふふ、無様ね、魅夜様?』
『毬愛!?』
『光治様? そんな気持ちの悪い人は放っておいて
あちらで二人でチョメチョメを楽しみましょう?』
『そうだな、チョメチョメしようか……?
毬愛は、どっかの誰かさんと違って清楚でキレイだな……』
『待って!? コウくん!? 見捨てないで!?』
……
妄想だった……
「コウくん……コウくん……
切ないよ……寂しいよお……」
気が付くと、魅夜は、左手で
パンツを鼻に強く抑えつけるようにして
胸一杯に、光治の匂いを吸い込んでいた……
光治が近くにいてくれるような気がして来て、
次第に、落ち着きを取り戻す魅夜……
だが、落ち着いたら落ち着いたで、
今度は、光治のことが気になって来た……
「あーあ……コウくん、どうしてるのかなあ……?」
光治の様子を観察しようと、
小型ドローンの起動ボタンに触れようとして、指が止まる……
魅夜は、毬愛に
小型ドローンCOROちゃんの使用を
控えるよう言われていたからだ……
『殿方って、束縛してくる女性を
【重い女】などと仰って嫌うそうですよ?
光治様を心配なさる気持ちはわかりますが、
魅夜は少し過剰過ぎると思います……
そもそも、ドローンなど使うということは、
相手を信用していないということですわよ?』
毬愛の言っていた言葉を思い出し、
スマホを操作する手が止まる……
だが、それも一瞬のこと……
魅夜は、首を横に振ると……
「ご、ごめん! 毬愛!
この1回切りだから!」
そう言って、COROちゃんを起動させた……!
恋する乙女心は、止まらないのだ……!
だが……?
……
やがて、COROちゃんが
光治に密かに取りつけているGPSの情報を頼りに
光治を発見し……
「え……」
魅夜は驚愕する……
「コウくん!?
それに……陣風毬愛……!?
何やってるの……? 二人で……?」
何やら、二人で言っているが、
マイクを取りつけてないCOROちゃんからの映像では、
何を言っているのかわからなかった……
やがて、毬愛が恥ずかしそうに赤面しながら……
二人して、狭い路地裏に入って行った……?
COROちゃんで追跡しようにも、
プロペラが邪魔で、その狭い路地には入れないのだ……!?
「ね、ねえ……!
う、嘘……でしょ?」
急いで、ネットで周辺の地図を確認すると……
近くにラブなホテルがあることが判明した……
「ど、どういうこと……!?
ま、毬愛……あんた……!?」
魅夜は、次の瞬間には、部屋を飛び出し、
外へ出ようと、玄関へ向かっていた……!?
作者「以前お話ししていた
作者がやりたがっている、魅夜と毬愛の会話なんですが……」
せや姉「うん」
作者「このペースだと、50~60話ぐらいになりそうな予感……」
せや姉「またかい!? また伸びるのかい!?」
作者「しょうがないんだよ!?
この二人がなかなかそういう展開にいかないから!
作者だって困ってるの!」
せや姉「いや、これ書いてるの、作者であるあんたやからな?」
作者「いやあ、何か、魅夜と毬愛って
ホント作者の手を離れて、勝手に動くんですよ!?
もう作者である自分の思い通りにいかない! 何とかして!?」
せや姉「しらんがな」
作者「真面目な話をすると、作者の作文の書き方としては
まずキャラに言わせたい台詞、やらせたい行動を書いておいて
そこを膨らませて物語をつくっていくんだけど……
そのキャラに言わせたい台詞を考えている段階で……
『魅夜/毬愛はそんなこと言わない!』
ってなっちゃって、書きなおししまくるんですよ……」
せや姉「微妙にキモイ……」
作者「きもいって言うな!w」
作者「ちなみに、光治くんについては、
作者としては、もっとHで、キモくていいかなあ……などと思うのですが
そうすると、これはこれで
魅夜「コウくんはそんなことやらない!?」
毬愛「そんなこと仰らないですわ!?」
って、ごく一部の方の幻聴が聞こえて来るので
あまりキモイことやらせられないんですよねぇ……
おねショタ転生のヒロちゃんみたいにはいかないわ……」
せや姉「てか、幻聴聞こえるとか、作者の頭を疑うわ」
作者「ほっとけ」
作者「どんどんどん! ぱふっぱふぱふ!w」
せや姉「昭和SEやね」
作者「うっさいわ!w」
作者「PV3万5000アクセス達成! いやっほー!w」
作者「おめでとー!w」
作者「ありがとう!w」
せや姉「せやね」
作者「いやあ、完結ブーストのお陰で3万~3万5千間がすぐ終わりましたね!w」
作者「みなさん、ありがとうございます!w」
せや姉「せやね」
作者「ホ~ント、色々と辛いこともある中、
こうやってアクセス数があるのを見ることで、
作者がなろうで書くモチベーションを維持させてもらってますよ!w」
作者「実を言うと、ときどきねえ、泣きそうになる……
こんなに沢山の人に見てもらっているんだなあ……って!w
いやあ、公募の時なんて、誰も見ていないんじゃないかって中で
親が亡くなって……すごく辛かったから……
その時と比べると……
ホント、見てくれていることがわかるなろうは……ぐすっ」
ちくわ大明神「おいおい、こんなところで泣くなよ? まだまだ先は長いぞ?」
せや姉「せやで?」
作者「うん、わかってる!w
作者のなろう道は、これからだ!」
せや姉「おい、それ打ちきりフラグ!?」
作者・せや姉(ところで、あのちくわ大明神ってのは誰なんだろう……?)




