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 33話: もしや恋をしていませんカ?

 白を基調とした、優雅な部屋には、

 ピンと張りのある、

 それでいて軽やかに、風に溶け入るような

 柔らかな音色が鳴り響いていた……


 バイオリンの演奏である……


 バイオリンは様々な音色を奏でる……

 時には楽しげに……

 時には悲しげに……

 そして……


 狂おしいほどの激しい情動……

 それを彷彿とさせる速い曲調に変化し、

 聴いている者の心に訴えかけ……その魂を震わせる……!


 決して実ることを許されない【恋の曲】らしい……


 その曲を聴いているうちに……

 聴き手は、涙が自然と流れて来るのだ……


「おお……おお、これは……!?」



 そして、その感動は、演奏者も同じだった……


 そのバイオリンの演奏者……

 陣風毬愛は、心の底からバイオリンの演奏を楽しんでいた……


 楽しい演奏だ……!

 毬愛は、心の中でそう思う……


(こんなに楽しい気分で演奏をしたのは、

 お母様が生きていた頃以来ではないかしら……?)


 母親を亡くしてからというもの、

 毬愛の中に溜まりに溜まっていたものが、

 バイオリンの演奏によって、全て解放されていく感覚がした……!


 毬愛は、バイオリンの演奏をしながら、

 その激しく悲しい【恋の曲】に涙をし……

 そして、音色の中に身を投じていた……


 ……


 ……


 毬愛は、曲を終わりまでバイオリンを演奏すると、

 聴いていた人物に、頭を下げて……


「お粗末でした……」


 と一言挨拶をした。


 すぐに、その人物から拍手が起こる……!


「ブラーボ! ブラーボ!」


 パチパチという拍手と共に、

 男が大きな声でそう言った。


「マリア、素晴らしい演奏でしたネ!」


 片言の日本語で男は言った。

 紺色のスーツに赤いネクタイ姿で

 どこか気品のある初老の紳士だった……


 彼の名は、マシュー。

 毬愛のバイオリンの先生である。


 今日は、一週間に一度のバイオリンのレッスンの日だった。


「お褒めの言葉、ありがとうございます……マシュー先生!

 お世辞でも、先生に褒めていただくのは嬉しいですね」


 毬愛は、ニコニコと笑顔で言った。


 毬愛のバイオリンのレッスンは、

 本来なら毎週日曜に行うのだが、

 次の日曜には、毬愛は、光治と魅夜とで三人で出かけるため、

 急きょ、レッスン日をズラしてもらったのだ……


 そして毬愛が、謙遜の言葉を述べると、

 マシューは、人差し指を天に向かって軽く立て、

 それを左右に振りながら、こう言う……


「ノンノン、ワターシ、お世辞などいいませんヨ?

 正直者ですからネ!

 たとえ、マリアでも、下手なら下手と言いますカラ!」


 そう言って、マシューは、

 自分のネクタイを引っ張るマネをしておどけて見せた。


「まあ、それは怖いですね……ふふふ」


 毬愛は、口に手をあてると、

 本当に嬉しそうに笑った……


 マシューは、毬愛に対して、

 大袈裟なジェスチャーをしながら言う。


「その私が上手だと言うのデース、本物ですヨ!

 今日の音色には(つや)がありマース!」


 マシューは、興奮気味にそう言うと……


 ふと、あごに手を当てて、

 難しい顔をして考え始める……?


「マリア……もしや……?

 恋をしていませんカ?」


 マシューのその問いに、

 毬愛は首を傾げる……?


「恋……ですか?」


 そう言われても、毬愛は、ピンと来ない……?


 毬愛は、マシューが何故そんなことを言い出したのか、

 黙って考え始める……


 すると、マシューは、そんな毬愛に

 『マリアは真面目ですネ!』と言って、肩をすくませて見せてから

 こんなことを言うのだ。


「恋は、感情のままに感じるものデース!

 考えてしまったら、それは恋とは、少し違いマース!」


「でも、先生、仰っていることがよくわかりませんわ?

 恋と演奏と、どう関係するのでしょうか?」


 毬愛がそう言うと、

 マシューは微笑みながら、語り始める。


「演奏と言うものは、デリケートなのデース!

 演奏者の感情が音色に現れるものなのですヨ!

 つまり、ワターシが言いたいのは、

 マリア、恋をして、演奏に艶が出て来たデース!」


「はあ……そうでしょうか?」


 マシューにそんなことを言われても、

 毬愛はどうもピンと来ない……


「今までのマリアの演奏は、どこか機械的で、

 感情が込められていなかったデース!

 それが今日の演奏は、どうですカ!?

 まるで別人のように、情熱的で感情が込められていたデース!

 とても素晴らしかった!

 まるで私が恋をしたみたいに【恋の歌】を聴いていたヨ!」


「はあ……」


「いいですか、コレ重要なことデース!

 弾くだけの演奏なら、機械にやらせればいいデース!

 機械の方が人間よりずっと器用で上手デース!

 でも、音楽においは、機械は人間には勝てないデース!

 何故なら、人間にしか、曲に備わっている心を理解できないデース!

 だかーら、人間がわざわざ楽器で演奏するカラにはー!

 機械には真似できない、感情を込めて演奏するデース!」


 そんな風にマシューは長々と語っていたのだが、

 毬愛は、その話を聞きながらも、

 どこか、心ここにあらず、といった感じで

 別のことを考えていた……


(わたくしが……恋……ですって?)


 そんな指摘を誰かにされたのは、初めてだった……


 というか、どうも首を傾げてしまう……?

 恋をする相手もないのに、何が恋なのか……?


 そう思った瞬間、ふと……?


『毬愛……!』


 そう言って、毬愛の名前を呼んでいる光治の……

 その笑顔が、思い浮かんで来た……?


(え……な、何で……?)


 そうやって、光治のことを考えていると、

 思わず、胸が熱くなって来るような気がして……


 だが、毬愛は、心の中でそれを否定する……


(ち、違います……これは、だ、断じて恋などではないですわ……!)


 たしかに、毬愛は、

 光治と魅夜が仲良くしていると、

 自分で自分が狂ってるのが判るほどイライラもした……

 無意識のうちに、PCに向かって銃を乱射してしまったのだから

 それは疑いようもない。


 それに、転校して来た初日に、

 光治に『毬愛が美人過ぎるから』と言われた時、

 心がとても嬉しくなって、

 天にも昇る気持ちがした……


(で、でも! 違います! 断じて違いますわ!?)


 だけど、これは恋じゃない……

 恋であるわけがない……!?


(だって、恋愛って……

 もっとロマンチックなものですもの……!?)


 毬愛は、そんなことを考えながら、

 光治との最初の出会いを思い出していた……


 彼は、どういうわけか、

 毬愛に『好かれたくない』などと頑なに言っていた……?


 いや、それよりも……?



『俺はパンティ仮面! ただの変質者だ!』



 そんなことを言って、女もののパンツを頭に被っていたのだ……


 しかも、上半身裸!?


(あれはないですわ……そうですわよね、光治様?)


 それを思い出して、

 毬愛は、額に手をあてた……

 何だか、頭痛がして来るように思ったからだ。


(こんなもの、恋のわけがないですわ……)


 これが恋だとしたら、

 あの姿を見て、一目ぼれしたとでも言うのだろうか?

 ありえない……ありえな過ぎる……


 毬愛の思い描いていた、白馬の王子様が迎えに来るような話と

 あまりに違い過ぎる……


 全くロマンチックなどではない……!


 それなのに、毬愛がそんな人物に恋をする……?

 いや、絶対に違う……!?

 きっと、光治のことでドキドキとするのは、別の要因で……


 と、そんなことを考えていると……


「お嬢様……お電話がかかっております……」


 不意に、毬愛の考えを遮るようにして、

 メイドが声をかけて来た……?


「そうですか……

 すみませんが、マシュー先生?

 お電話に出ますので、お話は後ほど……」


「ハイ! 了解デース!」


 毬愛は、それから、楽器を簡単に手入れしてから、、

 電話の子機を持って来たメイドに話しかけた。


「誰からですの?」


「日吉光治様です……」


 メイドの返事に、毬愛は思わず吹き出しそうになる……!?


「そそそそ、そうですか……!?」


 ちょうど、さっき考えていた人物から電話がかかって来たと聞いて、

 わけもわからず、ドキドキとした……


 偶然には違いないが、どこかで話が聞かれていたんじゃないかと、

 キョロキョロと辺りを窺ってしまう……?


「お嬢様……?」


 メイドが不審そうな顔をするので、毬愛は咳払いをすると、

 毬愛は受話器をとり、【通話】のボタンを押して電話に出る。


「も、もしもし……? 光治様?

 お待たせ致しました。毬愛ですわ……?」


 毬愛が、緊張で少し上ずった声で言うと……?


「あ、毬愛……えーと……」


 光治が、何やら言いにくそうに

 返事をした……?


「あら、どうしました?」


「いやあ、ちょっと聞きたいことがあって……」


「な、何ですの……?

 と、というか、魅夜様じゃなくて、

 わたくしで、よろしいのですの?」


 光治の感じからして、何か、重大な発言だろうか?

 もしそうなら、魅夜を差し置いて、自分でいいのだろうか?

 毬愛はそう思い、配慮して、そう言ったのだが……?


「い、いや!? お前でいいんだ……!

 っていうか、むしろ、お前じゃないと困るんだ……!?

 み、魅夜になんて知られたら……!?」


 光治が慌てながら、そう言うので、

 毬愛は、何事かと思い、構えてしまう……!?


 むしろ、毬愛じゃないと困ると言うが、

 一体何だろう……?


 というか、まるでこれ……

 愛の告白の前のシーンみたいじゃないか……?


(あわ、あわわわ!? ど、どうしましょ?)


 毬愛の心臓の鼓動が途端に速くなった……!?


 だが、毬愛のことなど関係なしに、

 光治は口を開く……


「お、怒らないで聞いて欲しいんだが……」


 毬愛は、緊張のせいで、

 固唾を呑みこんで、受話器に耳を傾ける……!?


「お、お前の持っている……その……パ、【パンツ】に!

 ピ、ピンク色のウサギ模様のパンツって、あるか!?」


「はい……?」


 何言ってるんだ、この人は……?


 毬愛は、自分の中で高まっていた期待と不安が

 一気にしぼんでいくのを感じた……


 そして……


「あの、悪戯電話ですか? ふふふ……

 なら、切ってもいいですね?

 安心して下さい。

 魅夜様には、黙っていますから……」


 ちょっと泣きそうになる……

 何故、涙が溢れて来るのか、毬愛にはよくわからないが……


「ちょっと待て!?

 真剣な話なんだ!? これ!?」


 光治が真剣にそう言って、

 ついに毬愛の勘忍袋の緒が切れた……!


「どこがですか!?

 もう! 光治様ったら、会った時から

 パンツを頭に被ったりして、

 そうやって、わたくしにセクハラばかりして!?

 魅夜様でも怒りますよ、これは!?」


「い、いや、違う!?

 ホント、セクハラじゃないから、これ!?」


 電話の向こうで、光治が泣きそうな声で

 「頼む! 教えてくれ!」と言っている声が聞こえた……


 何だか、電話の前で懸命に

 土下座している光治の顔が想像できて……


「はぁ……まったく……

 もういいです……

 そういう下着は確かに持っていますわ……

 もう! 光治様の変態!」


 毬愛は、溜め息を吐きながら、

 そう答えた……


 だが……?


「そ、そうか……やっぱり……」


「やっぱり……?

 どういうことですの?」


 毬愛がそう尋ねると、

 光治は、深呼吸をして……?


 それから恐る恐るといった感じに話し始める……?


「初めに言っておくけど、俺も被害者だからな!?」


「だから、何なのですの?」


「入っていたんだ……」


「はい?」


「入っていたんだよ、俺の鞄にいつの間にか!?」


「え……」


 そこで毬愛は状況を整理する……


 パンツの具体的な柄を言い当て……

 そして『被害者』『鞄に入っていた』という発言……


 毬愛は、話の流れから、

 光治の言いたいことを、何となく把握した……


 まさか、そんなこと起こるはずがない……

 そう思いながら、光治の次の言葉を待った……


 だが、現実は非情である……


「俺の鞄にいつの間にか、入っていたんだ!

 お前のものと思われる、ピンク色のウサギ柄のパンツと、

 そのパンツに、お前の写真がクリップで留められていて!?」


 毬愛の頭の中が、一瞬真っ白になった……


 毬愛の予想は、当たっていたのだ……


「い や あ あ あ あ あ !?」


 毬愛は、顔を真っ赤にして、

 館中に響くような悲鳴を上げた!?


 今、光治は、どういうわけか、

 毬愛のパンツを所持しているのだ!?





「だ、大丈夫だ!?

 洗剤の匂いしかしなかったから、洗いたてだと思うぞ!?」


「嗅がないで下さいまし!?

 そういう話じゃございませんことよ!?」

作者「ぐすっ! えっぐ! えぐっ!」

せや姉「ど、どした!? 泣いたりして」

作者「つ、ついに氷結(アルコール度数5パーセント)を1杯のんだだけで

   酔ってしまうの当たり前になってもうた……! ええーん!」

せや姉「さよか」

作者「家の中だけど、歩くのすらフラフラするほど酔って……

   昔はこんなじゃなかったのに、スッカリ酒に弱くなって……

   歳とっちゃったなー……ぐすっ」

せや姉「いい大人がそれくらで泣くなや……

    ちなみに、昔はどれぐらい呑めたんや?」

作者「は、恥ずかしながら……

   20代の頃は……

   サワー系のドリンクを、ピッチャーで3杯呑んでも

   意識を辛うじて保っていられますた!」

せや姉「はあ!?」

せや姉「もしかして、めっちゃ強い!?」

作者「た、多分強い方だったと思う……」

作者「いや、うちの家系は酒に強いんですよ?

   作者の爺ちゃんなんて、一晩で酒樽一升のんだっていう伝説が

   あるぐらいで!」

せや姉「何やそれ!?」

作者「でも、それが……まさか氷結1缶だけで酔うなんて……

   うぅ……非常に悲しい!」

作者「うっ……あと……」

せや姉「あ……(察し」

作者「お酒にお腹をやられるのもダメージが大きくなって来たみたいで……

   ちょ、ちょっとトイレに行ってきまうす!」

せや姉「せやね」

作者「あーあ、これ、また、明日はパンツに茶色いのついてるな……」

せや姉「やから!? やめーや!?」

作者「お食事中の方、ごめんなさい……」



作者「どんどんどん! ぱふぱふっぱふぅ!」

作者「PV3万アクセス達成しました!w」

作者「おめでとー!w」

作者「ありがとー!w」

せや姉「せやね」

作者「さあて、ここで3万アクセス達成記念に

   何か語りたいところですが……ちょ、ちょっと

   ト、トイレ行きたいので、今日は見逃して下さい……」

せや姉「またか!?」

作者「も、もうお酒呑むのやめよう……」

せや姉「そう言いながら、しばらくしたら忘れて

    また呑み始めるんやろ?」

作者「せやね」

せや姉「おい……台詞……」


作者「そういうわけで、次は3万5000でお祝いしますね!w」

作者「それではまた~!」

せや姉「ほなね~!」

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