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 32話: 正妻の余裕?

 はじまりは、魅夜の一言だった。


「コウくん? 今度の日曜、どこか行こうよ!」


 魅夜は、にこにこと笑顔で光治のことを見つめ、

 元気いっぱいにそう言った。


 まあ、いわゆる、デートのお誘いである。


 魅夜の発言に、教室のクラスメイト達は『おおー!?』と

 歓声をあげて騒ぎ立てる……


 すぐに、光治達を取り囲むようにして

 オーディエンスが出来上がった!


「お、お前! 魅夜!?

 そういう発言は、時と場所を考えろよ!?」


 光治は、周りをキョロキョロと見回し、

 顔を赤らめながら、そう言ったが、

 魅夜はというと、

 散々同級生の女子達に、根掘り葉掘り光治との慣れそめを

 聞かれ慣れてしまったのか、

 周りの人間の反応など、全く気にしていなかった。


「ねえ、コウくぅ~ん? どこか行こうよお!」


 しかし……

 魅夜の問いに最初に応えたのは……


「いいですわねぇ?

 どこに行きましょうか?」


 どういうわけか、毬愛であった……?


「ええ? 何で毬愛が返事するの?」


 魅夜は、当然のように話に参加して来る毬愛に

 若干引いた様子で尋ねた。


 すると、毬愛は、

 魅夜のことを不思議そうに見つめながら、

 小首を傾げる。


「何か問題でも?

 楽しそうなので、わたくしも参加したいですわ」


「いやいやいや……」


 魅夜は、苦笑いを浮かべつつ、

 手をパタパタと横に振った。


「毬愛さん? 空気読もうよ?

 二人の邪魔しないでくれるかな?」


 にっこり微笑みながら、そう言った。


 魅夜は内心、図々しく話に割り込んで来る毬愛に

 少なからずイラだちを覚えるが、おくびにも出さない。

 光治が目の前にいるからだ……


 彼の前で、自分の醜い部分を曝け出すなんて愚行するわけがない。


 だが、魅夜の意図などまるで伝わってないかのように、

 毬愛は『ふふふ』と軽く笑うだけ。


「ダメですよ?

 わたくしには、貴女の出資者として、

 お二人の事の顛末を知る権利と責任がありますから……」


「は? 何その理屈……?」


 話にならないとばかりに、魅夜は

 少し強めに言ってみた……


 だが……


「あらあら? いいのですか?

 わたくしに逆らっても?」


 毬愛はそう言って、面白そうに微笑んだ。


「くっ! 卑怯だぞぉ……」


「ふふふ……」


 魅夜は、観念したような顔を見せ、

 ため息をひとつすると、

 光治に向かって、こんなことを言い出す……


「しょうがない……!

 コウくん、ごめん!

 毬愛も一緒になるけど、いい?」


 魅夜に問われて、

 それまで、ぽかーんと、女子二人のやりとりを眺めていた光治は、

 首を傾げながら、それに答える。


「いや、いいけど……

 え? なに? 今の何だったんだ?」


 光治がそう言うと、

 魅夜は、どこか面倒そうに……

 一方、毬愛は、笑みを浮かべた。


 そして、毬愛が説明し始める……


「いえ、魅夜さんの家の事情も絡むので、

 詳しいことは申し上げられないのですが、

 今回、魅夜さんが、この学校へ転校できたのは、

 我が陣風家が全面的にバックアップしたからですの」


 ……


 これは、光治は知らないことであるが、

 魅夜の月影家は、毬愛の陣風家に

 代々、復讐するチャンスを窺っていた……


 その復讐の取っ掛かりとして、

 月影家は、毬愛に魅夜を近づけようと

 あれこれ画策していたのだが……


 そこに渡りの船というべきか、陣風家の方から、

 毬愛と魅夜を、一緒の学校へ転校させないか

 という提案がなされたのだ……


 それは、毬愛の個人的な思惑と……

 陣風家としても、不登校気味であった毬愛が

 光治の中学へ、魅夜と一緒なら

 中学へちゃんと通うことを約束したことによる……


 陣風家からの、その提案に、

 月影家が飛びつかないわけがない……


 そもそも、魅夜が前の中学に通っていたのは、

 それが毬愛に近づくのに最適だと判断されたため。


 毬愛の学校は、学費の高いお嬢様学校であったため、

 毬愛の学校に魅夜が入学するのは無理だった。


 そこで、まず、魅夜を進学校に入学させ、

 そこから特待生という形で、毬愛の学校へ

 入学する予定だったのだ。


 それが、毬愛が公立の学校へ……

 しかも、魅夜と一緒に転校したいという話がやって来た……?

 月影家は、これを怪しいと思いながらも、

 飛びつかないわけにはいかなかったのだ……


 こうして、家族公認という形で

 魅夜と毬愛は、同じ学校の同じクラスに

 転校することになったのだ……


 ……


「ええ? そんなことになっていたのか!」


 月影家と陣風家の確執(正確には月影家の一方的な恨みだが)を包み隠し、

 『毬愛が無理を言って、魅夜と一緒に転校して来た』と言った説明に

 光治は驚いた。


「そうなの、コウくん……

 毬愛が説得してくれたから、私、

 この学校に転校できたんだよ?」


 魅夜はそう言いながら、

 毬愛に向かってウィンクをする……


『余計なことは言うなよ?』


 という合図である。


 毬愛は、それがわかったので、

 微笑みながら、小さく頷いた。


「ふふ、そうなのですの……

 わたくし、お二人とどうしても同じ学校に通いたくて……」


 毬愛がそう言っている横で、

 魅夜は、休日の予定を改めて考え、

 残念に思っていた……


(あーあ……コウくんと二人きりがよかったなあ……)


 魅夜は、心の中で

 密かにそんなことを考える……


 とはいえ、魅夜は、余裕であった……

 たとえ、毬愛がどんな邪魔をして来ても、

 多少、光治が毬愛とにこやかに会話してようと気にならない……


 そもそも毬愛は、魅夜と光治との仲を約束してくれたのだが……

 たとえ、それが嘘だったとしても、

 光治の心は既に、魅夜に向いていると

 魅夜は確信していた!


(だって、あそこまで言ってくれたんだもの!)


 魅夜は、にやにやと笑みを浮かべながら、

 光治のことを見つめる……



『お前の全部が好きなんだよ!』



 あの時……

 光治が言ってくれた言葉は、

 光治の愛情の深さを確信させるには十分なものだった……!


(毬愛がどうやったって、もう、コウくんは私のものだ!)


 魅夜は、光治と結ばれることを確信し、

 だからこそ、余裕でいられた……!


 光治が、毬愛と楽しく話そうと、

 ほんの少しぐらい身体が触れたぐらいで

 目くじらを立てるのはやめよう……


 だって、最後には絶対に、光治は魅夜のことを選んでくれる……!

 光治が魅夜のことを裏切ることはないのだ……!


 そう、彼女は確信していた……!



 だが、彼女は知らない……


 光治と、魅夜……

 二人が交わってしまうと……

 世界が崩壊してしまうことに……


 その絶望的に悲しい運命を……


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


 さて、その日の、教室移動の時だった。

 光治は、廊下で、ある少女とすれ違ったのだ……?


「え……?」


 その少女に、光治はびっくりし、

 目を見張った……!?


 少女は、流れるような銀髪に、

 赤い瞳をしていたからだ……?


 それはまるで……?

 光治の知っている、とある人物に容姿が似ていて……


(え……? ノルン……?)


 そう思った光治は、銀髪の少女を追いかけた……


 そして、彼女の前に回ると……


「おい! ノルン?

 どうしたんだよ、こんな……ところ……に?」


 そう言いながら、彼女を見た……


(あれ……?)


 光治は、その少女に、何か違和感を感じた……?


「何やの? 何か用ですか?」


 銀髪の少女は、不機嫌そうな顔をして

 光治のことを見ていた……


 光治は、首を傾げる……

 容姿はノルンに見えるのだが、どこか違う……?


 だが、すぐ気が付いた。


 背の高さが違うのだ……?


 ノルンだったら、

 今の中学生である光治と同じ背丈であるはずなのに、

 目の前の少女の背は低く、

 光治の胸の当たりにやっと頭が届くぐらいしかなかったのだ……


「あ……ごめん、人違いだった……」


 別人だとわかった光治は、銀髪の少女に頭を下げた。


「そうですか……」


 銀髪の少女は、独特のイントネーションで、そう答えると、

 そのままスタスタと行ってしまった……


「ったく、ナンパかと思うたわ……」


 そんな台詞を残しながら……


 光治は、首をかしげながら

 彼女の後姿を見送る……


「似てるなあ……」


 そして、ふと、彼女の上履きの色に気付く。

 光治の中学では、上履きの色で学級がわかるのだが、

 その色からして、銀髪の少女は、1つ下の下級生のようだ……?


 それにしても……?


「何だろ……首輪……?」


 銀髪の少女の首には

 いたいけな少女には不釣り合いな……

 首輪のようなものがしてあった……



 ぞくっ……!?



「な、何だ……?」


 光治が、少女の首輪を見ていると、

 何か、背筋に寒いものを感じた……?


 気になって、彼女を追いかけようか、迷っていると……


「コウくぅ~ん? さっきの子、なぁに?」


 後ろからやって来た魅夜に

 腕を掴まれた……


「あ、いや……

 知り合いかと思って声をかけたら、人違いで……」


 光治はそう言いながら、魅夜の方にふり返り……


「ひぃ!?」


 魅夜の笑みに、光治は思わず声を上げた!


 だって、魅夜は、笑ってるのに笑ってない!?

 何だか顔は笑顔なのに、怒っているような雰囲気が漂って、

 瞳の奥が、心なしか光って見えるのだ!?


「コウくぅ~ん……?

 何か、キレイな子だったねえ……?」


 そう言いながら、魅夜は、

 掴んでいる手に力を入れて、光治をつねり始める。


「痛い!? 痛い!?

 魅夜? な、何、怒ってるの?」


「べっつにぃ~?」


「ちょ……!? つねるなって!?

 何か、今日のお前余裕なくない!?」


「いいえ! 余裕たっぷりですからぁ!」


 魅夜は、そう言いながら、

 ぷいっと、そっぽを向くのであった……

作者「PVすごいね……」

せや姉「せやね」

作者「なんか、今日だけで2500アクセス以上あるんですが……?」

作者「何これ、幸運過ぎる……

   うち……しぬの……?」

せや姉「安心しぃ?

    本当のプロ作家さんなら1日万単位アクセスあるみたいやから」

作者「ぐはっ!? 現実に戻された……!?」

作者「まあ、これは完結ブーストあったってことですね」

せや姉「せやね……」

作者「完結ブーストでPV増えて、からの~、

   ポイントアップで日間(現実恋愛)ランキング76位入りで

   閲覧者増えたんでしょうね」

作者「いやあ、完結ブーストなんてないと思ってましたが

   考えを改めないといけないっぽいですね」

せや姉「せやね」

作者「でもま……完結解消するから、明日から平常運転かな」



作者「ひさびさに人に指摘された」

せや姉「何や?」

作者「作者はどうも、思っていることが顔に出やすいらしい……?」

せや姉「せやね?」

作者「いやあ、自分ではポーカーフェイスの達人と思ってたのですが……」

せや姉「ぷっ!w」

作者「ああん!? 何笑っとんや!?」

作者「いやあ、トランプやると、

   『ポーカーフェイスで何考えているかわからない!?』と

   よく言われるので、ポーカーフェイスとばかりに思ってたのですが……

   どうも、何も考えてなかっただけのようです」

せや姉「せやね」

作者「そういや、オーケストラに在籍していた時は、

   『君はもうちょっと顔に出ない努力をするといいね』とか

   言われたことあったなあ……

   難しい演奏箇所になると、すごい顔になってしまうようで……」

せや姉「そもそも、オーケストラで何の楽器をやっていたんや?」

作者「それはまあ……そのうち教えるよ」

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