17話: 堕されるキス
「こ、こら!? 尻もむな!? この変態!?」
光治は、ノルンに寄りかかるように抱きつきながらも、
その両手で、ノルンの身体をまさぐっていた……!
「や、やめや言うとるやろ!? このドスケベ!?
あ、あんた!? 本当は起きてるんとちゃうんか!?」
ノルンはそう言って、光治の顔を覗くも
光治は目を閉じて、寝息をたてている……
「ホンマ、どうして、こうなった……?」
ノルンは、光治に身体を触られてドキドキして来るのを
懸命に抑え込みながら、そう呟いて溜め息を吐いた。
……
光治とは、ついさっきまで普通に話していた。
人間界に降臨したのは、光治の前では初めてだったから
光治には大層驚かれたが、
その理由を話そうとしたところで、光治が急に眠り始めた。
光治の身体がぐらんぐらん揺れて、
危ないと思ったノルンが、光治の身体を支えようとしたら、
光治に抱きつかれたのだ……
ノルンは悲鳴をあげて、慌てて引き剥がそうとしたが、
男に抱きつかれるのが初めてだったノルンは、
ついドギマギしてしまい、思うようにいかなかった……!?
そうこうしているうちに、光治の手が
変なところへ伸び始めて……!
……
「あ、あかんわ、これ!?
こ、これ以上は、うちも変な気分になる!?」
ノルンは、顔を赤らめながらそう言った。
何だか無性に、光治のことを意識してしまい、
さっきから心臓がバクバクいっているのだ……!
しかも、ノルン達のいる場所は、路上の真ん中だ。
通り過ぎる人達の視線が痛い……
ノルン達の行為に顔を赤らめて逃げて行く者……
「お熱いね!」と囃し立てる者……
ひそひそと噂して様子を窺う者……
ノルンは、比較的童顔であったため、
どこかの恋の女神とは違い、まだセーラー服に違和感はなく、
遠目からは、学生同士で抱き合っているようにしか見えなかった。
そんな感じで、ノルンが「どないしよ……」と考えていると、
そんな悠長に構えていられない事態が起こった……!
「ちょ……!? こ、光治!?
そ、そこは……!? そこ触るんは、
ホ、ホンマにあかんて……!?」
光治の手が、ノルンの尻を滑るように流れていき、
そのヒップの中心の……
もっとも触れてはいけない場所に到達しようとしていた……!?
「って……! この変態が!?
ええ加減にせい、我ぇ……!?」
パシンッ!
辺りに乾いた音が響いた……!
ノルンが光治に平手打ちをしたのだ……!
ノルンは顔を真っ赤にして、
目の端に涙を浮かべ、怒りながら言う!
「こ、この色ガキがぁ!?
お前は、女なら誰でもええんか!?
あの女に一途やなかったんか!? ボケェ!?
見損なったぞ!?
立場上、言えんかったけど、うちは……!
あの女に誠実な、あんたがなあ……!」
と、ノルンがそこまで言ったところで、
光治の目が開いた……!?
「こ、光治……!?
おま……やっと目を……!?
だが……?
「んん!?」
次の瞬間……!
ノルンは、口を塞がれていた……!?
「んー!? んんー!?」
光治のキスによって……!
(う、うちのファーストキスが……!?)
情熱的なキスだった……!
舌を何度も絡めて来て……
ノルンは、何度も何度も逃れようと舌を動かしたが、
その度毎に、光治の舌がノルンの舌に絡みついて来て
ダメだった……!
そうしている間に、
キスのせいなのか、ノルンは頭がぼぉ~っとし、
身体に力が入らない……?
(あ、あかん……これ、漫画で見たやつや……?
『堕される』キスや……これ……)
それでも手を動かして光治の身体を押しのけようとするが、
そうする前に光治に手を、恋人握りに握られてしまった……
(あ、あかん……もう……うち、お嫁にいかれへん……)
そんな風に諦めの気持ちが押し寄せて……
ノルンの身体から、抵抗する力が
いよいよ抜け落ちていった……
ノルンは目を瞑って、光治に身体をあずけた……
……
どうしてこうなったのだろう……?
ノルンは、頭の中で自問自答する……
……
そうだ……
フレイアが変なことを言い出したからだ……?
光治がパンティ仮面となって、毬愛の前に現れ、
彼女に嫌われるような下ネタを連発し……
しかも、この時点で出会うはずのなかった魅夜が
光治と出会ってしまった……
光治と魅夜、お互い
下着を被って相手の顔を確認していなかったのが
せめてもの救いだったが……
もうこれは、世界崩壊まで待ったなし。
近いうちに、二人は再びセックスをするだろう……
フレイアも、ノルンも、そう認識し、
通常は禁止されている地上への降臨をやってでも
二人を止めることを決意した……
『目には目を、歯には歯を、で行きましょう』
フレイアはそう言うと、
光治と毬愛を無理やりにでも会わせる作戦を言い出した。
つまりは、
フレイアが魅夜をひきつけている間に、
ノルンが光治を毬愛の下へテレポートさせるという内容だ。
……
そう……
そうなのだ……
光治を毬愛の下へテレポートさせる……
それだけの簡単な作戦のはずだったのに……?
(それがどうしてこうなった……?)
ノルンは、気を取り戻し、目を開ける……
すぐそこに光治の顔が見え、
顔中がありえないぐらい熱く火照って来る……
まだキスの真っ最中だったのだ……
何故、こんなことになってしまったのか?
疑わしきは、ノルンの着ているセーラー服だ……
人間界に降りる直前に、フレイアに、
目立たないよう、これを着て変装しろと言われた……
ノルンは「この歳でセーラー服着るんかい?」と思いながらも
特に疑りもせず、つい着てしまった……
……
あの時、もっと疑っていれば……
「ん?」
ノルンは、その時初めて気付いたのだが、
着ているセーラーの襟に
何か飾りのようなものが付いていた……?
(何や、これ? 髪留め?)
ノルンが不思議に思って、それに触れると
ノルンの頭の中に、
その場にそぐわない、軽い調子の声が響いて来た……?
『やっほー! ノルちゃん? 聞こえてる?
貴女の可愛い友人、フレイアちゃんよぉ?』
それは、恋の女神フレイアの声だった。
(ああ、フレやんの魔法道具か……?)
そう思いながら、それに触れていると、
頭の中の声は、話を続ける。
『ちょっと伝えなきゃいけないことがあって、
この魔法の髪留めにメッセージを残しておくわね?
時間もなかったし、許してね?』
ノルンは「何で、直接言わないんや?」と思いながらも、
何やら嫌な予感がしていた……
『知っての通り、そのセーラーは、
男をおとすための特別仕様なのね?
私が確実に男をゲットする時につかうんだけど……』
(知っての通りって何!?
初めて聞いたんやけど!?
あと、堕されかかっとるん、うちなんやけど……!?)
そう思いながら、ノルンは、光治の方を見る……
光治は、いまだ寝ているようで目を閉じているが、
それでもノルンは恥ずかしくて、
光治の目を、まともに見ていられなかった。
(あかん……うち、こいつの女になってまう……)
『そのセーラーの生地は、蝶の羽の構造を真似られていて
特殊なフェロモンが絶えず放出される作りになっていて……
あー……えーと……
って! 細かい話はいいわね?
そんな話されても困るでしょ? 私も面倒だし!』
(あんたが説明すんの面倒なだけやろ!?)
『とにかく、そのセーラーを着ていると、
近くにいる男性は催眠状態にかかって、
意識は眠ってしまうんだけど、
身体の方は、本能の赴くまま!
セーラーを着ている女を
襲いたくてたまらなくなるの! むふふ、よね!』
(お前かあ!? お前が犯人やったんかー!?)
その時、ノルンは、全てが氷解した……!
いや、初めから薄々わかってはいたが……
そもそも、そんなやつから渡されたセーラー着た時点で
自己責任かもしれないが……
(あれ……? ちょと待てよ……?)
その時、ノルンは何かを見落としているように感じた……?
フレイアの言葉で何か、とんでもないことを聞いたような……?
そうだ……フレイアはこう言っていた……
『セーラーを着ている女を襲いたくてたまらなくなるの!』
(ちょ……!? おま……!?)
言われて気をつけてみると、ノルンの足の付け根あたりに
何やら硬いものが当たっているような気がする……!?
こ、これってもしかして……!?
ノルンは咄嗟にキスを中断すると、
大きな声で光治に向かって叫んだ!?
「ダメや……! ホンマ、それだけはダメやから!?
光治!? 正気に戻ってや!? ホンマやめてぇ!?」
作者「ま~た大陸から雨雲来てるのね……」
作者「まあ、湿度は相変わらず高いから
大きな地震は起こらないだろうけど……」
作者「怖いのは、9月入ってから……ですかねぇ……」
作者「10月は何故か、起こしにくいみたいだし……」
作者「ふぅ……! 今回でやっとラブコメらしくなって来たね!」
せや姉「は?」
作者「男女がイチャイチャして、ちゅっちゅしてるじゃん?
ラブコメじゃん?」
せや姉「は?」
作者「はいはい……
わかってますよ……
恋愛ものとして、男女の心の機微が足りないんだよね、
私の作品は……」
作者「まあ、仕方ないよ、毬愛のギミックが
発生条件に達してないんだもの!w
そこまで話がなかなか進まないんだよ!w」
作者「てか、ラブコメがわかんないんだよお!w
やめて! 遊戯!?
作者の恋愛経験値は、とっくに0よ!?」
せや姉「しらんがな」
せや姉「てか、中学生の頃、告白されても鈍感さ発揮して断ったり
17歳の頃、モデルに誘われかけたのに気付かんかったやつの
発言とはとても思えんな……」
作者「うっ……」
作者「でも、告白されたのは、
作者、顔だけは少し良い方だからわかるものの」
せや姉「おい」
作者「モデルはマジで、何でスカウトされたのかわかんないんだよなあ……?
作者、顔面偏差値、平均より少し上ってぐらいで
モデル並みの顔してないよ?
背だって、普通より少し高いぐらいで……」
せや姉「ホンマ、謎やな……」
作者「でしょ? でしょ?」
せや姉「やけど、一回誘ったっきりで、しつこくはされてないんやろ?
その程度の、替えがきく程度のモデルの誘いやったんやないの?」
作者「うっ……それは……否定できない……」




