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俺は地獄に落ちました。  作者: 仏茶
1/1

一話

初作品です多少のアラは多目に見て下さいNE☆

___この世界は腐りきっていて

___俺は世界から隔絶されていた。

___だから俺は、世界を拒絶した。





「ようこそ!新人君、気分は如何かな?」

ふと目を覚ますとそこには真っ黒なスーツを着た釣り目の男が俺を覗き込んでいた。


「…誰、ですか。ここは…」

身体を起こそうとすると自分が砂利の上で寝そべっていた事を手の感触で知る。

どうしてこんな所に居るのかと思考を巡らせようとすると突然頭に痛みが走った。


「おっと無理をしない方がいい、君はまだ死にたてだ。まずは心を落ち着かせたまえ」


...は?今この男は何と言った?死にたて?確かにそう言ったように聞こえた。

だが自分の体を見ても何の異変もない、いつも通りの自分の体だ。

「いきなり何ですかアナタ、訳わかんないんですけど、ここは何処なんですか」

そう言いながら周りを見渡すと視界の限り続く砂利の地面、

そして自分と同世代と思われる男女が遠巻きに自分を見下ろしていた。



「改めまして新人君、ようこそ地獄へ。君は生前の罪を清算する為にココへ落とされた。」


釣り目の男は胡散臭い笑顔でそう俺に告げた。






「早速だが新人君、幾つかこの地獄で罪を清算するにあたって説明する事がある」

いやいや、何でコイツ何事も無いかのように説明続けようとしてやがる!


「ちょちょちょっと待って、待って下さいぜんっぜん今の状況が飲み込めないんですけど、

え?地獄?何なんですかホントに、冗談ですよね?」

起きてすぐここは地獄です。と言われて『はいそうですか』と言える奴がいるなら見てみたい。

そもそも俺は地獄に送られるような事はしていない。

何しろ俺は中学校、高校といじめを受け不登校になって・・・


「そう、そのまま『引きこもり』と呼ばれる存在になり・・・お前は18歳で自ら命を絶った」

男は心を読んだかの様に俺にそう答えた


そう・・・だ、俺は学校では周りに馴染めずに孤立してしまった。

正直俺は頭が良いとは言えない、成績は下から数えた方が早く、運動も苦手だ。

これといった趣味は無く、好きなものも特にない。嫌いなものなら腐るほどある。

俺は俺が大嫌いだ。だが周りの人間はもっと大嫌いだ。皆へらへらと馴れ合って気持ちが悪い。

そういう馴れ合いをする人間はすぐに自分より下だと認めた人間を攻撃しだす。

俺はその恰好の餌食にされた。

思い出してきた。自分はそういう人間達に復讐する為に『そう』する事を選んだ。

俺をバカにする奴らは皆口を揃えて「お前みたいな奴にそんな事する勇気ないだろ」と言ってきやがった。

だから俺はそいつらが言った事を後悔するように卒業式のその日、教室で首を吊ってやったのだ。


「どうやら大分思い出したようだね。ふむ、折角だ説明をする前に改めて聞こう『気分はどうだね』」


「ざまぁみろ。って感じです」


「フハハ!これは中々に罪深い台詞だ!君は実に地獄に相応しい!ようこそ、ようこそ地獄へ!

君は実に更生のし甲斐がありそうだ!」


罪深い?地獄に相応しい?更生のし甲斐がある?本当に何を言ってるのだろうかこの男は。

何より地獄に落ちるべきなのは俺をいじめ抜いてきたヤツらだろう。

それとも何か?復讐は誰の為にもなりませんとか偽善でもまき散らすつもりなのだろうか。反吐が出る。


「さてそんな事より、遅れてしまったがここ、地獄について説明をしたいと思う」

そう男が言うと虚空からホワイトボードが出てきた。


・・・一番地獄、というか異世界を実感した瞬間が今かもしれない。


「いやぁ人口が増えた事で地獄もいっぱいいっぱいでね、正直人不足なんだよ」

「そこで考えられたのがこちら。セルフ地獄サービス」


地獄なのにセルフとかサービスとか何なんだよ…

と心の中で軽く毒づく間に男はサラサラと書き足していく。


「君達罪人には自分で受ける地獄、まぁ簡単に言えば罰だな、これを自分で決めて貰う。

地獄にはランクがあり、責め苦も色々だがまぁそこら辺は慣れれば何て事はないようん。

あぁそうそう、勿論腕が飛ばされようが頭が潰れようがすぐに復活するからそこは安心していいよ

それで、この地獄毎に減る刑期が変わる。」


いやいや、頭潰されて安心とかねーから。・・・それよりも

「ちょっといいですか」


「質問は後でまとめてして欲しいのだが…まぁ特別に聞こうか」


「俺、さっきも言いましたけどどういう罪でここに落とされた?んですかね。

あと刑期?ってのも納得いかないですけどどれ位って事になってるんですか」


「ほほお!そこに気付くとは天才か!良い質問ですねぇ~」


一瞬、ほんの一瞬天才と呼ばれた事に喜んだ自分に腹が立つ


「正解は秘密だ。」


なめてんのかコイツ。


「まぁまぁそう怒りなさんな。それも罰の一つなのだよ新人君」


「・・・というと」


「ここは地上じゃない。君は○○の罪を犯した。だから○年の刑に処すなんて簡単なシステムじゃないのさ。反省と清算の為には他人に言われるのではなく自身で気付く事が重要という事だよ」


「はぁ・・・成程?」


「…それに刑期ウン兆年とか言ってもやる気無くなるだけだしね」


・・・ん?

「今何て言いました?」


「いやいやいや、聞こえてなかったならいいんだ。こちらの話。

さぁ説明を続けよう。先程説明した通り地獄はいくつかあってどれを選んでも構わない」

そう男が言い自身の後ろに向けて手を広げると今までなかったはずのドアが無数に現れた。

「そして、もし君が刑期を短縮しなくても良いというのであれば『地獄に行かなくてもよい』

そうした場合刑期終了までひたすらここで過ごす事になるね」


「は?それじゃ別にいかない方がいいじゃないですか」


「まぁそうとも言い切れない。ここは見ての通り地獄以外基本何もなくてね。

有り体に言えば暇なんだ。それならいっそちょっと地獄行ってくるかな~みたいなノリでさぁ」


「いやいやいや、だって地獄でしょ?痛いし臭いし苦しいし辛いでしょ」


「まぁ、そうだねぇ。刺されたり糞尿に突っ込まされたり煮られたりするねぇ」


「ならここでダラダラしてた方が楽じゃないですか」


「いやまぁここもちょくちょく鬼が来て金棒でぷちっとやられるんだけどね」


ダメじゃん


「さて、説明は以上だ。他に質問はあるかい?」


「あ~、それじゃあさっきから俺凄い見られてる気がするんですけど・・・なんなんですかね」

説明の間ずっと遠巻きに見ていた男女の事を聞いてみた。

改めて見回すと金髪で短髪の如何にもDQNといった風体の男、

茶髪でピアスだらけのギャルっぽい女、オタクっぽいデブ、

ぬいぐるみを持ったロリッ娘、小学校低学年くらいのサッカーボールを持った少年

それ以外にも数えきれない程の人があちこちに居た。


「あぁそれはね、なんと!今なら新規お友達と初めて地獄に一緒に行った方になんと地獄で使えるGP(ジゴクポイント)を10000ポイントづつ進呈しちゃうっていう素敵なキャンペーンを・・・」


「くっだらねぇ・・・説明は以上なんですよね。じゃあこれで」


「おっと、もう行ってしまうのか。とりあえず地獄、開けとく~?」

身体を傾け手を振りながらこちらに一本いっとく?みたいなジェスチャーをするのをやめて貰いたい。


「結構です。」

俺はそう言うと男に背を向けて適当に場所を作りそこに寝転がった。

とりあえずやる事もないし適当に寝ながら今後の事を考える事にしよう。

いきなり地獄とやらに理不尽に送られてしかも訳のわからない責め苦を受けろとか。

現世であれだけ耐えたっていうのに何かの間違いだろ。

俺はもう誰にも脅かされない自由を手に入れた筈。

だから俺はこんな事現実だなんて認めない。絶対に。

すぐに誤解だってあいつに後で説明してさっさと成仏?させて貰おう。

もう疲れた。


「ごゆっくり新人君。何せ時間はたっっぷりある。よぉ~く考えてくれたまえ」

男は優しさとも酷薄さとも取れる笑みを顔に張り付け、諭すように言ったのだった。



※不定期更新となります。更新しないかもしれません。




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