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ようこそ、心清堂へ  作者: みい
第一章/第一幕「悲しき心を持ちし者」
4/40

悲しき心持ちし者と青年







それから数時間後


「……………………………………」

商店街を静かに歩いていた。



「………………………………」

ふと袖から見える手首の包帯を見た。


「……はぁ……」

包帯を見たら憂鬱になってしまう……


その時

――……あかん……


「……!?……」

この場にいないはずのあいつの声が聞こえたような気がした。



「んな訳ないか……」

聞こえる訳がない……

そう自分に言い聞かせて、細い路地に入ろうとした時

目の前に不思議な店が……



「こんな所にこんな店あったか?」

もう長い事暮らしてるけどこんな店今まで見た事がなかった。


「最近出来たんかな……」

深く考えることなく、他の道を探そうと背を向けた。

しかしなぜか後ろの店が気になって仕方なかった……

すると


カランカラン

扉に付けられているのであろう鐘の音が聞こえた。

その音で振り向いてみると


「少しでも興味があるんやったら入ってみいひん?」

開かれた扉には見られない男が俺に向かって笑みを浮かべていた。



「……はっ?」

何なんだこの人……

いきなり話しかけられ、おもわず険しい表情を浮かべていると


「そんな険しい顔したらあきませんよ!あっお客さんどうぞ」

険しい表情を浮かべていたのを指摘され、挙げ句の果てには店の中に半ば無理矢理連れて行かれた。



「えっ!?ちょっと何すんねん!」


「……あんたは、自分の事憎いんやな」


「えっ?」

無理矢理入れられた事に少し苛立ちを覚えながらも目の前にいる男の発言におもわず聞き返した。



「……ほんま何なんですか?あんた」


「あー俺の名前は」

ここに書いてあると言って胸に付けられている名札を見せてきた。


「……梶さんですか」


「まぁそうゆう事や……あっはよ行き!」

背中を押されて奥へと連れて行かれた。

すると三人の新たな人物が見えた。


「もう何するんですか?」

呆れたように後ろを振り向いて問い掛けてみたが、

さっきまでそこにいたはずの梶と呼ばれる男の姿がなくなっていた。



「あれっ?……」

さっきまでいたはずやのに……


そんな事思っていると

不意に後ろから話しかけられた。



「あの……伊野部さんですよね?」

話しかけられた事で前に向き直すと一人の青年が名前を呼んだ。


「なんで名前……」


「名刺落とされたんで……」

名乗ってもいないのに名前を知っていたことを聞こうとしていると先に目の前の青年が名刺を差し出して言った。


「あっ……」


「その手に抱えているのは、多分ですがスーツのジャケットですよね?そこから落とされたみたいですよ」


「どうも……」

少し苦笑いを浮かべて受け取ると


「あっ、すみません自己紹介まだでしたね

この店の店主の務める村井と言います」

一言謝りを入れて目の前にいる青年が名前を告げた。そして



「あなたが初めてのお客さんなんです。僕が引き継いでからのこの心清堂の……」


「心清堂?」


「はい」

また笑みを浮かべて


「ようこそ心清堂へ」

そう俺に言ってきた。



「いや、長居するつもりないからもう……」

用もないのに長居するつもりなんかなかった俺は、さっさと帰ろうとしたとき村井と呼ばれるの口から言われた言葉におもわずひきつった。


「この店は、特別な人にしか来れないんですよ……例えで言えばあなたみたいに自分の事を憎んでいたり、とか……」


「なんでお前も知ってんねん!さっきのやつも全く同じ事……」


「そんなの簡単ですよ、あなたのその右手首の包帯を見たら……」


「……!?……」

そう言って包帯の巻かれた手首を指をさされておもわず包帯をしている手首に触れた。

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