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仲間探しの旅に出る

あの日から一週間が経過した。

連れてきた奴隷達の故郷の村のほぼ全てを俺の街に住まわせる事で、街はいっぱいになった。

それに、商品の流通はかなり良い。

どんな食料品も自給率100%を超えているからな。

超えた分は飢饉の時のために保存している。


これが一ヶ月の成果だと考えると素晴らしい出来だ。

しかし、未だに俺の部下は数少ない。

この城や街から消えた者は居ないので、全員害ではないのだろう。

まぁ、俺の探索にかかった限りでは数百人の侵入者が来ている。

全員迷宮に捕まってしまったがな。



「魔王四天王とか作りてぇなぁ」

「何言ってるんですか。私が居るんですから大丈夫でしょうに。」

実は、龍姫のレイラを村に戻そうとしたら村が断ってきた。

なんか、奴隷落ちするような奴は龍族ではないとか言ってた。

流石にクソだろって思ったから、住処の近くに魔法を撃ってクーレーターを作り、脅しといた。


「でも、お前だけだとさ。」

「何ですか、不満ですか。そうですか。」

不満そうなレイラである。

最近良くこんな感じの態度をとっているが、多分反抗期ってやつだろう。


「またやってるんですか?」

「トラナ聞いてください。私より凄い部下がほしいとか言うんですよ。」

「いや、そんなことは言ってない。四天王が作りたいって言っただけだ。」

トラナは人族で戦力にはならないが、能力がかなりのモノなので、街の統治を任せている。

ついでに言うと、これから半年に一回は子供たちをトラナに能力検査をしてもらう事になっている。



「というか、レイラってフォイとかより弱いじゃん? それで四天王とか無理じゃん?」

「ぐっ」

「確かに。」

ゴブリン達は、魔王陸軍第一部隊に所属ということになっている。

ついでにリヴァ達も説明すると、魔王海軍第一部隊に所属にした。

さらに驚きの事実を言うと、魔王軍の海軍が暮らす海を作った。

簡単に言うと、俺とゴブリン達で土を動かして海の広さを広げ、街から10キロ程の場所に海を引いてきたのだ。


「というか、未だに謎だが、俺の創った魔物って何で人なんだろーな」

「魔王だからでは?」

「私は魔王が人型のゴブリンを率いるなんて聞いたことないですけどね。」

結果、分からない。

皆揃って同じ種族の模様があるだけで、人なのだ。

しかし、どれだけ魔力が強力でも角はない。

そこは少し違うとこだな。


「まぁ、俺は旅してるからよろしく。」

「次あったら私の方が強くなってるんだから!」

「分かりました。他の魔王様には予定通りの場所に街と城を配置していただきます。それと、キラト様の魔法を後ほどかけることもお伝えしておきますね。」

「ほいほい。」

元貴族ってこともあってトラナは完璧に仕事をこなすな。

しかし、要求もとんでもない。


「で、給料ってか褒美は何が良いんだ?」

「そうですね、では、お尻叩き100回で。」

トラナは、実は、ドMなのだ。

食事は自給率100%だし、元村人達がここに安全に住まわせてもらってるお礼とか言って絶対に食べれる。

よって、給料は必要ない。

そして、最終的に褒美・・ということになったのだ。


「お前って本当にドMなんだな。」

「キラト様。ドM、というのが何か分かりませんが、私は自分のした仕事の分だけ褒美を貰うのです。何か悪い事があるのでしょうか、いえありません。」

まぁ、いいよ。

俺に被害がなければそれで。 


「じゃあ、俺はどっか行って四天王的なの見つけてくる。【転移魔法】ランダム」

俺はその場から消えた。

ランダムは本当にランダムで、適当な場所に飛ばされるのだ。


「というか、他の魔王が四天王的な立ち位置なんじゃないかしら?」 

「キラト様は、馬鹿なのでそこら辺は考えてないのでしょう。正直な感想を述べますが、この国の食料事情や、戦力を考えると、世界を征服できます。なぜなら、キラト様は城や街など全てをまるごと転移させれますからね。」

キラトという最強の魔王は、勇者にチャンスを与えてあげているだけなのです。

その理由は、村人を住まわせる事から分かると思いますが、全ての生物に自由を与えたいのでしょう。


誰もが平和を考える中で、簡単な答えは全員が畑仕事をすれば住むのです。

しかし、当然それに不満を持つ者は居ます。

その不満を持つことは国の害と判断され消えます。

結果、常に自由は保たれます。


この国こそ、完璧に構築された絶対自由国なのです。










「さて、ここは何処だ? 教えてー、全知さーん!」

〈イェス、マイロード。現在位置は初級冒険者の集まる国【アルカ】の初級領域の特に名のない普通の森です。レイドランドから西に5000km程来た場所です。〉

最近、無駄な事を言わなくなった全知の書。

学習速度が異常です。


「全知はさ、なんか四天王探しの楽な方法とかわかる?」

〈マスターそれは条件によります。既に強いものを選ぶのか、それともこれから先強くなる者を選ぶのかの2択あります。〉

「そりゃあ、これから先強くなる奴が良いんじゃないの?」

〈その選択のどちらも正解ですが、全知である私としてもマスターと同じ意見です。〉

俺の意見と同意見ならやはり後者を選ぶべきなのだろう。

俺としては、やはり実際見てから考えたいがな。


「なんで?」

〈既に強いものは、それなりの強さを持つが故に癖などが定着しています。それに対して、まだ弱い者はそのような定着が無いため、教え方次第で勇者すら超えるのではないでしょうか。〉

全知は俺の質問にしっかり答え、尚且つ短くまとめている。

流石、全知さんです。


「よし、だったらこの場所はベストポイントだな。」

〈はい、そういうことになります。〉

せっかく初級冒険者の街に来たので暫くここで生活しよう。

そして、良い素材は全て確保し、敢えて勇者と戦ってやる。


勇者&英雄VS魔王の戦いで初の勝利を、否、初の圧勝を飾ってみせる。


それが俺の目標だ。



「んー、一人でいいか迷うが、ゴブリン呼んでもすぐ帰るし、リヴァだと強すぎるしなぁ」

〈マスターは改変で身体を変え、上級冒険者として下級冒険者に師事でもすれば良いでしょう。それが一番効率が良いと思います。〉

全知に言われた事が現時点で一番ベストな行動だろう。

よって、そうします。




「通っていいですよ。次!」

前と同じく列に並び、次!次!と中に通された。

俺って魔王だけど普通に活動できるんだよなぁ。


「なんで俺ってバレないんだ? 全知分かる?」

〈イェス。マスターの改変はすべての情報を改変します。その時、マスターは種族が人になっています。そのため、誰かにバレることはありません。〉

なるほどなるほど。

俺って勇者とかにもなれんじゃね?って思ったけどやる気は無いので大丈夫です。

まぁ、無駄な事考えるよりギルドへ行こう。


「失礼しまーすってどうしたんだ?」

〈どうやら、死傷を負った者が横たわっている様ですね。〉

ギルドへ入ると机の上に寝かされ、血を流す女と、周囲で無く男女が居た。

初級冒険者に良くあることだ。

つい油断したりしてこうなるのだ。

まぁ、油断・・ではなく、自分達に慢心・・していたというのが正しいがな。

出来もしない事をできると思う事で、失敗するのだ。

こういうのは何度かファンタジーな小説でも見たし、向こうでもあることだ。

慢心して行動し、失敗して解雇される。

良くあることではないが、何度か見たことがある。



「そこを退け。」

俺が、近寄っていくと全員泣き疲れて足腰しっかりしておらず尻餅を付いている。

あと数分で死ぬ命が目の前にあるが、助けるか、それとも見捨てるか。

俺は、魔王として他に対する生死をあまり感じなくなったが、悲しみという感情が消えたわけではない。

救える命は救いたい、それが俺だ。

俺は少女の刺された腹部の服を捲る。

かなり出血しているが、ここで血を流しているお陰でなんとかなると思う。

露わになった刺された腹部を見た後、掌を押し付ける様に刺された場所に手を置いた。



(【再生】)

俺の魔法が発動するのに直に触れること以上に効率の良い方法はないのだ。

流れた血はどんどん身体へ戻って行き、血で濡れた床や少年達の手から血が剥がれていく。

時が戻っていくようにも見える。


「生きて、る?」

俺が手を話すと、そこには綺麗な肌があり、刺された痕は全くない。

周囲の者達も驚いているのを見る限り、これは目立つだけでやってはいけない事ランキング第一位だった。

それでも、救えた命があるのだから良しとしよう。

何が起きたか分からず、生き返った事に喜ぶ下級冒険者達はワイワイ喜んでいる。

俺はその場から離れてカウンターへと向かう。

だって、巻き込まれたくないし。


「なんか酒をくれ。軽いやつで」

「はいはい。それにしても、貴方どれだけ凄い神官でもあの死傷は治せないと思うんだけど? 詮索はしないけど、もし、良ければここで治癒の仕事をしないかしら?」

カウンターの女性はエルフっぽい見た目で角があり、俺と同じくらいの歳で、突然そんなことを言ってきた。

やはり、死にかける奴等は多いのだろう。

なぜエルフっぽいか? 髪や目はエルフなんだけど、耳が隠れてて見えないから判別できないんです。


「それは駄目だな。俺の様な治癒魔法を使える奴に頼る事でより一層無茶をする馬鹿が増える。それが人族だろうに。」

「そうだね。なら、ここで冒険者を鍛えてくれない?」

「それなら、請負おう。」

承諾すると、一枚の紙を出してくるマスター。

いわゆる、契約だな。


「ほら、これで契約完了だ。」

「じゃ、これは無料タダだよ」

軽い酒を瓶ごと出してくれるマスター。

流石、良い奴だ。


「マスター、名前は?」

「ニーナ・アイスフォード。貴方は?」

「キラトだ。」

俺とニーナの初会話はこうして始まった。


「で、ランクはいくつなんだい?」

「Aって事になってるが、難易度Sならソロでクリアしたぞ。」

それを聞いたニーナはかなり驚いて居るが、ニーナもかなり強い。


「私はAAAトリプルエーだよ。でも、アンタよりは絶対に弱い。なぜなら、この角の長さが全ての証明だね。」

「そうだな。それにしても、美人なのに未婚とは悲しいねぇ」

「うるさいっての。まだ28だし、大丈夫だよ。」

「はぁ、25過ぎた女は終わりだっての。」

そんな話をしていると時間はどんどん過ぎていく。

夕方になり周りを見渡すと、先ほど治してやった子供達が寝ていた。

泣き疲れてずっと寝ていたらしい。


「アンタ、寝床はあるのかい?」

「え? 無いけど? ニーナって家持ってるなら泊めてよ。」

「んー、まぁ、いいか。あんまり広く無いけどね」

「いいよいいよ、そんな広さとか求めるタイプじゃないから。」

そんな話をしていると、流石に子供達が起きた。

先程喜んでそのまま寝たため記憶が曖昧らしい。

感謝されても困るからそのまま忘れて欲しいけどな。


「で、俺に師事されたい奴集まれーってのはニーナがやっといてくれるの?」

「それなら、もうクエストボードに貼ってきたよ。」

ずっと俺と話てた気がするけど、いつ貼りに行ったんだろうか。



〈マスター、ニーナさんに鑑定されましたけど良いんですか?〉

「了解。」

「ん? 何か言ったか?」

俺は敢えて勝手に鑑定しないで聞くことにした。

謝るとか嫌だし。


「ニーナ、鑑定させてもらっていいか?」

「っ!? い、良いぞ」

〈彼女は隠蔽持ちですね。まぁ、マスターなら余裕で見れますが。〉

「じゃ、鑑定っと」




ニーナ・アイスフォード 魔族エルフ 魔法使いLV150 300歳(人だと30歳)


氷魔法 絶氷魔法 鑑定 隠蔽 武術 


身長155 体重40 70/51/75 (これ以上表示する必要なし)




なんか、絶対に必要ない情報表示しやがったぞ。

もう、鑑定さんヤバイっす。

鑑定さんの悪意しか感じない。


「み、見えたの、か?」

「エルフなのに年齢誤魔化して可哀想に。」

その一言でニーナはその場に倒れた。

しかも、泣いてる。


「ど、何処まで見た?」

「70/51/75」

「ぐはっ」

「パット盛りまくりなのな。」

その場で涙を流しながら倒れてしまった。

まぁ、なんだ、大人ぶった子供だった訳ですよ。

身長高いなって思ってたら、カウンターの地面が全部高かっただけでした。


「てか、みんな起き始めたしもう行こうぜ?」

「そうだな。」

俺が立ち上がると、ニーナはカウンター係を変わり、服を着替えに行ったり

出てきたニーナに連れられて向かった先は大豪邸だった。

なんと言うか、左右に執事とメイドが居て、まさに豪邸ですって感じ。


「なんと!? 姫が!」

「これは一大事だ!」

「晩餐を変えよ! 盛大にせねば!」 

「これから夜の用意を整えます!」

「あらゆる玩具から、薬、全ての配置をしなさい!」

「「はい!」」

「待て待て待てーー! こ、コイツは泊まらせるだけ! そういうのじゃなーーい!」

「そうなのですか。」

「つまんないです。」

執事長とメイド長の明らかに冷めた顔。

どんなけ主人が男を連れてきた事が嬉しいのやら。

エルフならかなりモテると思うんだがなぁ。


「で、部屋は?」

「空き部屋に案内してやってくれ。」

「かしこまりました。こちらへ。」

案内された部屋は思った以上に広く、風呂までついてる。

豪華とかレベル超えてるぜ。

だって、この部屋、拡張魔法で広くしてあるし。


「ここをお使いください。何かあればそちらのベルを鳴らしていただければ直ぐに参ります。」

「わかった。ありがとう。腹減ってないから夕食は要らない。もう俺は寝るからそう伝えておいてくれ。」

執事さんはお辞儀して部屋を出て行った。

早速風呂に入ろう。



「魔導具で沸かすのか。凄いな。」

俺の街のように、俺の魔力を圧縮して創った結晶から供給される魔力であらゆる物を稼働させているわけではないらしい。

こうして見ると、俺の街はかなり凄いのだろう。


現代と変わらず魔導具無しで火や水が出るのだから。

実際は俺の魔力の圧縮結晶で、その力を水や火に変えることでなんでも出来るのだから素晴らしいとしか言い様がないな。



「というか、魔導具って魔力込めなきゃ動かないのかよ。」

確認してみると魔力を供給しないと稼働しない様だ。

これを見た時の俺の感想は、俺の街やっちまったってことだ。

何故なら、俺の街とこの街を比べたら桁違いの性能なのだから。



「【獄水魔法】普通の水!」

俺は獄水魔法で普通の水を必死に出した。

何故必死かと言うと、獄水魔法とは地獄の水の魔法なのだ。

しかも、絶対零度の水なのだ。

見た目はただの水なのに、温度は絶対零度。

それは、常識を無視した現象である。

全てが凍る絶対零度の水とかわけわからん。


「よし、ただの水だな。【獄炎魔法】普通の火!」

こちらも同じくである。

必死に弱い火を出すが、その日の強さは水の中ですら燃えるだろう。

火を近づけて慎重に温め、40度を超えたのでゆっくり浸かった。


「ふぅ、極楽極楽。」

〈魔王が極楽って(笑)〉

「うっせぇ」

全知と話しつつ風呂から上がる。

服もしっかり洗ってあるので水を切るだけである。


「せいっ」

〈化物ですね〉

俺は、濡れた服をバッとやって水を切る。

それだけですべての水が服から分離して乾いた。


「流石魔王。」

〈誰もできないですから。〉

一瞬で乾かした服をたたみ、置かれていた服を着る。

いい生地で作られた寝間着である。


「じゃ、俺は寝るから。」

〈私は全知の書。書物である私にいう必要はないかと。〉

「こういうのは言いたいから言うんだよ。気にすんな。おやすみ!」

〈それは失礼しました、マスター。以後気をつけますってもう寝てますね。マスター、おやすみなさい。〉

俺の仲間探しの旅一日目が終わった。

旅と言うより暮らし?

まぁ、旅はある程度仲間が出来てからにすればいいか。

いつも読んでいただきありがとうでござる(・∀・)

ブックマ・評価ありがとうでござるm(_ _)m 

ござるござる、ニンニン。


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