神々の戦い 魔王VS旧支配者VS悪なる神 魔王から魔神へ
「ナイアル、お主、あの神に何かしたな?」
「分かります? 面白くなるように力の実を与えました。貴方も傍観者なのですから、問題ないでしょう?」
アザトースとナイアルは旧支配者の5人に任せて傍観している。
闘う気は一切無いらしい。
「旧支配者共に上から目線とは気にくわんな。」
「まだ居たのか?」
クトゥルフの言葉に神は苛立っている。
「殺してやる。まず、クトゥルフ、貴様からだ!」
「調子に乗るな。悪神ごときが。」
悪なる神と呼ばれ、俺を殺そうとした神は、クトゥルフの怒りをかったらしく、触腕でミンチにされた。
「善を捨てた悪ごときが俺達と対等などと思い上がりもいいとこだな。」
「おい、クトゥルフ! 俺の獲物を殺しやがって! いい加減テメェは殺してやるぜ!」
遠くから見ていてもミンチは動く気配がない。
あれは完全に死んだと思われる。
「全知、アレって死んだのか?」
〈完全に死んでおります。流石、としか言い様がありませんね。〉
しかも、クトゥルフとクトゥグアが今にも暴れだしそうである。
「クトゥグア、いつからお前はそんな事を言える立場になった? 召喚されるだけの存在であるクトゥグアごときが。」
「はぁ? 同じ旧支配者だろうが。それに、クトゥルフ、お前はハスターに負けただろうが。旧支配者ごときが調子にのるなよ?」
二人の旧支配者は睨み合い、クトゥルフの足元から水が、クトゥグアの身体から火が出る。
圧倒的な魔力を見に受け、俺としてはかなり辛い。
そして、クトゥルフとクトゥグアは戦闘を始めてしまう。
天界に罅が入り、空間が保てなくなってきている。
「マスター、贄の準備が完了しました。」
俺の背後には女神と戦闘を終えた創造された者達が集まって戻ってきていた。
「良いんだな?」
「もちろんです」
「はい。」
「そのための我等ですから」
「この命をどうぞ役に立ててください」
4人と連れてこられた女神と勇者達。
「すまないな。生贄になってくれ。」
集まった者達を全て生贄にすると、消滅し、身体へと力が流れ込んでくる。
〈10人以上の生贄を確認。〉
〈仲間の生贄を確認〉
〈勇者の生贄を確認〉
〈神の生贄を確認〉
〈魔王から魔神へ肉体を移行します〉
「がっ、何だこれっ、あっ、あぁぁぁ、くっ」
数分間体の痛みに耐えると、先程より強くやっているのは分かる。
なぜなら、レベルが9999になっていたのだから。
「次は全てを戻すか」
今まで召喚してきた者達が輝きだし、俺の内へと戻る準備が始まる。
「また、生み出してやるからな。魔物達よ、戻ってこい」
輝きは一層増し、全員が宝玉となって俺の身へ戻る。
ソリッド達の中にいた者達も俺の中へと戻ってくる。
「ぐっ、スゲーな。」
〈マスター、力に溺れないでくださいね。溺れれば、自我は消えると思いますので〉
「分かった。」
俺の肉体が魔王から魔神へと変わる。
あの神達と同等か、それ以上かもしれない。
「クトゥグアァァァ!」
「死ねぇやぁ!!!」
水と火が衝突し、水蒸気で視界が悪い。
しかし、そんな事は気にせず二人は戦っている。
「これ以上は止めてくれないか?」
クトゥルフとクトゥグアの間に割って入ると2体は同時に魔法を俺に放つ。
当然、それは防いでやる。
「ほう?」
「ほら、面白くなってきましたよ。」
アザトースとナイアルは楽しそうに笑みを作る。
「魔王ごときが我等の邪魔をするとは」
「まずはお前からだなぁ」
「殺れるもんならやってみろ。」
二人は同時に地を蹴りの俺に迫ってくるが、その場からクトゥルフの背後へ転移して地面に叩きつける。
チャンスとばかりにクトゥルフごと焼こうとしたクトゥグアには、水の弾丸を創って肩を貫く。
「クトゥルフとクトゥグアがダメージを負ったか」
「やはり、神は強いですね。」
アザトースは驚きながらその光景を見ているが、アザトースは見解を述べる。
「魔王ごときが、我に傷を負わせただと? ふざけるなぁ!!」
「炎の肉体に傷を? お前、何者だ?」
「魔神」
クトゥルフとクトゥグアは「また神か」と言って魔力を高めていく。
存在自体が異常であり、人間なら発狂ものだ。
「魔神、殺してやる。俺が本気でなぁ!!」
「本気を出す前に死んでもらう。」
俺は転移でクトゥグアの目の前へ移動し、消し殺す。
七賢人の一人であるクトゥグアは消えた。
見た限り、死を覚悟した瞬間に肉体から放れた。
「クトゥグア、逃げるとは情けないな。」
「クトゥルフ、お前はどうするんだ?」
俺とクトゥルフは睨み合い、身構える。
「あ、時間切れじゃな。」
「みたいだな。」
「ほっほっほっ、またのう」
ヴルトゥーム、ノーデンス、古のものは消え、残った肉体も消滅していく。
やはり肉体の限界だったみたいだな。
「もうか?」
「争っているクトゥルフが一番長いとは不服ですね。」
アザトースとナイアルも消える。
しかし、クトゥルフだけは消えない。
「貴様だけは殺してやる。」
「ふざけんな。俺がテメェを殺してやるよ」
クトゥルフの触腕がかなりの速度で振るわれるが、それを避ける。
避けたついでに触腕を断ち切ってやるが、直ぐに生え変わる。
「触腕だけで死ぬのではないか?」
「くっ」
触腕を気にしていたら足元が深い海に変わっている。
気が付かなかった俺はそこに入ってしまう。
「これで俺の勝ちだ。」
「吹き飛べ。」
水の中で水素爆発を起こし、ダメージ覚悟で海を吹き飛ばす。
「ごほっごほっ、どうだ? この蛸人間が」
「黙れ。」
俺達は立ち上がり、構える。
「死ね!」
「待っていたぞ。」
転移して近付き、腹を貫いてやった。
流石に致命傷だろと思ったが、普通に触腕で俺の体を縛る。
「弱点ねぇのか?」
「さぁな。旧支配者に舐めたこと言った罰だ。死ね。」
触腕で身動きを封じられ、水の弾丸が俺の体を貫く。
「かはっ、放せっ!」
「お前、不死身か!?」
再生しつつ、距離を取るが流石に血を流し過ぎた。
再生で血を取り戻したいが、血を流した場所から離れ過ぎている。
弱手を探さなくては殺される。
そんな事を考えていると天界が完全に崩れた。
「天界が落ちる?」
「油断とはいい度胸だな?」
またしても触腕に捕まり地上へ落下しながら更に勢いを付けて地面に叩きつけられる。
空からは天界が落ちてきており、落石などの危険もあるが、目の前のコイツは落石の、一万倍危険である。
惑星にクレーターが出来てしまっている。
「がはっ、こりゃ、やべっ」
「そのまま死ねっ! 死ねっ! 死ねっ! 死ねっ!」
触腕を何度も何度もふるい、俺の体がミンチになっていく。
そして、止めの一撃が振るわれる瞬間、クトゥルフは全力でその場から距離を取った。
「俺を起こした罪は重いぞ」
現れてたった一言そう言った者は、温泉を作った時に聞こえた声と同じ声を持つ者。
俺は、肉体の再生により痛みが酷く、意識を失った。