神々の戦い 魔王と七賢人VS悪なる神 旧支配者顕現
「さて、どうやってあの悪なる神に勝とうか」
俺の言葉を7人は聞いていない。
目の色が片方真っ黒なのだ。
「大丈夫か?」
それも無視。
何が起きているのか分からない。
「全知、何が起きてる?」
〈悪なる神の幻術にかかっていますね〉
「解けるのか?」
〈あれは彼女達自身でないと解けませんね〉
ならやることは一つ。
意識が戻るまで俺が女神を抑えるとしよう。
「お前は幻術にかからなかったのか?」
「そりゃな。状態異常系は効かねぇから。」
女神なのに、男口調とはなんか嫌だ。
確実に俺より強いんだがな。
「魔王ごときが俺の前に立つとは死ぬが良い」
「うるせぇよ。」
一瞬で近寄ってきた女神の拳を防ぐが、腕が折れた。
すぐに再生させるが、容赦ねぇな。
「【極影魔法】分身」
「「いくぜ!」」
「面白い。だが甘い。神を舐めるなよ?」
俺の分身2体は一瞬で蹴り殺された。
わお、やっぱ分身じゃ無理か。
「なんだ、両方分身だったか。」
「そうだ。てか、お前って強すぎじゃね?」
「そうだな。5箇所致命傷か?」
「何の話、がっ」
俺は全身から血を流してその場に倒れる。
再生を発動させすぐに戻すが、致命傷を5箇所、確かに負っていた。
「何だ今の速さは」
「本気って奴だ」
何も見えなかった。
それが事実だ。
「チートかよ」
「お前も十分チートだがな。力を分散しすぎだ。」
確かに、いくら魔力を使用して創ったと言っても俺の分身の一体なのに変わりはない。
まさか、魔物創造でここまで劣ることになるとはな。
「今の内に戻しても良いぞ? 俺は神だからな、それぐらいの時間は与えてやる」
「いや、今はまだダメだな。」
「なら、死ぬといい。」
「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん いあ! くとぅぐあ! 」
俺は死を覚悟したが、神は動きを止めた。
なぜなら、固まっていたクトゥグアが動き出したのだ。
全身が燃え、巨大な火の精となり現れたその姿に目の前の神はビビっているのだ。
「来たぁ!! 出てこれるとは思ってなかったが、こりゃあコイツ、死ぬ気だなぁ!!」
出てきた火の精は、正にこれこそ火の魔神という名がふさわしい姿をしている。
「おい、神ごときが俺様の前に平伏さねぇとは何様だぁ!?」
「黙れ。旧支配者ごときが神に上から物を言うな。」
2体の間で今にも戦闘が始まりそうになるが、七賢人達全員が動き出した。
「我等を身に降ろし、確実に目標を達成するか。頭が良い、のか? ナイアルはどう思う?」
「アザトース様、久しぶりの世ですよ? 楽しまなくては損ですよ。制限時間はありますがね。」
アザトースとナイアルラトホテップが話し合っている。
この二人は他と比べて次元が違う。
「出てくるのは久しぶりなのじゃ。おっ、アレが敵なのかのう?」
「外は何とも良いな。まぁ、最後の願いくらい叶えてやるとするか。」
「ほっほっほっ、旧支配者がこうして集まると異様じゃのう。」
ヴルトゥーム、ノーデンス、古のものは隅でワイワイ話している。
まるで神が眼中にないようだ。
「久しぶりだな、旧支配者共。それと、異形なる神アザトース様、お会い出来て光栄だ。」
クトゥルフが現れると、周囲にを一掃するように津波が起こる。
「こりゃ、口出ししたら殺されるな。」
〈ええ、口出しは止めるべきでしょう。アレ等は神に匹敵する者等ですから。〉
俺は少し離れて傍観することにして、転移でその場から放れる。
「アレが暴走するとかはないよな?」
〈可能性はあります。アザトースとナイアルラトホテップは大丈夫だと思いますが、他は暴走する恐れありです。〉
それは、最悪の事態がありえる。
しかし、止めれるか?
生贄を増やさなければいけないな。
俺は召喚された旧支配者達を傍観することに徹するのだった。