魔王は 勇者に テンプレを 奪われた
俺は前と同じように転移させられた。
文句はないんだけどね、この状況には文句があります。
「何でまた砂漠なんだよぉ! 森だろ!? こういう時のテンプレって森じゃねぇのかよぉぉぉぉ!! しかも! スコップ変えとけよぉ!!」
そう、またしても、スコップ片手に砂漠に居たのだ。
しかも、前より広く、周囲に砂漠以外なにも見えない。
「取り敢えず、眷属召喚、ゴブリン×3」
「暑い!」
「暑すぎます!」
「うむぅ」
呼んだのはお馴染みゴブリン達だ。
「目的地決めたいんだが、お前ら護衛してくれよ」
「暑いんで涼しいところで呼んでください!」
「ここだとほんと死にます!」
「うむ!」
3体とも消えやがった。
なんて酷い奴なんだろうか
というか、眷属だよね?
主人の言う事ぐらい聞こうよ。
「クソゴブリン共め・・・・・探索」
諦めて探索をかけると、探索範囲全てが砂漠だった。
俺の探索範囲って半径50㎞はあると思うんだけど、これマジで?
「やべぇ、これ俺のダンジョン並に鬼畜じゃねぇの?」
探索を使用しつつ走るが一向に砂漠以外の場所を見つけることが出来ない。
取り敢えず、一方向にひたすら歩いて向かうことにした。
俺、暑さとか感じないしね。
「そう言えば、ステータス変わってるんだっけ?」
歩いてるだけは暇なのでステータスを確認する。
特に変化はない。
♦
九頭龍鬼羅斗 LV995 (MAX 999)
種族 ダンジョンマスター兼魔王
装備 穴掘り神の愛用スコップ
魔力 7,777,777,777,777
能力
鑑定LV10
威圧LV10
隠密LV10
探索LV10
暗視LV10
再生LV10
空間魔法LV10
大地魔法LV10
固有能力
獄炎魔法LV10
獄水魔法LV10
獄雷魔法LV10
獄氷魔法LV10
極光魔法LV10
極影魔法LV10
忘却LV10
反射魔法LV10
反転魔法LV10
空間震LV10
状態異常無効化LV10
瘴気LV10
魔物創造LV10 (創造した魔物が生まれる。魔力消費量に依存)
眷属召喚LV10 (創造した魔物を召喚する)
称号
ダンジョンマスター・魔王
能力獲得POINT 200/200 (1つの能力獲得 20POINT)
能力LV.POINT 1000/1000
装備 漆黒の装備▼
♦
装備 漆黒の装備 (伝説級)
顔 未装備 (漆黒の仮面) (瞳色変化)
耳 漆黒のピアス (視力強化)
上 漆黒のシャツ (大きさ長さ調整) 漆黒の胸当て (環境適応)
手 漆黒の紋章 (魔力蓄積)
腰 漆黒のベルト (魔力補助)
下 漆黒のスボン (環境適応)
他 漆黒のマント (識別阻害)
「何というか、身体強化とか欲しいな。」
もう、装備がチートなのにツッコむのは面倒である。
〈身体強化を20Pで獲得しますか?〉
取り敢えずYESをえらぶと、能力欄に追加された。
身体強化LV1
「で、9P振ると」
〈身体強化LV1→LV10〉
これもYESを押す。
身体強化LV10
「完全にチートじゃねぇかぁ!!」
元からチートな魔王様にチート授けた閻魔様。
もうこれ、規則違反とかで閻魔様怒られてるでしょ。
「というか、世界の情報知りたいんだが・・・・・・全知の書とか無いか?」
〈全知の書を20Pで獲得しますか?〉
YESですね。
というか、ここまで来ると無双確定ですわ。
100%とか覆してやるぜ。
全知の書LV1 (MAX LV100)
「やっぱ、普通ではないか。俺も普通じゃないがな。」
〈全知の書LV1→LV100〉
YESYES!
「完璧だな。この世界での魔族について教えてくれー」
〈イェス、マイロード。魔族は魔王とその部下は敵の対象になっております。それ以外は普通に人と暮らしています。魔王関連の魔族かそうでないかは、判断できる魔導具があります。しかし、マスターならそれすら誤魔化せるでしょう。他に魔族の特徴についてですと、全員角がある事だけですね。角は魔力の象徴なので、大きい程魔力が巨大であり、マスターの様に巨大な角は未だ観測されておりません。以上です、マスター。〉
完璧過ぎて、チートなのが良く分かるな。
「隠蔽と改変取っとくか。」
能力獲得POINT 120/200 (1つの能力獲得 20POINT)
能力LV.POINT 892/1000
「おっ、範囲に森が引っ掛ったな。」
「隠蔽は自動発動だから、見られた時の能力とかだけ改変しとくか。」
全部改変し、これで普通の魔族だろう。
角も改変で小さくしてある。
「森だぁ!!」
スコップ片手に砂漠を走る俺。
周囲に人が数人いるが、そんなことは気にしない。
グラグラ
突然地面が揺れるが無視して走り続ける。
「あんたスコップで戦うき!?」
「おいっ、この振動は砂鉄蠍だ!」
「おい、逃げろ! C級が来るぞ!」
〈マスター、砂鉄蠍、別名スコーピオンが前方10メートルの位置に現れます。〉
そして、俺の道を塞いだ蠍は空高く舞い上がった。
「え、アイツ何なのよ・・・」
「C級の魔物が空を舞ってるぞ・・・」
「スコーピオンがスコップで・・・」
冒険者らしき奴等は呆然としていたが、気づいた時には俺は走り去っている。
だって軽く50㎞/h で走ってるからな。
穴掘り神の愛用スコップ (神物)
使用素材 地母神の血・地母神の骨・地母神の魔力
能力 穴を掘れる
攻撃力 10000
耐久度 ∞
「よし、到着。」
森についたので木に登ってゴブリン達を召喚した。
〈ゴブリン族は魔物のゴブリンと、意志あるゴブリンとで分かれています。意思なきゴブリンは一般的な魔物。意志あるゴブリンは地精霊です。そこのゴブリンは地精霊ですね。よって、普通に街などには入れます。〉
聞きたいことは聞く前に全部話してくれるんだよね、全知の書って。
便利なのは良いけど、考える前に答えでるからなぁ。
「全知の書は俺が聞くまで答えないこと。絶対に」
〈イェス、マイロード〉
トッタ LV980 剣士 ジェネラルゴブリン (将軍) 創土魔法
スライ LV980 魔道士 マジシャンズゴブリン (長) 創土魔法
フォイ LV980 剣闘士 マスターゴブリン (副長) 創土魔法
「お前ら化物だよな」
「主のせいですけどねー」
「主のせいだよー」
「うむ」
フォイはうむしか聞いたこと無いけど、話せないのか?
まぁ、良いキャラしてるからいいんだけどね。
「では、今から一番近い街へ行きます! パチパチパチパチ!」
「「・・・・・・」」
「うむ」
ゴブリン達のノリが悪いが、予想通りである。
フォイは、うん、いつも通りだね。
「よーし、付いて来ーい」
「歩くの面倒なので帰りまーす」
「同じくでーす」
「うむ」
一人が嫌だから出したりのに、勝手に帰って行きやがった。
クソゴブリン共め。
涼しいところなら護衛するみたいに言ってたくせに、あれは嘘だったのかよ。
魔王に嘘つくとかいい度胸だな。
「あるぅーひー♬もりのなかー♪くまさんにー♫であーーったー♬」
「グゥ」
「マジか」
「グゥ」
何がマジかって?
歌を歌たってたら小熊出てきた。
どうしようかなー、可愛いからお持ち帰りしてもいいかな?
「パパとかは?」
「グゥ」
悲しそうに首を振る小熊だが、可愛すぎる。
もうこれ、俺が育てます。
「一緒に来るか?」
「グゥ!」
頷いたので付いて来るということだろう。
〈黒熊(幼)が眷属に加わりました。〉
「よーし、お前は真っ黒だからクロだ! 街へ行くぞ!」
「グゥ!」
〈ブラックベアーの名前がクロになりました。〉
俺は、小熊と共に街へ向かう。
それから数分後、疲れたクロは俺のスコップに捕まって引き摺られている。
楽しいらしい。
「クロー楽しいかー?」
「グゥ!」
俺のスコップに捕まって森の中を引き摺られるのが楽しいらしい。
もう、可愛すぎる。
街まで残り約20㎞ぐらいだなぁ。
「きゃあっ!」
「ん? なんか、聞こえなかったか?」
「グゥ?」
人の声が聞こえた気がしたんだが。
気のせいだったか?
「誰か! 誰か助けてっ!」
「グゥ!」
「テンプレ来たぁ!!」
俺は、熊を引き摺りながら道なき道を走る。
何故なら、これは俺のためのテンプレだから!
襲われている女性は金髪の美女だ。
襲っているのは、ゴブリン軍団である。
「大丈「大丈夫ですか!?」」
「ありがとうございます! 何とお礼を申せば良いか!」
助けに入ろうとしたら、他の男が助けました。
華麗にイケメンが俺のテンプレを奪っていったぞ。
「俺のテンプレがぁ!!」
「ま、魔族!?」
「下がってください!」
何、なんで俺が敵みたいになってんだよ。
取り敢えず鑑定。
進藤 涼介 勇者 LV56 (雑魚過ぎて表示する必要なし)
「なんだよぉ!! 雑魚のくせにさぁ!! 俺からテンプレ奪ってんじゃねぇよぉ!! しかも! 俺に剣向けるとか! 魔族は悪いやつばっかじゃねぇーーーだろぉーーーがぁーーー!!!」
俺がスコップで木を殴ると木が倒れた。
だが、そんな事はどうでもいい。
「あ、貴方も、剣をお下げください!」
「う、うん。」
イケメンは少女の言葉に従って剣を下げる。
イケメン、お前だけにはハーレムなんて作らせんからな。
必ず魔王討伐の時に狩ってやる。
「あの勇者殺した方が100%死ぬ運命変えれるのでは?」
「そう思います!」
「うむ」
「いや、雑魚過ぎて戦う気すら起きないから止めとく。何もしないで去るのは癪だから周りの奴らでも治してやるか、再生。」
そう言って泣きそうになりながら街へ向う。
だって、テンプレ無くなったから馬車とか乗せて貰えないっしょ。
倒れてる奴等の傷は全部再生しときました。
「あ、あの! 貴方も異種族である私を助けようとしてくれてありがとうございます!」
「あぁ? いいよいいよ。そこのイケメンと仲良くいろいろしっぽりしててください。それではって、クロ行くぞ」
「グゥ」
クロを引き摺りながら再び道を行く。
助けに行ったことで道に出れて良かった良かった。
ゴブリン達?
勝手に出てきて勝手に消えやがったよ。
マジで何なんだよアイツら。
「グゥ!」
「クロ、どうした?」
「グゥーー!」
「あぁ、平らな道になって引き摺られるのが嫌だから抱っこしてってことね。」
何言ってるか分かんないけど、抱っこしてやると喜び、眠るクロ。
可愛いなぁ。
俺はクロを抱きかかえて街へ走って向かった。
(あの方、魔族でしたけど良い人でしたね。しかも、あの角の長さは相当強いですね。)
5センチ程の角にしたはずなのに、彼女等にとっては脅威。
しかし、実際は50センチ程の極太角なのだった。
「あの、大丈夫ですか?」
「あ、はい。街へ行くのなら乗っていきますか?」
「おねがいします!」
二人は怪我を負っていてはずの人達を馬車に乗せようとする。
しかし、倒れていた人達は普通に起き上がった。
「貴方達、大丈夫なのですか!?」
「え、ええ。負ったはずの傷が無いです。」
「私も腹部を切り裂かれた筈なんですが。」
「何が、起きたのでしょうか。」
「ぼ、僕は何もしてないですよ!?」
勇者はみんなに見つめられるが直ぐに否定する。
助けられた少女も勇者では無いと知ると、直ぐに思考を巡らせる。
「イケメン勇者様ではなく、あの方ですか・・・・・王女としては、お礼をしたいのですがね。怪我が無いのであれば早く戻りましょう。父上達も心配しているでしょうし。」
「「「はっ!」」」
俺の後を追うように馬車はその場をたつ。
しかし、クロを引き摺らなくなったキラトは馬車の倍速で街へと向かっているのだった。
物の階級
全10段階
1 下級
2 中級
3 上級
4 王級
5 勇者級
6 魔王級
7 帝級
8 英雄級
9 皇帝級
10 伝説級