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神々の戦い アックスVS女神 俺たちは兄弟だ

♦魔王アックスの視点

  


「おい、クソ女神ぃ。生きてっかぁ?」

「調子に乗るなよ、魔王ごときが」

顔は良いが、性格は最悪な女神を連れてきちまった。

こりゃ、楽しくねぇ。

可愛くて良い子ちゃんが泣き叫ぶのが1番おもしれぇからなぁ。

それに、俺はなんか全力が出ねぇ。

やはり、魔王の状態では勝ち目はないのだろうかねぇ。


「俺はアックスていう火の魔王だ。燃やし尽くしてやるぜぇ」

「そうですかそうですか。私は水の女神ですから、さっさと死んでくださいませんか?」

全身から火が出始めるアックスに対して、水の球体を周囲にいくつも作り出す女神。


「さぁ、一方的に蹂躙させてもらいましょう」

「やってみなぁ。ゴミ女神さんよぉ」

その言葉にキレた女神は指をパチンッと鳴らし、水の球を飛ばしてくる。

が、余裕で全部蒸発させれる速度だ。


「遅え。今度はこっちから行くぜぇ」

「どうぞ?」

火の球体を作り出し、放つが、水で消された。

やはり、有利不利はかなり厄介だなぁ。


「では、2撃目。」

「がはっ」

こりゃあ、ヤベェなぁ。

速すぎて見えやしねぇし、温度が伝わる前に俺の身体に当たってやがる。

全く、神ってのは強いなぁ。


「弱いですね。所詮は魔王というクズ種族ですか。」

「言ってくれんじゃねぇか。がはっ。首狙うとか、ズルいやかっ」 

挑発しても水の球で喉を狙い話させてくれない。

つまんねえ奴である。

しかし、このままでは確かにマズい。


「ほらほらっ、死にますよぉ?」

「うるせぇ。まだ本気じゃねぇだけだよ。」

挑発してみるが、こんなボロボロでは説得力は皆無かねぇ。

やはり、神には神か。


「初めから分かっていた事でしょう? 女神という神に、魔王とかいう奴が勝てるわけはないのよっ!」

「へぇ、そりゃ面白え。そのキタねぇ面を直ぐにグチャグチャに変えてやらぁ」

その言葉をトリガーにして女神は本気で魔法を放つ。

水ではなく氷だ。

水も少量にすれば弾丸だが、敢えて氷で刺そうとするのは性格が、悪いからだろうなぁ。

俺は目の前に迫る氷の槍を見て、小さく呟いた。


「解放」

「なっ!?」

女神は驚いている。

自身の放った氷が蒸発したからだ。


「俺はよぉ、前の世界で火の神、アグニとして生きていた。この時代にこの姿になったのは初めてだがなぁ」

「そう。それでも、まだ同じ舞台に上がっただけよ?」

俺は火で剣を、女神は水で槍を創り出す。

両者が衝突するが、譲ることはない。


「蒸発しやがれっ!!」

「油断ですか?」

その言葉の通り、俺は油断していた。

横から飛んできた今までで最速の氷の槍が俺の太股に突き刺さったのだ。

直ぐに蒸発したが、傷は治らない。

炎の身を傷つけられるとは思ってもいなかった。


「何しやがった?」

「何をって、やはり、馬鹿ですか。」

大体は予想できる。

炎の身と言っても火の魔力を全身に流し込み、火になっているだけなので、魔力干渉してその部分を人の身に戻したのだろう。

だが、槍を振り、それ等を同時進行するなど反則だろ。


「さて、積みですね。さようなら」

「くそっ」

俺は細かいことは出来ねぇ。

押し切る事は出来るだろうが、現れた100の氷槍を避ける事は不可能。

炎神として負けるのは初めてのことだ。


「助太刀するぜ? 同名さんよ」

「すけだち!」

俺の背後に現れた男は、剣を右手に持ち、メイとかいうキラトの娘を左手で抱えていた。

それでも容赦なく降り注ぐ氷槍を、男は斬り伏せた。


「なっ」

「ナイスだっ!」

驚いて体勢を崩した女神を吹き飛ばす。

そして、すぐに振り返ると、メイを地面に下ろしていた。


「なんで、ガキを連れてきた?」

「スゲー役に立つから。気にすんな。それと、お前って俺と同じ名前のアックスなんだろ? 仲良くしてくれよな」

「めいやくだつよ!」

かなり不安だが、信じることにしよう。

実際、今命を救われたわけだしな。


「同名か。なら、帰ったら酒でも飲もうぜ」

「おうっ! そのつもりで来たからな!」

「めいもがんばるよー!」

俺達は二人は女神に対峙する。

女神とは俺が戦い、周囲の攻撃はアックスがやる。

メイに限っては知らん。

放置しろとの事だ。


「おい、鍔迫り合いは好まねぇか?」

「くっ、舐めるなぁ!!」

「おいおい、怒らせんなよ。速度上がって死ぬ程疲れるじゃねぇかっ!」

そんな事言って全部斬り伏せてやがるアックス。

俺と同名なだけあって強い。

そして、意味が分からないことがメイの周りで起きていた。


女神は敢えて狙ったのだろうが、全て悉く外れるのだ。

運が良いと偶然当たらないとかあるかもしれねぇが、運が高いとかの問題じゃない。

既に50本は飛んでいったのに、槍がメイを避けている。


「なんだありゃ。女神より強いんじゃねぇか?」

「そりゃ分からんが、あんな感じで誰も攻撃当てれねぇから」

それはどんな化物だよ。

攻撃当たらなかったら勝てねぇじゃん。

まだ小さいから攻撃も出来ないんだろうがな。


「メイはほっといて良いから俺を片付けるぞ!」

「分かってらぁ」

メイは一人でそこら辺歩いて草木を観察している。

気にしても無駄なので取り敢えず目の前の敵に集中する。


「アックス、休んでんじゃねぇ! 交代するかぁ?」

「神に魔王が勝てるわけねぇだろ! 頭使え! それでもアックスか、おい!」

俺は、人間アックスに文句を言うが、話してたらどっちも働けという結論に至った。


「クソッタレがぁ!!」

「いい加減にしなさいっ!」

「飽きてきたー」

魔法を飛ばしても無駄なのを理解した女神は槍だけで戦闘をしている。

そして、俺が必死に戦っているのに、アックスは傍観している。


「お前も戦えや!」

「いや、お前熱いから無理。俺、蒸発したくねぇし。」

「【水神魔法】津波」

「【炎神魔法】・・・・・・これ無理だわ。逃げるぞ!」

津波の規模を見た俺は即座に蒸発不可能と理解してその場から逃げる。

しかし、津波は迫ることなく、上空に巨大な水球となり集められた。


「海軍のリーダー達だ。」

「アレが? 一人人じゃねぇだろ?」

俺の視線の先には、人の姿をした龍族の女と、巨大な蛸が居た。

瞬時に蛸は、女神に向かって腕を振り下ろす。


「ぐっ」

「すきありー」

「がっ」

水の盾を出現させて防いだ女神は、スキの出来た腹部を龍族の女に殴られて吹き飛んでいく。


「様あるから先行くねー」

「ゴポゴポ」

女と蛸は女神を吹き飛ばしてキラトのいる方向へと向かっていく。

ここ倒していってほしかったな。


「かはっ、ふざけた娘がっ」

口から血を吐き、立ち上がる女神。

女神というよりも、盗賊っぽい口調である。


「ほら、さっさと終わらせようぜ。」

「これでな。」

俺はアックスと拳を持ち上げる。

アックスも武器を地面に刺している。


「さぁ、行くぜぇ?」

「おう、完璧だ。」 

「武器無しで私に勝てると? 調子に乗るのも大概にしながっ、くっ」

俺達二人は身体強化魔法を発動させて同時に0.1秒差で出る。

先に出たのは俺で、腹部を殴り、後に出たアックスは身体が曲がり前に来た顔面を殴った。


「ふぃー、死んでないよな?」

「ふぅー、大丈夫だろ? 女神だし」  

顔を見合わせて「それもそうか」と笑い合う。

起き上がった女神はかなり怒ってらっしゃる。


「行くぜ。男の本気、見せてやる。なぁ、兄弟?」

「あぁ、行こうか。俺達最強の兄弟なら余裕だろうよぉ!」

拳を構えて女神と対峙する。

剣士が拳で戦うなど異常だが、それなりに武芸は心得ている。


「全てを捨て、捨て身の一撃ですか? 馬鹿らしい」

二人を見て馬鹿にしている女神だが、その周囲には確実に殺すための水の槍が1000、氷の槍が1000出現し、さらに魔力を高めて魔法を放とうとしている。


「これ、ヤバくね?」

「ヤベェなぁ。兄弟、剣拾え」

アックスに剣を拾わせ、迫る槍を斬り伏せていくが、多すぎて追いつかない。

しかし、もうダメだと思った時ら奇跡は起きた。



「あぁ! ちょうちょさんだー!」



俺達の正面から迫る大量の槍との間にメイが乱入してきたのだ。

その理由は、天界にいる蝶が飛んでいるから。


「メイ!」 

「ガキ逃げろ!」

俺達は必死に走り、メイを助けようとするが、間に合わない。


「ん、どうしたの?」


メイは槍に背を向けてこちらに問いかける。

俺達の言葉など無視している。

だが、それも当然のことである。

一本たりともメイには当たらないのだ。

全ての槍が不自然にメイの身体から一定距離に入ると曲がるのだ。


「なんだありゃ」

「運命の子、らしいぜ?」

運命の子?という疑問はあるが、油断してる今が絶好のチャンス。


「行くぞ!」

「おうよ!」

俺はアックスに呼びかけ地を蹴り、敵の懐へ入る。


「神に逆らうでない!!」

巨大な水の槍が空から降ってくる。

目の前には水の盾。

しかし、やれることは既に1つだけ。


「一撃で殺せ!」

「任せろっ!」

俺が水の盾に触れて一瞬で蒸発させ、女神が俺へ伸ばした手をアックスが下から上に剣を振り上げて断ち切る。

刃の傷ついた剣をそのまま捨て、準備は整う。

勢いのまま進んだアックスは背後に、俺は正面に。


「「ダブルラリアット!」」

同時に首に入れ、吹き飛ばす。

首もないのに動く女神の核を手で貫き、蒸発させる。

もちろん、吹き飛ばした頭も拾って蒸発させた。


「辛っ!」

「兄弟、助かったぜぇ」  

俺達は握手し、先頭音のする方を見る。

キラト達の方からは異常な力を感じ、アレは参加しようとか考えることが馬鹿である。


「お父さんのとこいこー?」

「もう少ししたらな」

「はーい!」

アックスはメイを撫で、俺は先程の不思議現象を考える。

運命の力とは偉大なものだ、と。


「寝るか」

その場で寝転がり、空を見上げる。

天界の空は俺達魔王にとっては嫌な眩しさだった。

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