チュートリアル終了
「起きろー」
「はっ!」
「結構寝てしまいました」
「うむ」
爆睡しているゴブリンを起こす。
すると、姿がゴブリンから人へ変わっているではないか。
「え、お前ら誰? ゴブリンは?」
「何言ってるんですか、マスター?」
「ここにいますよ!?」
完全に人間の自称ゴブリン達。
しかし、よく見ると首や顔に皆お揃いの模様がある。
「お前ら、どうなってんの?」
「わからないです。」
「人になってる!」
「うむ」
恐らくだが、あの模様がゴブリンの印なのだろう。
ゴブリンが進化して人になるとかなんなん。
いろいろと調べてみると、レベルが100になっていた。
レベル限界に達した事で進化したのだろう。
ダンジョン内のモンスターは俺の力(瘴気)でレベルが勝手に上がるからな。
「さて、そいつ等と話をするから連れてきてくれ。」
「わかりました!」
「りょうかいです!」
「うむ」
それから5分程で囚われの5人組が俺の部屋へと来た。
「ま、魔王!?」
「や、ヤバい。あの角の長さはヤバい!」
「ど、どうすれば!?」
「ホントにどうなってんの!?」
「産ますのだけは勘弁でござる!」
うるさい5人組を威圧で黙らせ、話をすすめる。
「お前らはここに大量の人を連れてこい。これは命令だ。聞かなければ、分かるな?」
「わ、わかりました!」
リーダーっぽい女だけが返事をする。
やっと黙る事を覚えたらしいな。
「じゃ、お前らを外に出してやるからな。連れてっていいぞ」
「りょうかーい!」
「わかりました!」
「うむ!」
ゴブリン達に運ばれ外に投げ捨てられた冒険者達は、そのバカ達は逃げ去った。
「よーし、全員ゴブリン達は自分の部屋で待機。来た奴らは死にかけるまでここに閉じ込めるからなー」
そう言うとゴブリン達は嬉しそうに返事をした。
数日後には残りの7体も人になっていた。
「ギルドマスターは居ますか!?」
「ど、どうされました!?」
「ヤバいダンジョンがある。至急大軍で攻めて滅ぼさなければマズいことになります!」
「わ、わかりました!」
逃げた冒険者達はB級冒険者で、そこそこ名の知れたチームだったため、すぐに軍は集まり進行の準備は整った。
「入り口が閉まるから注意してくれ!」
冒険者の指示通り、入り口に木を立てて閉まらないようにして全員が入る。
そこまで確認した俺は嘲笑いながら扉を閉めてやった。
前は、上から下に落ちる扉にしたが、今回は左右からエレベーターの扉の様に閉まるようにしていたのである。
「大成功だな。」
密閉された一階層には、計10万の兵士や傭兵が入っている。
想定より多かったため、DPを使用して広げるはめになってしまった。
「それにしても、使った文は直ぐに回収できたな。」
貯まったDP全てを使用して広げたため、0DPになったが、10分で1000万DP手に入るならなんの問題もない。
態々全員が並んで入ってくれたせいで魔物の湧けるスペースすらなくなった。
「凄いですね!」
「DPが凄いことに!」
「うむ」
1時間でDPが6000万貯まる。
しかし、更に人を連れてきてもらうためにここは攻略不可能と思われるのはヤバイので2日程で逃がす予定である。
まぁ、2日あれば28億8000万DPが貯まるからこれ以降はこんなことする必要はないと思う。
「それにしても、クリア不可能なダンジョンってもうすぐ完成するよな。次どうしようか」
『テステス。その質問には私が応えるよー』
先の事を考えていたら閻魔の娘から連絡が来た。
『そこの人が強いからダンジョンを作って欲しかっただけで、放置すれば勝手に魔物が湧いたりするから君の役目は終わりってことだね。』
「え、殺す気か?」
『そんなことはしないよ! 正直言うと、そこでは異世界に慣れてもらいたかっただけ。君の世界で言うチュートリアル! だってその星は出来たばかりだしね。ってことで! 君には作った仲間と共に異世界に行ってもらう! そこではダンジョンイコール城みたいな感じで頼むよ! 父上の魔王も兼任してもらわなきゃいけないからね。実はダンジョンって別に塔とか、洞窟じゃなくても作れるんだよ!』
「へぇ、そこでやっと本当のダンジョンマスターの仕事って事か。」
どうやら、今のこれは試験みたいなものらしい。
それから二日後。
ちゃんと全員生きた状態で開放してやった。
「じゃあ、完成させるぞ。」
『おっけー! 今から転移の準備始めるねー』
俺は貯まったDPで全100階層にし、英雄が集まればクリアできるんじゃね?ってレベルのダンジョンを完成させた。
正直、作るのは楽しいが俺も少しは戦いたいので飽きてた。
これがチュートリアルじゃなかったら辛かったなー。
「よしっと」
『転移の準備できました! 父上が話したいそうなので変わりますね!』
すると、一度プツンッと念話が切れ、また繋がった。
『さて、チュートリアルお疲れ様。君が指示通りダンジョンを作ったり、魔王っぽい事できる人で良かった良かった。もし、今みたいにダンジョン作らなかったらチュートリアル失敗で殺らなきゃいけなかったからね〜。まぁ、何はともあれ試験は合格だ。君には上位世界へ行ってもらう。勇者や英雄が大量だし、同郷の人ととか居るから楽しめると思うよ。何か聞きたいことある?』
「レベルとかどうなんの?」
俺の質問を聞いた閻魔は少し沈黙したあと応える。
『んー、チュートリアルクリア報酬与えるからポイント渡すね。自分で好きなように弄って。あ、大事な事忘れてた。ダンジョンは魔力で作れるようになるからDM能力欄は消えるよ。代わりに魔物創造と眷属召喚ってスキルを付けとくから心配しないでね。』
「さんきゅーでーす」
そう言うと馬鹿笑いしている閻魔。
何が面白いのだろうか。
『はぁー、久しぶりに笑うなー。その鬼畜ダンジョンは全知の神によるとクリア率1%だって。そんな君なら魔王の死亡もしくは封印確率100%の世界の法則を変えれるかもねー』
「100%!? そんな話聞いてないぞ!」
『言ってないからね?』
「またかよ! 一番大事な事をちゃんと伝えろよ!」
また馬鹿笑いしてるよ、閻魔様。
『ふふっ、まぁ、魔王も沢山いるし頑張ってねー(棒読み』
「ちょっ、てめ、クソ閻魔ぁ! お前絶対バチ当たるからなぁ!!」
俺はふざけた閻魔にふざけた感じで本当のダンジョンマスター兼魔王をする世界へと送られた。
「おい! 馬鹿閻魔!」
「冥王神様!?」
一方、送った閻魔は酷い目に合っていた。
「お前、どんなけ強い魔王送ってやがる!」
「え、普通くらいですって!」
閻魔は疑問だらけのまま返答するが、冥王はお怒りだ。
「お前な、今送った魔王の眷族と魔王の能力を考えると異常なんだよ! しかも、魔物創造だぁ? お前、えーっとこのキラトに世界征服させる気か!? お前には創造神様から罰が下るからな。覚悟しておけ。」
「そ、そんな!? なんで、そんなお偉い方から私が!」
「自業自得じゃボケェがぁ!!」
「ひっ」
閻魔にはちゃっかり天罰が下った。
「あ、もう一つ。」
「まだあるんですか!?」
閻魔は泣きそうになりながら問うが冥王の口調には苛立ちが感じ取れる。
「はぁ・・・・・・地母神ガイアのスコップについて、ガイアから話があるそうだ。」
「何でまた偉い人なんですか!?」
「ガイアの愛用スコップを手違いでおくったからだろぉがぁ!! 何、お前なんなの!? 怒られんの俺だからね!? 少しはテメェも怒られてこいやぁ!!」
「もう、勘弁してーーー!!」
こうして天罰を貰い、地母神にボコボコ(半殺し)にされるのだった。
天罰
閻魔:1000年間の世界監視の任を命ずる
神の中で最も嫌な仕事を命じられるのだった。
Prologue 完
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