富雄と5人の魔王
「何でかなぁ」
俺は外を眺めながらそんな事を呟いた。
今は朝8時で後一時間後には授業が始まる。
早く来すぎだのではなく、訓練の後です。
それにしても、魔王、それも最強の魔王と知り合えると知った俺はハーレム作りを手伝ってもらおうと思っていたのに、この世界の現状ってかなりヤバイんだよ。
勇者(笑)が多すぎて勇者がどれか分からない。
この世界来て俺の友達とか無効の世界で友達だった3人しか居ない。
幼馴染にめっちゃ可愛い奴等3人居るけど、中学入ってから近寄んなとか言われて関係ないし。
俺は主人公にはなれないんだなぁ。
『こちらモニカです。本日からそちらに勇者の編入生が五人ほど入るのでその人達と会ってください。そちらでの活動について話してあるので。では。』
また一方的に切られた。
今まで俺から質問した事は一回もないぞ。
だが、潜入調査仲間が増えるのは嬉しいことだ。
「うわっ、朝早くから来てるとかキモい」
「何で居るのよ。なんちゃって勇者が居るとか腹立つー」
「ほんと、こんなんと昔遊んでたとか最悪だよね」
来ましたよ、美人、可愛い、完璧三姉妹。
これが俺の幼馴染です。
なんか、顔が普通すぎるという理由でこんな事言われる俺です。
まぁ、慣れたが。
「無視すんなよ!」
「アンタ何様?」
「元幼馴染なのにその態度何なの?」
「うるせぇよ。話しかけんな、ゴミ女共。顔だけ良くても性格クズとかねぇわ。てかさ、昔は確かにお前らのこと好きだったけど、今は死ぬほど嫌いだからわざわざ話しかけないでくれます?」
こっちに来てからより一層ウザかったので言いまくって外を眺める。
ホント、話しかけないでほしいわー。
外を眺めていると、鳥が飛んできた。
「チュンチュン」
「パンくらいしかねぇぞ?」
パンをやると喜ぶ鳥。
こいつらだけが今の俺の心の癒やしだな。
「ほら、行きな。」
「チュンチュン!」
人が来たので外へ行くよう告げると飛んでいった。
「おっすトミオ!」
「また鳥とイチャイチャしてたのか?」
「よくやるわー」
来たのは俺の親友三人だった。
体育系のヨシモトと、チャラ男のセンドウ、文学系のトモキである。
「てか、お前なんかしたの?」
「三人とも机にうつ伏せてるけど」
「お前な~、もう少し優しくしてやれよ?」
「あのクズ共が言いたい放題言うから真実を告げてやっただけだ」
それを聞いてしまったうつ伏せになっている三姉妹はビクッとなり教室から走り去って行った。
「あーあ、やっちまったな。」
「トミオ容赦ねぇ」
「流石、ドSのトミオだね」
「先生来たぞ。」
先生が部屋に来て数分後鐘がなった。
この世界でも仕組みは一緒である。
三姉妹は鐘の音が鳴り止むのと同時に駆け込んできたが、目元が赤かった。
あんな事で泣いたのだろうか。
「今日はございます5人の編入生を紹介する。君たちと違ってこっちで勇者なった者らしいから圧倒的に君達よりは強いぞ」
そう言って入ってきた奴等は桁違いだった。
そして、俺はその五人を見た瞬間、気が付いた。
こいつら全員があの人の部下だと。
だって、あの人の魔力を僅かに感じるんですけど!
おそらく、転移魔法の時に身体に魔力が少し入ったから分かるんだと思う。
「初めまして、エイラです。」
「初めまして! アンネでーす!」
「シーラ。よろしく。」
「アダンテだ。よろしく頼む。」
「初めましてー。ソリッドです。よろしく」
俺以外の奴らは可愛いとか格好いいとか言っている。
三姉妹はさっきから睨んできてウザい。
「じゃあ、丁度トミオくんの周りが空いてるから座ってくれるかな?」
俺は先生のその言葉に驚いた。
確かに、なぜか、俺の周囲は空いている。
しかし、俺は一番後ろの席なため、周囲をこいつら全員に囲まれるとか気が気じゃないぞ。
(よろしくね、伝説くん)
(これからよろしく)
(よろ)
(よろしくな)
(頼むぜ、伝説)
(よろしく、魔王様方。)
俺の言葉に5人は少し驚き、顔を見合わせた後微笑んで「よろしく」と言って席についた。
「じゃ、授業を始める! 今日は史学からだな。」
こうして授業が始まった。
学校は午前に文学系、午後に体育系である。
俺の横は魔王の女、エイラさんのシーラさんの二人なんだが、スゲー頭良くて助かる。
今、数学なんだが、前の三人は爆睡である。
「寝るなよー」
先生はそんなこと言いつつ、三本のチョークを投げるが、到達することなく消し炭になった。
誰の能力か分からないが、すげー便利だ。
投げた先生も驚いている。
一応、英雄だよね?
「先生、三姉妹がこっち睨んできてウザいでーす」
「授業に集中しなさい。文句ありそうな顔してるけど、私は知ってたからね?」
三姉妹は怒られてショボくれた。
傑作だな。
「よし、トミオ、これの答えは?」
「えーっと」「4」
「4です」
エイラさんが教えてくれた答えを言うと当たってたらしく、かなり驚いている。
「エイラさん、これ解けたの?」
「はい、解けましたよ?」
なるほど。
この見たことない問題を解いたエイラさんに驚いてたのか。
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
「では、次は外ですから準備して指定の時間に集まりなさい。」
先生が居なくなった所で会議開始である。
「どうやって来たんだ?」
「勇者にされてきたんだよ。連絡あったろ?」
「あった。」
魔王の部下が勇者にされてきたとか意味分からない。
少しはアニメとか小説とか見る俺でも全く分からない。
「まぁ、学校案内頼むわ」
「頼むぞ」
「頼む」
「頼みます」
「よろしく!」
「・・・・・・・・・分かりましたよ。」
俺は5人と共に学校の案内をしに部屋を出た。
次の授業は昼からなので時間に余裕はかなりあるのだ。
「なぁ、あれってお前の彼女?」
「俺と気になった。」
「私達三人をすごい睨んでる。」
「ハーレム作り!?」
「あのような女性は気に入りませんね。消したいです。」
「いや、ほっとけば良いよ。 それと、エイラさん、それマジなやつなんで止めましょうね?」
校内を回ってる間付き纏う三姉妹のことを忘れ、5人にしっかり説明した。
そして、昼を食堂で食べた後、外で訓練である。
食いすぎて吐きそう。
「うぇ、吐く」
「おい、止めろよ? 吐くならあっち行けよ」
「あれくらい食っただけで吐くとか大丈夫か?」
ソリッドとアダンテ、お前らが食い過ぎなんだよ。
大盛りの定食2つ食う奴この学校で初めて見たわ。
「トミオモテるんですね 」
「トミオ、本命は?」
「トミオ、ふっ」
「いや、本命とか居ないから。あの三人は絶対無いから。というかシーラさん今めっちゃ馬鹿にしましたよね!? 俺なんかしましたっけ!?」
もう疲れる。気持ち悪いし。
三姉妹はこっち見てきてうざいし。
もうなんなん?
「じゃ、三人ペアを作りなさい! 今日は二対一の形式でやります!」
三人ペアを作ったはいいが、これ、俺が一だったら死にますよ。
「多い人数に対してどの様に立ち回るか見るのて、各自訓練を始めなさい!」
とか言ってたらソリッドとアダンテがチーム組みやがった。
こうなったら死ぬ気で頑張るしかない。
「いくぜ?」
「おう」
「待っ「「ダブルラリアット!」」聞けよ!」
身体を反ってギリッギリッで躱した俺は、腕が通り過ぎた時に起きた風圧で地面に叩きつけられた。
「がはっ、ふざけっ」
「あー、これ殺しちゃいそうだからアダンテ一人な。」
「はぁ? ソリッドが一人でいいだろ。」
人を地面に叩きつけておきながらそんな話をしやがる二人。
初めっから分かってただろ。
「「じゃんけん」」
「ちょき!」「ぱー」
という事で、俺のペアはソリッドになった。
これなら勝てる!
「いくぜ! 死ねぇ!!」
「ちょっ、連携とか考えろよ!」
ガンッ
「なんだこりゃ」
ソリッドの拳はアダンテの目の前で止まった。
防御魔法?だと思う。
周囲の人や、先生が無詠唱?とかざわついている。
「おい、トミオ! お前もこれ壊すの手伝え!」
「分かった!」
「いや、何時までも出してねぇよ」
俺が走ってアダンテの方へ向かうとトミオが殴られて飛んできた。
アダンテ、お前チートだわ。
特にそのパンチの威力な。
「あー、キレた。俺キレたよ、アダンテくん? ぶっ壊れろ!」
「無理だろって、はぁ!?」
地を蹴って一瞬でアダンテに近づいたソリッドがもう一度殴った。
すると、防御魔法に罅が入った。
もう、こいつら化物すぎ。
俺の習った話だと防御魔法って中和か魔法とかじゃないと壊せなくて物理無効のはずなのだ。
「ソリッド、俺もキレたぞ。人の防壁に罅入れやがって。」
「もう一発!」
罅の入った防壁に拳を振り下ろしたソリッドの拳は新しく作られた壁に阻まれた。
「まだ強度上がんのかよ」
「ざまぁ」
ヤバいよ。
この人達このままじゃ学園ぶっ壊れるくらい暴れるんじゃないのか?
「ソリッド、止めなさい。ぶった斬るわよ?」
「アダンテも。」
「ホント二人とも直ぐに熱くなるんだから!」
剣を抜いたエイラに横から抑えつけられるソリッドと、刀を抜いたシーラに防壁の無い背後から抑えつけられるアダンテ。
押さえつけられた二人は抵抗出来るんだろうが、冷静になっていた。
「落ち着きましたね?」
「大丈夫?」
「あぁ、熱くなった」
「すまない」
「ホント男の子って面白いなぁ!」
「なんか、空気ヤバいんすけど。」
生徒も、先生も一瞬の攻防に目を奪われている。
特に、あの剣と刀がヤバい。
なんか、気みたいなモノを感じるんだが。
「よし、今日は解散しようぜ!」
「だなー」
「お疲れ様でした」
「早く寮に戻ろ!」
「疲れた」
「おいっ! お前ら勝手に「い、良いですよ。今日は自習にします。」」
先生が自習にしたぞ。
アイツらの影響力半端ねえ。
「じゃ、俺も帰るか」
「待ちなさい」
「え」
「トミオくん、あの人達の事をよく知ってる様ですので聞かせてくれますよね、ね?」
何故、俺が捕まるんだ。
先生も本人に聞いてくれよ。
「何でおれなんですか!?」
「何でもです。来なさい」
「くそったれーー!!」
俺は先生に引き摺られていく。
最悪だぜ。
こうして、日々は過ぎていくのだった。
魔王軍の説明でござる。
魔王部隊は現在15人居ます
最強 リーダー
絶対不可侵
瞬神雷王
強奪者
戦龍女
監視者
調理者
教育者
治癒者
掃除者
地質学者
英雄
管理者
破壊者
指揮者
陸軍長・副長
地精王・陸魔王
海軍長・副長
海龍王・海魔王