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魔王と運命の子

全く農業をやらずに食って寝るをするのは駄目だということで俺達魔王も農業をしている。



「せいっ、せいっ」

「キラトは畑を耕すのが上手いな。」

「お兄ちゃんだ! 久ぶり!」

「あんた! キラト様を見習ってもっとがんばりなさい!」

俺は大変そうな畑に寄っては耕すのを手伝っている。

今はアックス家の元へ来ている。

もちろん、俺の領地の人達の分だけだが、他の魔王達も同じ事をやっている。


「アックス、後は自分でやれよ。それに、ふざけてるとまた嫁に怒られるぞ? 娘にも嫌われるかもな。」

「まじで!? 頑張るしかない!」

「あなた、ちゃんと働きなさい!」

「おとうさーん、私お兄ちゃんと結婚するねー!」

俺は鍬を右手にスコップを左手に持ってその場から離れようとするが、リカが俺の角にぶら下がっているので、スコップと鍬は空間魔法で収納しといた。

リカは凄く軽いのでそのまま次の畑に向かう。

最近聞いた話によると自給率は150%になったから保存庫を拡張したらしい。


「お父さんは許さないぞ! リカを返せ!」

「触らないでよ!」

ガクッ


アックスはその場で倒れた。

娘の「触らないでよ」はどんな攻撃よりも威力が高かったらしい。


「じゃ、後でリカは届けるから仕事しろよ」

「仕事しなかったらもっと嫌いになるからねー」

「俺は仕事するぞー!」

俺はリカを肩に乗せ、転移陣に乗った。



「よし、大変そうなとこ見つけたら教えてくれよ?」

「分かったー!」

リカは10歳になったばかりなので、結婚結婚と言っているが、後5年もすれば好きな人が出来るだろう。


「にぃに、抱っこ」

「お父さんはどうした?」

「分かんない」

「そうか。ほら、おいで。」

ちっこい5歳くらいの銀髪金眼幼女がテクテク歩いてきたから抱っこしてやった。

可愛いわ。


「名前は?」

「メイー!」

「メイか。今から畑仕事手伝うからリカ姉ちゃんと一緒に待っててくれな?」

「わかった」

大変そうな場所を見つけた俺はすぐ近くに二人を降ろして鍬を振る。


「あら? キラト様と可愛い娘さん達ね。お菓子とお茶あるからこっちにおいで。 キラト様! この子達は中で待たせますね! 終わったらお茶出すので!」

「わかった、頼む! ほら、休むために働くぞー」

「わかってますぜ、キラトの旦那」

俺とおっちゃんは畑仕事を頑張り、周囲との遅れを取り戻した。

何故土魔法を使わないか気になるかもしれないが、食物が良く育つ土地は人の頑張る思いなどが詰まってこそ完璧になるのだ。





「あー、疲れたぁ」

「俺もだぜ〜」

「お茶です。遅れていた所を助けていただきありがとうございます。旦那が病気で寝込んでいたもので」

「それなら仕方ないさ。治療施設を作っておくからこれからはそこに通えよ?」

「それは助かるぜ〜。早めに頼んます。」

「それはありがたいわね。」

話を終えると、リカとメイが居ない事に気が付いた。


「二人は?」

「2階で寝てます。連れてきますね。」

二人を抱いたおっちゃんの嫁さんが2階から降りてきたので預かる。

二人を抱いて外に出る。

メイの親を探さなくてはな。


「リカ、ほら、家に着いたよ。」

「んっ、ありがとお兄ちゃん。またね。」

眠そうに歩いて家に入っていくのを見届け、腕の中で眠る子供を見る。


「メイ、メイ」

「ん〜、ん? なーに?」

「お家何処だ?」

「分かんない。」

「親は?」

「居ない。」

「どうやってここに来た?」

「森から歩いて来たよ?」

少し意味が分からなかった。

一応、俺達が住んでいても周囲の森には大草原から逃げていった魔物などが住んでいるはずなのだ。


「メイのステータス見ていいか?」

「すてーたす? 分かんないけど良いよ。」

一応確認をとってメイのステーテスを見て俺は驚いた。

富雄に会った時の何倍も驚いた。




メイ・デスティニー LV1 (MAX 999)


種族 人


装備 未装備


魔力 100


能力

幸運LV999

激運LV999

豪運LV999

天運LV999


固有能力

超運LV999

絶運LV999

奪運LV999


称号

幸運者・激運者・豪運者・超運者・捨てられた子・異世界からの迷い子


装備 子供用服





「なんだこりゃ」

「メイ凄い?」

「あぁ、凄すぎるな。」

「メイ凄い! えへへ」

メイは嬉しそうに微笑んでいる。

しかし、捨て子とは・・・・


「メイ、俺の家に来るか?」

「行く! メイにぃにの家行く!」

「そうか。後、これからはメイのお父さんになってやるからお父さんって呼びなさい。」

「はーい、お父さんっ!」

嬉しそうにメイは俺をお父さんと呼ぶ。

アックスの気持ちが今なら良く分かるな。

これは、嫁に出せんわ。


「じゃ、行くか。」

「はーい!」

俺は城へと戻った。

すると、トラナとレイラが目を見開いていた。


「何処の誰と作った子よ!」

「詳しく聞かせてもらえますか?」

「お父さん、この人たち怖いよ?」

「んー、そうだな。ご飯食べに行こうか。」

俺はまた転移して食堂へ行く。

食堂に居た多くの人が俺を見て「おぉ」とか言っている。


「何食べる?」

「んー、お魚!」

俺は魚の定食を頼み、席につく。


「魚定食です。キラト様の娘さん可愛いですね。あ、あの、もしよろしければ、あの、私とも夜の営みをしていただきたく」

「んー、考えとく」

「やった!」

「お父さん、早く食べさせてー」

モジモジしながら話す食堂の職員にそう告げると喜んで去って行った。

まぁ、それよりも今は目の前の天使むすめにご飯を食べさせてあげなければ。


「骨取ってよー」

「あっ、すまん。」

この身体になってから喉に骨は刺さらないし、どんな硬いものでも大抵噛み切れるのですそういう事を忘れていた。


「ほら食べな」

「あーん」

「仕方ないなー、ほら」

「(もぐもぐ) 美味しい!」

こうしていると、俺という魔王に可愛がられている事自体が幸運なんだよなー。


「もう無理っ」

「あとは俺が食べるよ」

「お腹いっぱーい」

「ごちそうさま。」 

残りを流し込むように口に入れ、処理する。

骨すら残ってない。


「眠い・・・・」

「ほら、おいで」

「んっ」

眠そうに目をこすって椅子を降り、俺の元へ来たメイを抱きかかえ、頭を撫でてやると直ぐに眠ってしまった。


「可愛いなぁ」 

「キラト! 説明しなさぁい!」

「キラト様! 説明してください!」

俺は空間魔法で二人の居る空間を隔離し、声が聞こえなくしてやった。

二人の今居る空間とここは全く別空間と言っても問題ないだろう。


「(す・こ・し・だ・ま・れ)」

「すいません許して!」

「わかりました! 黙るので止めて!」

二人が何やら叫んでいるが、土下座した所で解除してやった。


(話は明日するから今日は聞くな。じゃあな。)

(わかりました。)

(わかった。)

俺は自分の部屋に転移した。


「【魔物創造】教育者マスター。【魔物創造】治癒者ヒール。【魔物創造】掃除者クリーン。【魔物創造】地質学者ジオロ。」

創造した魔物達が、膝を付いて頭を下げている。


「やる事は分かってるだろ? 頼むぞ」

「「「「了解しました」」」」

4人が部屋から出て行き、横で寝ているメイを見る。

服を掴んで離してくれないのだ。


「風呂入らなきゃな。メイ、少し起きなさい。」

「んー?」

一応風呂はあるが、やはりジオロには早急に温泉を見つけてもらいたいものだな。


「お風呂入るよ」

「はーい」

メイを風呂に連れていき、身体と髪を洗い、風呂に浸かる。


「あったけぇ」

「あったけー!」

バシャバシャ楽しそうなメイを見ていると和む。


「10秒数えたら出ようか。」

「はーい!」

二人で肩まで浸かって数を数える。


「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10」

「いーち、にー、さーん、しー、ごー、ろーく、なーな、はーち、きゅー、じゅー!」

10で立ち上がったメイとともに風呂から上がる。


「ほら、濡れてるから」

「えへへ」

髪を吹いて新しい服を着せてやった。


「ほら、寝るぞ」

「はーい!」

ベットに入るとメイも駆け寄ってきてベットに入ってくる。

ベットに、顔までモグってモゴモゴして遊んでいる。

それも数分で、直ぐに眠ってしまった。


「初めて会った時より大分元気だな。」

やはり、この街に初めて来て緊張していたのだろう。

この歳で捨て子、しかも異世界からの迷い子とは。


「俺が育ててやるしかないよな」

「すー」

この能力を悪用しようとするものは多いだろう。

ならば、俺の元にいるのが安全だ。

そして眠っているメイの頭を撫でながら俺も眠りに付いた。



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