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勇者殲滅作戦➃ 最強VS英雄

ブワッ



突然暴風が吹いた。



「なんだ今の。本体、探索してたんならなんか分かんねぇのか?」

「なんか、一瞬探索にキラト様が入って一瞬で出てった。俺追いかけてみるわ。」

「りょーかい。こっちは任せろ。」

「頼むな、俺。」

俺は一緒にいた俺に、キラト様からの頼まれ事を任せてキラト様を追うことにした。


「本当に能力使えねぇのか?」

全力で走っているのに追いつけない。

この世界が広いせいもおるだろうが、見た感じ一蹴りであの速さを出してたように見える。


「ホント、格が違うな。」


ヒュッ


「ん? あっぶね」

突然横から飛んできた弓矢を避ける。

俺の速さに合わせて撃てるとか凄いな。


「こんな所に魔王が居るとは驚きました。」

「なんだアンタ。勇者、ではなさそうだな。」

矢を片手にこちらに歩いてきたのは黒髪ロングに黒目の美人さんだった。


「勇者なのに知らない? まぁいいか。私は勇者を超えた者、英雄さ。」

「英雄、ね。」

確かに、勇者とは強さが段違いだ。

勇者から英雄になるには何かきっかけが要ると思うのだが。


「鑑定。」

「なんで英雄になったのか気になった感じかな?」

「そうだ。だが、魔王殺しとは驚いた。」

「そうだろ? 魔王を殺すと魔石と間違う宝玉という物が現れる。それを取り込むことで英雄という勇者の次の段階へと進むのさ。」

勇者はそんなもん出さないくせに魔王だけ狩られる理由があるみたいで嫌な感じだ。


「私の糧になりなさい。」


ヒュッ

パシッ


「そう焦んなって。」

「なっ、まぁ、そこそこやる様ですね。」

近距離で放たれた矢を掴み取ってやると、かなり驚いている英雄ちゃん。

顔は可愛いのに、勇者関連とは悲しいねぇ。


「穿け、マリアナ!」

「遅えんだよなぁ。英雄でもこんなもんか?」

「なんだ、貴様のその力は、何なのだ!」

「叫ぶだけしか出来ないとか犬かなんかかよ。キラト様に手合わせでも頼むか。」

目の前の勇者にそこまでの力を感じない俺は、無視して進もうとした。

だが、背を向けた瞬間に英雄は英雄になった。


「英雄化」

「うわっ、ズルいなぁ。せこいせこい。」

英雄になった女は倍以上に強くなった。

矢なんてさっきまでいちいち背中のケースから取って構えてたのに、聖属性の力で生み出して追尾付だし、強くなりすぎ。

俺の速さに付いて来れる点は流石狩人というところだろう。


「【連射】二十連・追尾」

「あっぶね!」

光の弓が二十連射され、全て躱すが、追尾がうっと惜しい。


「【魔弾】バレットⅦ」

対属性の闇弾を当てて防ぐと、女は消えた。

森の中に隠れたのだろうが、探索で簡単に分かる。

隠密レベルが俺の探索より低いのだろう。


※バレットⅠ(火)・バレットⅡ(水)・バレットⅢ(風)・バレットⅣ(雷)・バレットⅤ(土)・バレットⅥ(光)・バレットⅦ(闇)



「【縛鎖】ダブルチェイン」

「そんなもの当たりませんよ。」

「へぇ、なら俺が捕まえるだけだ。」

「鬼ごっこですね」

鬼ごっこは知らないが、追いかけっこの進化版だろうか。

なにはともあれ、これだけの勇者の力を野放しにはできないな。


「貴方、魔王にしては人間っぽいですねっ!」

「元人間だからな。というか、追いかけっこ中に魔法撃つなよ。」

大量の魔法を放ってくるので、気を蹴ってギザギザ進み、回避する。


「元人・・・・それにしては私達勇者に対して礼儀がなってないですね。あなた方を救うべくこの世界に召喚されたと言うのに。」

「へぇ、助けられたことなんて無いけどな。俺の知り合いも姉を無理矢理連れてかれたとか勇者に対して憎しみしか持ってなかったぞ。」

そんなことを言ってやるとかなり驚いた顔をしていた。


「なんだ、そんな訳ないとでも言うつもりか? 実際、俺達を助けてくれたのは勇者でも英雄でもない。魔王様だ。あの魔王様は奴隷も村人も全員を助けたぞ? それに対してお前らはスラムがあるのは当然みたいな顔してるし、信用ならねーわ。なんとか言えよ。」

魔法の乱射は止めず、こちらを見ることさえ無く走り続ける女。

何も言えないところを見ると、知らなかったか?


「その者達の名前は?」

「知らねぇよ。今頃死んでるだろうけどな。」

「そうですか。まぁ、そんな風にでは英雄にはなれませんからね。」

「へぇ、英雄にも条件があるのか。だが、分かってんだろ? お前じゃ俺には勝てねぇよ。」

どこまで逃げるのか分からんがとにかく追いかける。

今一瞬シーラと俺が見えた気がしたが気のせいか?

いや、探索にひっかかったから本物か。


「貴方、このまま付いて来ると死にますよ?」

「この先の巨大な魔力がぶつかり合ってるとこまで行くつもりか?」

「よく分かりましたね。その通りです。」

「マジなのか。なら、死ぬのはお前だぜ?」

そして、次の瞬間女は立ち止まった。


「それは、どういう意味かしら?」

「魔王達が集まってお前達クズな勇者共を殺しにかかっているからな。クズじゃなければ死んでないだろうけどな。」 

結構驚いてるが、魔王を殺そうとしてるんだから殺されても仕方ないだろうに。

それに、こちらはクズしか殺していないしな。


「しかし、この先の場所には私のような英雄が沢山居るんですよ?」

「俺が上位の魔王だとでも思ってんの?」

「まさか、いや、そんな」

「今アンタが考えた通りさ。俺は魔王様に鍛えられた魔王。本質的に魔王な訳ではない。」

「アナタに構っては居られなくなりました。」

「へぇ、でも、アンタは止まった時点で負けてんだよ。【森羅万象】全装備原子化」

英雄の装備を全て原子へと変えてやった。

この原子という言葉はエンドと合体してから得た知識である。

知識的な記憶のみ引き継いでいるのだ。


「へ? え、あ、な、何するのよっ、変態!」

「見動き取れないとは、それでも英雄か?」 

しゃがみこんで身体を隠す女は、戦うことなど出来ないだろう。

鑑定してみたが、これと言って凄い能力はなかった。

まぁ、勇者だなって能力しかないのによく英雄になれたものだ。


「お前って勇者より弱くないか?」

「勇者より強いから英雄なのよ! というか服何してくれんのよ! あれオリハルコンなのよ!」

「さて、死ぬか、堕ちるか、どっちが良い? 言っておくが、悪はお前達は勇者側だからな。」

「悪は貴方達がでしょうに!」

これは言っても無駄だな。

まぁ、仲間を信じたいのは仕方ないか。

何か証拠の様な物があれば引き摺り込めると思うんだがな。


「ソリッド、止まってると思ったら強姦してんのか?」

「ソリッドくん、最低だね。」

「俺、俺に軽蔑するわー」

「いや、分身戻れよ。というか、強姦じゃねぇから。」

分身は消え、二人の話を否定するが、信用してない目だ。


「いや、コイツ英雄でさ。力を失わせるために武器とか原子化してやっただけ。」

「へぇ、英雄か。」

「可愛いね。」

「何で、魔王がこんなに・・・・・何が起きて」

みんなが納得してくれたところで手を考えよう。


「この子、かなり良い娘なんだよ。殺すのは正義じゃない。だから堕とそうと思うんだが。」

「へぇ、あのクソ共みたいなのが多かったら困るわな」 

「でも、堕とせる手段がない。放置して魔王様たちに撤退してもらうべき。これ以上耐えるのは流石にキツイと思うし。」 

という事で、今回はここまでだ。

早く撤退を伝えに行こう。


「じゃ、勇者と英雄達が信用できなくなったらここに来い。じゃあな。」

「魔王城の場所教えて良かったのか?」

「良いんじゃない? どうせ魔力が濃くてバレてるだろうし、これから魔王城がもっと集まるわけだしね。」

俺たちは英雄に背を向けて走り出す。

俺達のために軍を止めてくれているキラト様のために急がなければいけない。


「また会おう。」

「じゃあな、良い英雄。」

「ばいばい」

俺達三人は英雄を放置してキラト様の元へと向かった。



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