アンネの修行
♦アンネ・テンペスト 視点
「入れ」
「あ、はい。」
私は、あまり話すのが得意ではないです。
いわゆる、口下手なのです。
「おい、コミュ障。」
「は、はい、なん、です、か?」
「その、コミュ障治せ。治さねぇと何も教えねぇから。」
「そ、そん、な。直ぐ、には、無理、です。」
「うっせぇ。一週間以内に治せ」
「が、頑張り、ます。な、なので、あの、」
「あーもう! 早く言えよ! 遅え!」
「す、すいま、せん。 お、お話に、つ、付き合って、くだ、さい。」
「分かった分かった。話題はお前が出せよ。」
私はスティーラーさんと一週間話をして口下手を治しました。
治してみると、なんで口下手だったのか分かりません。
「よし、修行を始めるか。俺のことは師匠と呼べ。一度呼ばれたかったんだよな。」
「はい、師匠!」
「取り敢えず、強奪範囲を広げるためにスキルをレベルMAXにしろ。今のままじゃどうにもならん。後、身体も鍛えるぞ。」
「わかりました!」
初めの一年はこうして始まったんですが、私、半年でスキルレベルが全部MAXになってしまいました。
わたし、そういう特殊体質なので、スキルレベルに関してはちょっとズルいんです。
「どれ、ちょっとステータス見るぞ」
「あ、はい!」
師匠は鑑定で私のスキルを確認して、ウンウン頷いています。
♦
アンネ・テンペスト LV14 (MAX 999)
種族 エルフ
装備 鉄の短剣
魔力 3,000 (通常1,000程度)
能力
強奪(物)LV10
強奪(人)LV10
短剣術LV10
固有能力
影魔法LV10
称号
強欲の加護・闇精霊の加護
装備 冒険者の装備 (下級)
♦
「へぇ、完璧じゃん。まぁ、魔力は毎日全部使え。それで魔力量は増える。後、身体も作れ。で、次やる事だが、俺からはヒントしか教えない。ヒントは、全てを強奪しろ、だ」
「あのー、分かりましたけど師匠のステータス見せてください。」
「いいけどー今は駄目。この課題をクリアしたら見せてやる。」
「分かりました!」
取り敢えず、師匠に言われた通り腕立てとか頑張って課題をクリアしなきゃ。
「強奪・・・・全てを強奪、かー。人と者は手元まで移動できるんだよね。だから、魔力とか身体能力ってことだ!」
「へぇ、早いな。」
私が考えつくと師匠が、近寄ってきた。
また実験台になってくれるみたい。
「ほら、やってみ」
「せいっ・・・・・できませんけど?」
やってみたけど、全然できなかった。
まず、出来たという実感が全くない。
「そりゃそうだろ。何度もやって覚えろ。」
「はい、師匠!」
取り敢えず何度も何度もやったら4日でやっと能力を手に入れた。
「さっさとレベル上げしろ。」
「らじゃ!」
それから一年かけてレベルMAXにした。
いやー、大変でした。
だって、強奪(魔力)、強奪(能力)、強奪(身体能力)の3つはレベルMAXが100なんですもん。
まぁ、能力とか限りがあるから、強奪して、強奪されるの繰り返しでした。
「お前ってやっぱスゲーわ。」
「ならステータス見せてください!」
「ほいほい。」
「やった!」
♦
強奪者 LV999 (MAX 999)
種族 魔王
装備 宝刀・小太刀ブラッド (専用創造武器)(血液操作)
魔力 1,000,000,000,000
能力
鑑定LV10
威圧LV10
隠密LV10
探索LV10
暗視LV10
再生LV10
短剣術LV10
魔法短剣術LV100
固有能力
瘴気LV10
強奪(物)LV10
強奪(人)LV10
強奪(魔力)LV100
強奪(身体能力)LV100
強奪(能力)LV100
状態異常無効化LV10
極影魔法LV10
称号
魔王に創られし魔王
装備 魔王の軽装
♦
見ちゃいけないレベルの強さでした。
「どうだ?」
「いやー、はい。化物ですね。」
「そりゃあなぁ! まぁ、7分の1だがな!」
「そ、そうでしたね。」
「ほら、お前はまだ強奪を完璧にしただけなんだから次は短剣術だ。少しは教えるから頑張れよー」
「らじゃ!」
取り敢えず頑張って短剣を振ります。
新しい短剣術を手に入れなきゃいけないので。
こうして、1年、2年、3年と過ぎていき、最後の年、地獄が待っているとは思いもしませんでした。
「やっとこの時が来たな。」
「死刑宣告?」
「いや、こっからは実戦形式だ。能力の強奪は禁止な。さて、始めるか。」「らじゃ!」
しかし、私は調子に乗っていました。
何故なら、私はレベル14なのです。
「強奪(身体能力)」
「うぅ」
レベル差が酷すぎて、身体能力が丸ごと奪われて立てなくなった。
「ちょっと返してください。立てない。」
「返せねぇよ。俺達は強奪者だぞ? 返せるわけねぇよ。」
ということで、次の日。
「よし! 回復しました! あの、話があるのですが!」
「強奪(魔力)」
「(バタンッ)」
「なんだ、また立てんのか?って気を失ってやがる。全部奪っちまったか?」
魔力は精神力なので相当精神力が強くない限り魔力0で気を保てるわけがないのだ。
ということで、更に次の日。
「話を聞いてください!」
「お、おう。」
第一声に止めました。
もう、2日無駄になりましたから。
「えっとですね、まず、レベル上げさせてください。簡単に言えば、師匠はか・な・り手を抜いて能力使用しないで私と戦ってください。」
「はいはい。分かりました。」
それから私はボコボコにされ続けました。
レベルも上がるのですが、死にそうです。
サンドバッグになってから100日目。
私はレベル500を超えました。
ちょっと、M属性が開花したのは内緒です。
「さて、かかってこいっ!」
「ぐはっ! ちょっと、かかってこいっ!とか言いつつかかって来ないでくださいよ!」
言ってる事とやってる事が噛み合っていない。
「休憩な」
「酷いっ! 酷すぎます! 私が立てなくなってから休憩なんて!」
「十分話せてるじゃねぇか! もっと奪うぞ!」
「ひ、酷い! 精神力が鍛えられただけですよ! 身体能力奪い尽くすなんて酷いです!」
それからまた日が過ぎた。
もう、M属性の女から極マゾの女になりそうです。
五年もあっという間で、本日最終日です。
ですが、この五年間で私はかなり打たれ強くなりました。
決してマゾになったわけではないです、決して。
「よーし、最終日は殺試合だ。覚悟はできてんだろ?」
「ふふっ、もちろんですよ!」
「なんか、お前ってめっちゃキャラ変わったよな。」
「返させたんでしょうに!」
確かに、口下手な私はもう死にました。
今居る私はマ、ゾではなく、前より強い私です。
「さて、始めようか。」
「らじゃ! 強奪(身体能力)!」
「卑怯すぎだろ!?」
「強奪者はこうでなくちゃ!」
「良い強奪者になりやがって!」
「褒めても何も出ませんよ! 強奪(身体能力)。」
二度奪っても全く奪い切れる気がしない。
どれだけ身体能力高いんですか!
「さぁ、一発打ち込んでみろや!」
「わっかりました! 強奪強奪強奪強奪強奪強奪強奪強奪強奪(身体能力)!」
「おまっ、打ち込めって言ったのに奪いやがって」
「へっへーん! 行きますよ!」
今、私は師匠を超える身体能力を得ました。
これで、吹き飛ばせる。
「強奪(身体能力)」
「え?」
「残念でした。」
「くっ」
殴ろうとして腹部に当たった拳から一気に奪いつくされた。
直ぐに距離を取ったので全ては奪い尽くされ無かったが、奪った分はしっかり奪い返された。
「さぁて、死ねよ。強奪(魔力)(身体能力)」
「くっ、抵抗!」
「良い判断だ。」
「それでもどんだけ奪ってくんですか!」
私のMAX値から半分持っていかれた。
このままでは、確実に殺される。
「はい、死亡。」
「かはっ」
私は考え込んだ瞬間腹部を殴られた。
内臓が破裂してこのままでは死んでしまう。
「さぁ、死ぬぜ? 限界を突破しろよ。」
「強奪(物)」
「がはっ! てめっ」
「何ですか?」
私は破裂した内臓を代償に師匠の内蔵を身体には代わりに入れた。
適合するかは分かりませんが、こうしなければ確実に死にます。
「良いねぇ、良いねぇ!! 再生。」
「卑怯すぎでしょ! ぐっ、やっぱり適合してない?」
「いや、違う。俺が、お前の中から内蔵を奪った。」
「何を代償に・・・同じ内臓ですか・・・・・」
私が、奪った内臓を再生した内臓を代償に強奪。
しかも、無くなった内臓は再生で復活。
再生は再び生まれる能力なので、本当に何でもありである。
「かはっ、こほっ」
「おいっ、このまま死ぬ気か? おいっ!」
「がばっ」
「死ぬぜ?」
倒れて血を吐く私の、無くなった内臓部分を踏みつける師匠。
鬼畜である。
もう、マゾとか喜びとか関係なく、死ぬ。
「死んで、たまるかぁ!!」
「それで立てんのかよ!?」
死ぬ気で立ち上がって師匠を見るが、視界が暗い。
あぁ、弱い自分にイライラしてきた。
私が弱いからお姉ちゃんは連れて行かれたのにっ!
「おらっ! その弱さにさっさと怒れや!」
「がはっ、師匠なんてぶっ殺す!」
また横腹を蹴られた。
もうフラフラするけど、もういい、キレた。
〈限界突破を確認〉
〈強欲の強奪者の称号を取得〉
〈強欲の強奪LV1を取得〉
「私は、許さない! 寄越せぇ!!」
「おまっ、スゲーな!」
師匠から全魔力と全身体能力、全能力をだいたい奪いきった。
抵抗されたので全てではないがこれなら勝てる。
「再生」
「いいねぇ。でも、終いだ。」
「え(ドスッ)」
「おめでとう、合格だ。」
私は気を失わされた。
何が起きたか分からなかった。
身体能力は特に奪いきったはずなのにあの速度はおかった。
「何が・・・・」
「起きたか。」
目を覚ますと全身を治された状態だった。
「最後、何をしたんですか?」
「俺はさ、元から魔力も、身体能力も全部出して無いんだわ。出してるのは20%だけ。」
「20%を奪っただけの私に、全てを奪ったと思わせる。そんな事が可能なんですね。」
「あぁ、蓋をしっかり出来ればな。まぁ、それはすぐにできるようになる。ひとまず、体力を、回復させろ。」
「分かりました。」
私はそのまま眠りにつき、半日以上眠りについてしまった。
「おはようございます。」
「おう。もう、他の奴は出てるかもしれねぇからさっさと儀式始めるわ。」
儀式が何か知りませんが、私はやる事ないらしいです。
「我は汝の力になるべく生まれた者。汝に我が力を。」
「師匠、身体が・・・・」
「おう、俺は今から力の結晶になる。それをお前は飲み込め。」
「分かりました、けど、 師匠は、どうなるんですか?」
「そりゃ消えるんだよ。」
何そんな普通に言ってるんですかと言いたくても、既に師匠は消えかけているので無理なのだろう。
「まぁ、なんだ。お前に師匠って呼ばれて嫌な気はしなかった。それと、サンドバッグ扱いして済まねぇな。俺達強奪者は打たれ強くないといけねぇから容赦なくやらしてもらった。まぁ、謝りてぇことは沢山あるが、許せ。全てはこの日のためだったんだからな。遠慮なく飲み込め。俺は、お前の力になるために生まれてきたんだから。」
「し、師匠が、良い事言ってるよぉ!!」
「てめっ、人が真剣に言ってるってのにそれはねぇだろ!?」
「すいません、師匠。私は初めから遠慮なく師匠を食べるつもりでした。私の力になってくださいね。」
「容赦ねぇな。泣いたりとかねぇのかよ。まぁ、力は上手く使えよ? それじゃあな。」
「はいっ! 今までありがとうございました!」
師匠は漆黒の宝玉を残して消えた。
これを飲み込めば任務完了である。
「いただきます、師匠。」
師匠はとても美味しかったとここに記す。
「もう一個くらい食べたい・・・・」
〈馬鹿なこと言ってねぇでさっさと行きやがれ〉
「師匠? そんなわけ無いか。まぁ、行ってきます、師匠。」
幻聴が聞こえたけど、本当の声と思いながら師匠に挨拶すると扉が現れる。
「いざ、勇者ぶっ殺!」
私は意気込んで外へ出た。
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アンネ・テンペスト LV999 (MAX 999)
種族 精霊魔王
装備 宝刀・小太刀ブラッド (専用創造武器)(血液操作)
魔力 1,950,000,000,000
能力
鑑定LV10
威圧LV10
隠密LV10
探索LV10
暗視LV10
再生LV10
短剣術LV10
魔法短剣術LV100
抵抗LV480 (MAX 999)
固有能力
強奪(物)LV10
強奪(人)LV10
強奪(魔力)LV100
強奪(身体能力)LV100
強奪(能力)LV100
状態異常無効化LV10
瘴気LV10
影魔法LV10
極影魔法LV10
強欲の強奪LV1 (MAX 100)
称号
強奪神の加護・強奪者の弟子・強欲の強奪者
装備 魔王の軽装
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