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第4話:日常〜休日編〜

「また、あがりぃ! えへへ、ヤコが一番乗りだよ!」


ご機嫌な様子のヤコ。

早速だが、今俺達はヤコの家でゲームをしている。

メンツは俺とヤコ、そしてネコの三人。

やっているゲームはキンタロ電鉄5。

電車で世界を回る双六で、プリステ4のゲームだ。

さっきから、俺とネコはそのゲームで、強運を見せるヤコに5連敗中。


「ねぇねぇ、ヤコ凄いでしょ? ね? ね?」


キラキラした目で俺を見るヤコ。

ヤコのこの目は「褒めて褒めて」のサインだ。

敗者に称賛を求めるのは、実に残酷な話じゃないかと思うんだが、苦笑しながらも、ついつい撫でてあげてしまうんだから、つくづく俺も甘いよなぁ。

クシャクシャッと撫でながら、「ヤコは凄いなぁ」なんて褒めてやると、尻尾をブンブン振るのが見える程、嬉しそうに笑うヤコ。

さて、この部屋にはそんなヤコを見て、深く項垂れている少女がいる。

ヤコの姉貴分、ネコだ。

ネコは、ヤコを実の妹のように可愛がっている。

だが、それ故に、ネコは姉としてのプライドを持っている、らしい。

実は俺とヤコは、3回目くらいで終わりにしようとしたのだ。

しかし――


「ま、まだよ……次こそは勝つんだから!」


項垂れていた頭を勢いよく起こして、うっすらと瞳を潤ませながらもコントローラーを握るネコ。

そう、ネコが終了を許さなかったのだ。

姉の沽券にかかわるとでも思っているのか、何度も再戦を申し込み続け、今まで全敗。

もうそろそろ諦めたかと思っていたんだが、流石はレオガイガー。

不屈の精神で再び立ち上がったようだ。

しかし、いくら今日が休日とはいえ、午前中から始めて、もう一時過ぎ。

いい加減俺も疲れてきたし、そろそろ止めようか、なんて思って口を開きかけた……んだが。


「うん! 今度もヤコがおにいちゃんに褒めてもらっちゃうんだから、負けないよ〜!」


と、やる気満々なヤコの言葉で、タイミングを逃して渋々コントローラーをとったのだった。

そして、その結果は、やはりというか、なんというか……ヤコの勝利。

ネコは項垂れ、ヤコは俺の膝の上で、猫のように喉をならしている。

ヤコを撫でながらも、チラリとネコを見ると、相当落ち込んでいるんだろう、さっきよりも瞳を潤ませ、それでもコントローラーに手を伸ばしていた。

俺は呆れたように声をかける。


「なぁ、そろそろ止めようぜ? 俺もそろそろ疲れたし、な?」

「……ダメ。せ、せめて…せめて一回くらい……」


ネコの瞳は真剣で、コントローラーをしっかりと握っていた。

俺も頑張ってはみたんだが、ネコとご機嫌なヤコに押し切られてしまい、結局その後も全戦全敗。

さすがに9連敗目で、二桁に突入するのはマズイと思った俺は、時間を理由に無理矢理ゲームを切って、ヤコの家を出た。

俺の家はヤコの家の隣りなのだが、少し家が遠いネコを送るのは、三人でヤコの家で遊んだ時のルールのようなものだ。

と、言っても俺が勝手にやってることで、誰に言われたわけじゃないんだけどな。

だいたい、レオガイガーを送る必要性はないんだし。

止めてもいいんだけど、ま、気分の問題ってことで。

さて、隣りを歩くネコは当然ながら、思いっきり落ち込んでいる。


「まぁ、そんなに気にするなよ。たかがゲームだろ?」

「うん……」


頷きはしたネコだが、やはり落ち込んだまま。

俺は困ってしまい、ワンワンワワンと犬のお巡りさんのように鳴き――心の中で、だが――頭を抱えていた。

そもそも、どうしてあそこまで勝負に拘ったのかがよくわからない。

ネコは確かに負けず嫌いな方ではあるが、あそこまで拘る事はあまりない。

そこまで、ヤコに負けるのは嫌だったんだろうか?

俺にはよくわからないが、それが姉のプライドって奴なんだろうな。


「まぁ、妹分に負けたのが悔しいのはわからなくもないけど――」

「ち、違うのっ!」


俺は大人ぶって理解を示そうとしたんだが、ネコの声に遮られた。

思わず首を傾げてしまう俺。


「違う?何が違うんだ?」

「だ、だから……私が落ち込んでるのは……その、ヤコに負けたのが…悔しいからじゃなくて……えっと…ヤコばっかり……ってたから…わ、私も……て欲しかったから……」


ネコが小さくボソボソ言うもんだから、ところどころ聞こえなかった。

やっぱりよくわからなくて、俺が首を傾げていると、ネコはじれったくなったのか、いきなり大きな声を出した。


「だから、ヤコばっかり褒めて貰ってたから、わ、私も褒めて欲しかったの!」


顔を紅葉みたいに真っ赤に染めて叫んで、呆けていた俺を置いて小走りで先に行ってしまうネコ。

俺はその意外だった言葉の意味を理解して、思わず笑顔を零してしまった。

先に行ってしまったネコを追いかけて、俺は走った。

すぐに追いついた俺は、首筋まで赤くしているネコの頭をちょっと乱暴にくしゃりとやって、声を掛けた。

声が勝手に弾んでた理由なんて知ったこっちゃない。


「よしよし、ネコは頑張ったな」


ネコはびっくりしたように、目を大きく開いて。

次の瞬間には満面の笑みを見せてくれた。

照れくさそうに一つ頷いて、見えてきた家に駆けていくネコ。

俺は、ネコが家の前で一度振り返って大きく手を振り、家に飛び込むように走って行ったのを見届けてから、ゆっくりと来た道を戻った。

それにしても……ネコとヤコをニブチンだニブチンだと言っていた俺だが。

どうやら俺も、お仲間だったらしい。

歩きながら、俺は自分に呆れて溜息をついたのだが、気づけばいつの間にか笑みが浮かんでいたのは――


沈みかけた夕陽を見て、ネコの染まった頬を思い出したからなのかもしれない、なんて、なんとなく考えていた。

第4話まで読んで頂いて、嬉しすぎて倒れそうなひるこです^^


今回はネコ重視で書いてみましたw

するとどうでしょう!

なんとなく作風が違って見えるから不思議です。(自意識過剰?)

いかがでしたでしょうか?

ネコをほんの少しでも好きになっていただければ幸いですw


さて、突然ですが昨日までにプロローグを読んでしまっている方に、この場をお借りして、ご連絡と謝罪をさせていただきます。

ネコとヤコの身長が、イメージと食い違っておりましたので、訂正させていただきました。

既にプロローグを読んでくださっていた方々にはご迷惑をおかけします;;;

申し訳ございませんでした。


さ、さて、こんな作者が書く小説ですが、次の話も読んでくださると信じて

しーゆーあげいんです!

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