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第3話:日常〜下校後編〜

背の高いお父さんとお母さん。

その間にいる幼い少女が、二人の手を握って楽しそうに話しかけている。

あぁ、今にも聞こえてきそうだ。

やけにお若いご両親ね、とか……。

違うっ、違うんです!

俺達は仲の良い幼馴染で、今下校の真っ最中なんです!

……と、心の中で、言い訳をしながらの仲良し下校。

唯一の救いは、三人とも学園の制服を着ているお陰で、実際に言い訳をしなくていい事くらい。

……あぁ、今すぐ逃げて帰りたい。

それでも、俺とネコの間でご機嫌なヤコを見て、そんな事できるわけもなく。

ホントに嬉しそうなんだもんなぁ〜。

もう、100点満点の笑顔っていうのかな。

この笑顔を壊す奴がいたら、問答無用で成敗だな。

でも……やっぱり、周りからの視線が痛い…うぅ。


と、いうわけで下校中。

見ての通り、ネコと合流した俺とヤコ。

ネコとヤコの二人は、一緒に帰る時はよく手を繋いで帰る。

普段ならそんな光景に、ほのぼのとした気持で微笑むんだけど。

いかんせん、今日は俺までヤコと手を繋いでしまっているもんだから、もう後ろ姿は完全に仲良し親子。

ネコが来たから、もう手を離して良いかって聞いたら、ヤコの奴、一瞬でウルウルモード突入。

ヤコのウルウルモードに敵うわけがないじゃないか。

結局、流石に恥ずかしがるネコですら、あの瞳には勝てず現在にいたる、と。

ネコもどんな風に見られているかが分るのだろう。

普段は白い頬を、うっすらと桜色に染めて、軽く俯きながら歩いてる。

そんなネコを見て、ちょっとだけドキッとしたのは内緒だ。

さて、この様子からして、レオガイガーとブラックナイトの二人が、普段は仲良しだと分って頂けると思う。

これも全て二人が互いの正体を知らないおかげだ。

しかし、以前述べたと思うが、ネコを含む生徒会メンバーは、学園内ではその正体を公表している。

それなのに何故ヤコが気付かないのかと、不思議に思ってる人もいるだろう。

その理由は二つある。

その内の一つは――


「あ、会長。今日はレオガ――」

「あぁ!今日はレオ君はお休みしたみたいね!?」

「え、あっ!そ、そうなんですよ。どうしちゃったんですかねぇ、れ、レオ君。」


ははは……なんて、不自然に笑いながら去っていく、隣のクラスの後藤君。

可哀相な奴。

ネコの、ものすごい気迫を前にして、敬語になっちまってるよ。

でも、今のワンシーンに、一つ目の理由の全てが込められているんだよな。

とりあえず、今何があったのか、わからなかった人のために、今のシーンをもう一度見てみよう。


「あ、会長。今日はレオガ――」


はい、ここで後藤君は、おそらく「今日はレオガイガーの仕事は?」とか「レオガイガーは休み?」とか聞こうとしたと思われる。

しかし、その途中で、おっそろしいプレッシャーを掛けながら、ネコが言葉を遮った、と。

おそらくこの時、後藤君は地獄で微笑む阿修羅を見た事だろう。

そして、後藤君は、ネコの隣りで不思議そうにしているヤコに気づいた。


「え、あっ!そ、そうなんですよ。どうしちゃったんですかねぇ、れ、レオ君。」


と、いうのが丁度その瞬間だな。

この、不自然な「れ、レオ君」でわかる通り、俺の知るかぎり、うちの学年には“レオ”なる生徒はいない。

まぁ、苦しい誤魔化しに突っ込んでもしかたがない。

問題は、“何故誤魔化したのか”だ。

実は、ネコはヤコにレオガイガーだとばれたくないらしい。

その理由は簡単。

ヤコはおさる兵が大好きだからだ。

おさる兵ってのは、ブラックローズの兵士――こう言っちゃ悪いが、解りやすくいうと、戦隊モノのザコ兵――だ。

ただそれだけなら、むしろ、おさる兵が好きなヤコが疑われそうなものだが。

実は奴ら、その愛くるしい姿が――俺にはそうは思えないが――巷の女子に結構人気があったりする。

なので、ヤコがおさる兵グッズを部屋に大量に持っていても――実際、ヤコの部屋はおさる兵グッズで埋めつくされている――不思議ではないのだ。

それで、そんなおさる兵が大好きなヤコに、自分がおさる兵をボッコボコに倒しまくっているレオガイガーだとばれたくないんだと。

そう、理由その1は、ヤコの事を実の妹のように可愛がるネコが、おさる兵が大好きなヤコに、おさる兵を倒しまくっている事をばれたくないから。

勿論、うちの学園全体に、学園の最高権力者――その権力は、学園長をも凌駕すると言われている――の高等部生徒会会長から、ヤコに対しての緘口令が出されている。

緘口令は、学園外部に情報が漏れるとヤコにばれる可能性があるため――俺としては、せめて建前だけでも、ブラックローズにばれる可能性があるためと言って欲しかった――、外部にも漏らしてはならないという徹底ぶりだ。

緘口令に違犯した者は、地獄よりより恐ろしい体験――ってブラックローズよりも怖いぞ!?――ができるとかなんとか。

ま、それでネコと後藤君は慌てて誤魔化したんだな。

そして、理由その2だが……。

実際のところ、こっちの方がばれない理由の本命だろう。

どうあがいたって、あれだけ不自然な――そのうえバレバレな――会話や、行動を見れば、普通は気付くか、せめて疑問を抱くだろう。

普通なら、な。

そう、理由その2とは――


「レオ君って人、学校休んじゃったの?風邪かなぁ。ネコちゃんも気をつけてね?」


心配そうにネコを見上げるヤコ。

ま、そういう事なんだ。

これで、わかんない人はいないだろうけど、一応ハッキリと言っておくな。

ヤコはとっっっ……//都合により一部略//…っても、ニブチンなんだ。

それはもう、学園に入ってから三年間、さっきみたいな事は数えきれない程あったのに、未だに全然気づく様子もない程に。

そして……、


「そ、そうね。季節も季節だし、ヤコも気をつけるのよ?」


とか、まだ動揺しながらおっしゃってるネコさんなわけだが。

こいつも、ヤコとどっこいなニブチンなんだな。

え、どうしてそんなことが言えるのかって?

だって、なぁ?

レオガイガーとブラックナイト。

片方は口元を銀のマスクで覆ってるだけ。

もう片方は目元を黒い仮面で隠してるだけ。

……普通、気づくでしょ。

ま、そのお陰で、今日も学園の平和は守られているんだけどね。


「おにいちゃんも風邪には気を付けなきゃダメだよ?」


心配してくれてるのだろう。

俺の指を握る手に、ギュッと力を込めてくるヤコ。

俺はそんなヤコの頭をくしゃりと撫で。

誤魔化し切れて安心したのか、ほっと息を吐くネコと目を合わせて苦笑した。


あ、因みにだけど、俺がネコに正体がばれているのに平気なのは、俺がヤコに正体をばらさない代わりに、学校では休戦にしてくれてるんだとさ。

ま、でもホントのところは、目が合っただけで頬を染めたネコの様子が、一番の理由なんじゃないかなって思ってるんだけどね。

あぁ〜……なんだか、早くもネコのキャラが壊れてきている気がするひるこです^^;


ヤコにばかり焦点を当ててたので、今度はネコに焦点を当てようと思ったのですが……なんか説明ばかりになってつまらない話になった気がして不安です;;;


こんなダメダメなひるこですが、応援・ご指導等大歓迎ですので、どうぞ一言、声をかけてやってくださると嬉しいです^^


あ、蛇足ですが、昨日は一気に三話もupしたからでしょうか。なんとアクセス数が1000を超えるという快挙でしたw

読んで下さった皆様。本当にありがとうございました^^

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