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創生のオラクル  作者: ハルサメ
本編1
2/52

第一話

 私は目を覚ました。


 その目覚めは今まで眠っていたのが嘘であるかのように、意識をはっきりとさせるものだった。薄暗い部屋の天井を仰向けになりながら見つめる。


 この感じは……。


 思考が動き始めると同時に何かの音が耳に入ってきた。ジーンジーン、という強い圧迫感を伴う独特の不快な音。


 あぁこれはやっぱり。


 私は状況を理解し、考えることを止めた。急に身体が何かに締め付けられるような感覚に襲われる。


 意識がはっきりしているにもかかわらず、身体を全く動かすことのできない恐怖。呼吸は出来るが息苦しさが身を襲う。


 俗に金縛りと言われる症状に陥ったのだ。


 大丈夫、この状況には慣れている。金縛りにあいながらもいくらか冷静さを保つことが出来た。


 幼い頃から金縛りにはよくあっている。


 初めは恐ろしくて寝るたびに毎朝母親に泣きついていたことを今でも覚えている。それから10年、毎日というわけでもないが金縛りは収まることがなかった。週に3回程の時や、月で5回ほどしかなかったりと、その頻度はまちまちだった。何時金縛りにあうのかという恐怖が襲いかかっていた。


 しかし最近の金縛りは何やら規則性があるように思えてきた。満月に近い夜になるにつれて症状が起きやすいということに気付いた。これに気付いたのは偶然で、月見の話が出てきた前後で必ず金縛りにあっていたことがヒントになった。


 それから毎月、満月の日付を確認するようになった。今回満月になるのは4日後、だから金縛りにあうことも予測できていた。金縛りは人が上に乗っているようなものでも、耳元で囁かれるといった類のものではない。ただ単に身体が動かなくなるだけだ。


 それが体感時間で10分ほど続く。できることは息をひそめてその場で小さく呼吸をするくらい。ただじっと、時が過ぎるのを待つ。


 数分後、ようやく金縛りから解放された。


 窮屈な緊縛状態からやっと解放され、どっと疲れが押し寄せた。背中に冷やりとした感覚があった。若干の発汗、ゆっくりと体を動かして寝がえりをうった。


 5月に入ったばかりだが夜中は未だ肌寒い、おずおずと布団を手繰り寄せ、中で体を丸くするように縮めた。


 金縛りについてはもちろん出来る限りの情報を集めた。


 医学的にレム睡眠とノンレム睡眠の関係についても調べたし、心霊的な分野の情報も見たことがある。


 しかしそのどれもが、具体的な原因は不明という結論。


 もしかしたらこれから一生この金縛りと付き合っていかなければならないのか。金縛りとは違う、また別の窮屈感が胸に押し寄せてきた。


「誰か……私を助けて……」


 消えそうなほどの小さな声を発し、枕に顔を埋めて涙をぬぐった。


 朝になったら枕を洗濯しなければならない。

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