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詩「追憶の影」

作者: 有原悠二

子供の頃にハマった

懐かしいゲームのサウンドトラックを聞きな

 がら

回転するねじ穴のような梅雨がはじまった

現在は過去の積み重なりだと

分かり切っていることのいまいち分からない

 部分があって

ぼくはいまでも時間という概念をとても信じ

 られないでいる

今という景色は雲の影だ

過去という影はおそらく前世の情景だ

流れゆく音楽は去っていく

どこかに

その瞬間、誰かが部屋をノックした

雨粒のような

かぼそいそのノックは

ぼくたちをむりやり眠らそうとする

夢が近づいてくる

雲の上にいるような

深い深い水の中に沈んでいった

初恋の面影だ

少しずつ記憶を失っていく

もういまのぼくにはきみとなにを話したのか

 は覚えていないけれど

きみのことが好きだったという淡い心象を

いまでもたまに思い出す

死とはそういうものだと思う

きっと

ぼくにだって訪れる

その先にある

グルグルと回っている淀んだ景色と

手探りだったウソのような思春期の

ゲームの続きの梅雨は

あのときのままの音楽を奏でながら

あのときのままのきみがそこに立っていて

雨の音に紛れ込んで聞こえるいつかの言葉の

 地面に落ちていく追憶の影だ

潰れた回転

ねじ穴のその先の

灼けるような夏に反射して


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