暗殺失敗劇
今回はほのぼのかと思いきや
それから凶夜はリリムの家にお邪魔してゆっくりとしていた
「あんたからも言ってあげてよ・・・この子普通に歩き回ってるのよ?」
愛心はリリムが平然と出歩いている事に対して何か注意するべきだという
「そうは言われてもな・・・別に大丈夫だろ?あいつらだってリリムだけに
手を回してるほど暇じゃないだろうしな・・・」
凶夜はそう言って何の不安も抱いていないかのように見えたが
実際は一つだけ気がかりな事があったのだ
それは新しく入ったとされる四天王の存在とこれまでの事件の数々だ
(もし俺の予想が正しければ・・・おそらくあいつは自分で仕掛けてきそうだな・・・)
自分の考えが当たっていればおそらく近いうちに仕掛けてくるはずだと凶夜は考えており
今回ここに来たのもそいつの姿がないかどうかを調べる為に来たのだ
(だが・・・見た感じは何もなかったな・・・俺が気づいてないだけなのか・・・
それともまだ直接動く気がないだけか・・・今はともかく派手に動く気はないみたいだな・・・)
しかし予想に反して特に何も目立った動きはなくそこまで警戒する事はなかったかと思っていたが
やはり相手が相手なだけに油断をするわけにはいかないと思っていた
「ちょっと?話聞いてる?」
するとどうやら愛心に話を掛けられていたみたいで目の前に顔があった
「悪いな・・・ほとんど聞いてなかった・・・それと・・・顔が近いぞ?」
そう言われた瞬間に愛心は急いで飛び退いた
「兄様・・・何をしているんですか・・・?」
するとそれを見ていたリリムは凄まじいオーラを纏って凶夜の背後に立っていた
「・・・むしろお前は俺が何をしていたと思っているんだ・・・」
明らかにリリムは勘違いしていると凶夜は思っていたが
あんまり口を挟むと余計に悪化しそうな気がしたのであまり喋らないでリリムの話を聞くことにした
そこからは長々とリリムの女性に対しての扱い方について説教させられるのだった
「はぁ・・・何で人の家に来てまで説教を受けているんだ・・・俺は・・・」
ようやくリリムの説教から解放された凶夜はぐったりとしていた
それこそ普段の戦いが生温いと感じるほどにきついと感じていた
「大丈夫ですか?お水飲みますか?」
すると心配した奏歌が水を持って凶夜の前に立っていた
「悪いな・・・そういえば何でお前らはここにいたんだ?」
水を受け取った凶夜はそれを飲んだ後に二人がここにいる理由を尋ねる
「えっと・・・実は・・・」
奏歌はこの前のリリムの顔を思い出し心配で泊まった事を話していた
「なるほどな・・・まぁ本人はもう乗り越えたと言ってはいるが・・・
やはり時折は思い出してしまうんだろうな・・・嫌な記憶はよく残る・・・」
それを聞いた凶夜はやはりとばかりに顔を顰めていた
(おそらくそれは凶夜さんにも言える事なんでしょうね・・・)
そしてそんな苦しい表情を見た奏歌は彼もそんな思いを抱えていると思っていた
「ともかくありがとうな・・・お前らのおかげでリリムもそこまで苦にはならなかっただろう・・・」
奏歌はその言葉を聞いてとても驚いていた
まるで凶夜が本当の意味でリリムのお兄さんのように見えたからだ
「少しだけ・・・リリムさんが羨ましいですね・・・」
そしてそんな彼に思われているリリムが少しだけ羨ましいと思った
「ん?何か言ったか?」
その小言を聞き取れなかった凶夜は何を言ったのか聞き返すが
「いえ・・・何でもありません」
そう言って奏歌は何も答えてはくれなかった
「?・・・そういえば・・・今日はこれも持ってきたの忘れてたな・・・」
奏歌に関しては一旦考えるのをやめた凶夜はとある物を取り出した
「こっこれは・・・!!」
「まさか兄様があの有名なお菓子店の無料券を持ってくるとは・・・!」
リリムは自分がとんでもなく行きたいと思っていたお店の無料券を見て肩を震わせる
それほどまでに嬉しいのと彼が持っている事に困惑していたようだ
「実は昨日の福引で当ててな・・・甘い物はそこまで好きじゃないし
お前の方が好きだと思ったからな・・・そんなに喜んでもらえるとは思ってなかったが・・・」
さすがの凶夜もここまで喜んでもらえるとは予測していなかったようで若干その喜びように引いていた
「しかもこれ四人まで一緒に使えるって書いてるじゃん!今からみんなで行かない?!」
愛心も無料券を見るとそこには4名まで利用可能と書いてあった
「いいですね!せっかくですから兄様も一緒に行きましょう!」
その提案にリリムも乗ってしまいみんなで一緒に行くことになってしまっていた
「いや・・・俺は行く気がないからお前らに渡したんだが・・・」
凶夜は必死で行かないと宣言しているが二人は聞く耳を持たず
そのまま四人でそのお店へと向かって行ってしまうのだった
「はぁ・・・結局来てしまった・・・」
席に案内された四人は凶夜だけを残してお菓子を取りに向かった
(全く・・・随分と仲が良くなったもんだな・・・)
三人の後ろ姿を見て凶夜はよくもこれだけ仲良くなれたものだと微笑ましく見ていた
リリムは魔人の中にいた影響なのか同年代の友達は少なかった
いや・・・むしろ誰一人としていなかったというべきだろう
だからこそ彼女らのような存在はありえない事だったのだろう
(・・・それこそ可能なら学校なんかにも行かせてやりたいが・・・
そうなると身元引受人を誰にするかで面倒だしな・・・)
凶夜はそんなリリムに学校へ行かせて友達を増やして欲しいとも考えてはいるが
そうなると身元引受人なんかを考えないといけないのでどうするべきか考えていた
「ちょっと・・・何をそんなに険しい顔をしてるのよ・・・」
「ん?もう取ってきたのか?」
三人は大量のケーキやお菓子を皿に乗せて帰ってきた
「あんまりにも種類が多いから一度、帰ってきただけよ
後でもう一度行ってくるわ」
どうやらあまりにも種類が多かったらしく後でもう一度行くらしい
「お前ら・・・よくそんなに食えるな・・・」
それを聞いた凶夜は三人の胃の大きさに驚きを隠せないでいた
しかもそれを言っている間に三人はすでに皿に乗っていたお菓子の半分を平らげていた
「・・・もうなんでもいいか・・・」
これにはさすがの凶夜も頭を押さえて呆れるしかなかった
「・・・!」
すると凶夜は何かに気がついたらしく席を立った
「?どこに行くの?」
愛心は急に立ち上がってどこに行くのか聞く
「そんなもん決まってるだろ?トイレだ」
それを聞いて三人は顔を赤くして伏せてしまう
しかし凶夜はそれを気にする事なくトイレの方へと向かっていく
「はぁ〜・・・あいつにはデリカシーとかないのかしら・・・」
愛心は先ほどの発言に対してありえないと呆れていた
「まっまぁ・・・兄様ですから・・・そんなのを気にしたら負けですよ・・・」
リリムはそれが凶夜なのだから諦めるしかないと伝える
「でも・・・凶夜さんは優しい方ですよ・・・先ほどもリリムさんをよろしくと言われましたしね?」
先ほど言われた言葉を奏歌が教えるとリリムはそれを聞いて顔を赤くしていた
「あいつもそれなりに気にしてるってわけね・・・
もういっその事、私達の学校に入学したら?そしたらあんまり手出しされないはずだし」
愛心はリリムを守る為に自分達の学校に来ないかと誘う
「・・・残念だけどそれは無理ね・・・今の私には身元を保証してくれる人がいないもの・・・」
しかし先ほど凶夜が考えていた通りリリムは自分の身元を気にしていた
もし学校に行くことになればその辺をどうにかしなければならなくなる
でもそんな事をしてまで学校に行く気は今の彼女にはなかった
「そうですか・・・リリムさんが来てくれたらとても嬉しかったのですか・・・
さすがにこればっかりは無理強いはできませんしね・・・」
奏歌も本当は来て欲しいと思っていたが無理強いをしたくもなかった
だからこそ今はリリムの意思を尊重しようと考えたのだ
「・・・ええ・・・ごめんなさいね・・・」
リリム自身も二人の好意はとても嬉しかった
しかしそれでも行くわけにはいかなかった
自分はそんな風に好意を向けられるような相手ではないからだ
「・・・そういえば・・・兄様遅いですね・・・」
リリムは話を逸らそうと帰ってこない凶夜を心配する
「さぁ・・・そういえば遅いわね・・・」
それを聞いて愛心もそういえば遅いを思っていた
「でもあいつの事だからそこまで心配しなくていいんじゃない?」
しかしすぐに凶夜だから心配する必要はないと思った
一方その頃・・・凶夜はとある場所の前で立っていた
「・・・もう正体はバレているんだから出てきたらどうだ?」
すると凶夜の目の前にあったポストは姿を変え始めタリオンへと変わった
「・・・どうして俺だとわかった・・・?」
タリオンは自分の変身能力に絶対の自信を持っていたのでなんでバレたのか確認する
「ここはよく俺が来ているからな・・・だからポストが無い事も知っている」
どうやら今回はそのタリオンの変身能力自体が仇になったようだ
そしてタリオンは自分の死を悟って目を閉じるが
「悪いがお前は殺さない・・・その代わり聞きたい事がある」
凶夜はあくまでタリオンには聞きたい事があるから近づいただけで
別にどうこうするつもりはなかったようだ
「聞きたい事だと?・・・なるほど・・・新しい四天王が誰なのか気になるか・・・」
タリオンはすぐに凶夜が聞きたい事がわかった
おそらく彼が聞きたいのは新しい四天王についてだと
タリオンはそれに対して答えようとしたが
「がはぁ?!」
それに答える事は出来なかった
何者かが彼の心臓に杭を突き刺したからだ
それにより彼は即死し凶夜の質問に答えられなかった
「チッ!問答無用か!!」
凶夜はタリオンの遺体を受け止めた後、杭が飛んできた方向を見るが
すでにそこには姿はおろか気配すら感じなかった
「・・・逃げられたか・・・」
「やれやれ・・・やっぱり中級の魔人は信用できないですね〜・・今度は直接出向きますか・・・」
次回はいよいよ新しい四天王が登場します




