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トラウマを呼び起こす者

今回は少しだけ重めの話です

翌日になり二人は秘密基地で昨日の事件を空達に説明していた

「突如として現れた犬に蛇にカラスか・・・確かに異常な事態だが・・・

 その動物の関連性が全くと言っていいほどわからないな・・・」

話を聞いた空達も相手の能力が何なのか

そして何を目的として行動しているのかが全然わからなかった

「まぁなんにしても実害が出ている事に間違いはない・・・

 猛獣が出てくる可能性もあるし早く解決はした方がいいな・・・」

相手の能力がなんにしても今わかっている情報からすれば

いつかは恐ろしい猛獣が現れてもおかしくはなかった

つまりは早めに犯人を見つけ出し相手を倒すほかない

「でも二人は犯人の影すら見てないんでしょ?

 そんな相手をどうやって探すっていうのよ?」

海の言う通り問題はその犯人がどこにいるのかということだった

残念ながら愛心達も犯人の姿はおろか影も形も見てはおらず

どこでどうやってあんな事件を引き起こしているかは謎なのである

「普通に来島博士にレーダーの反応を見てもらえば場所はわかるんじゃないか?」

空はレーダーの反応を見ればあっけなく犯人の場所を調べられるのではないかと思い

肝心の来島博士に話を聞こうとしたのだが当の本人はかなり険しい表情を浮かべていた

「どうかしたんですか?」

空は一体何があったのか尋ねてみると

「今回の犯人じゃが・・・どうやら一筋縄ではいかぬようじゃ・・・」

何と来島博士ですら今回の犯人は厄介な相手だと思っていたのだ

「それは一体・・・」

空はどうして来島博士がそんな事を思っているのか理解できず改めて聞いてみると

「・・・これを見てみるがいい・・・」



「!これは!!」

空達が見せられたのはレーダーに映る複数の赤い点だった

これは魔人や鬼を指し示す点でありそれが複数存在するという事はそれだけの数が現れたか

もしくはダミーを出してレーダーを撹乱しているかのどちらかだった

「しかし・・・それだけの数の魔人や鬼が出れば騒ぎになるじゃろう・・・

 ならば答えはひとつ・・・ダミーを出して儂らを撹乱しようとしておるのじゃろうな・・・」

来島博士の考えでは相手の狙いは自分達が必死で探して時間を浪費している間に

特別な何かをしようとしているのではないかというものだった

「つまり博士の考えとしては下手に動くよりも今は黙って見ているべきだと?」

それを聞いた森はまるで人を見捨てろと言われているような気分になった

「別にそこまでは言っておらん!

 じゃがせめて相手の狙いを突き止めんと大まかな目星がつけられん!

 せめてそれがわかるまでは大きな行動を控えろと言っているんじゃ!」

来島博士もこの状況を打破したいとは思ってはいるがそれで後手に回っていたのでは

助けられる相手も助けられないと考えており今はじっとしているしかないと思ったのだ

「・・・わかりました・・・とりあえず俺達は外で情報取集をしてきます・・・」

空達は納得はしていないが理解はしたらしく

とりあえずはおとなしく情報だけを集めることにした

(あやつらにはああ言ったが・・・儂も早くレーダーを改良せんとな・・・)

みんなにあんな偉そうにしてしまった手前、来島博士はなんとしてもダミーを見破り

空達が魔人を倒す手助けをしなければならないと考えて開発室へと向かった

「・・・私達も外に出ましょうか・・・」

奏歌は切迫した雰囲気に飲まれてしまっている愛心の為に一度外に出ようと伝える

愛心は言葉ではそれに反応しなかったが首を縦に振って返事をする

(これはまた・・・凶夜さんの力が必要になるかもしれない・・・)



「・・・みんな・・・必死な顔してたね・・・」

外に出ると愛心が一番最初に出した言葉はそれだった

確かに今の状況はそれだけ切迫していると言えるだろう

そしてそれを打破する状況は未だに見つかってはいない

「どうにかして力になれないかな・・・」

愛心は今、どうして自分がこんなにも無力なのだと思っていた

もっと自分に力があれば何かできるかもしれない

それこそこの状況を打破できる何かを見つけられるかもしれない

しかし今の自分には何もできない

彼女はそれをもどかしく思っていたのだ

「愛心ちゃん・・・」

奏歌もその気持ちは痛いほど理解しているが自分が何か言っても無駄なのも理解しているので

ただ愛心にそっと寄り添う以外、何もできなかった

「・・・何か随分と暗い顔をしているな・・・」

そんな声が聞こえてきて振り返ってみるとそこには凶夜の姿があった

「凶夜さん・・・」

二人はこれまでにあった事件の全てを凶夜に話した

凶夜もその話を真剣に聞いて何か思い当たる事でもあったのか

考え込んだような難しい顔をしていた

「なるほどな・・・おそらくその犯人はバスンって奴で間違いないだろうな・・・

 奴の能力は相手のトラウマを呼び起こしそれを幻覚で見せたり実体化させられる能力だ」

どうやら今回の相手はバスンと言うらしく

その能力を聞いて愛心達は事件で怯えていた被害者を思い出していた

(確かにみんな異常なくらいに怯えていた・・・

 それがトラウマからくる恐怖だとしたら納得がいく・・・!)



「・・・目的の方は一体なんだと思いますか?」

奏歌は肝心の目的は一体何なのかを尋ねてみると

「・・・いや・・・おそらく目的に関しては何もないだろうな・・・」

しかし凶夜の口から出た答えは何もないだった

「俺の知っている奴の仕業なら・・・そいつの目的は人を怯えさせる事・・・

 つまり今している事自体があいつらにとっての目的ってわけだ」

つまりは相手にとってそんな大きな目的など一つもなく

人々を恐怖に落とす事だけが今回の相手の目的なのだと話していた

「そんな・・・なんて卑劣な・・・!」

それを聞いた奏歌は珍しく怒りを露わにしていた

こんな話を聞かされれば当たり前だとは思うだろう

「そんな奴の為にみんなが苦しめられるなんて・・・絶対に許せない・・・!」

愛心も先ほどまでの落ち込んでいた気持ちなんて消えてしまい

今はその相手をどうにかしたいという気持ちでいっぱいだった

(・・・いや・・・おそらくあいつはこいつらのこの気持ちすら計算に入れているはずだ・・・

 だとしたら次の手として考えられるのは・・・)

もし今回の事件を仕組んだ黒幕が自分の考えている通りの相手なら

おそらく次は自分の考えている通りになるだろうと凶夜が思っていると

「・・・やっぱり来やがったか・・・!」

何かの気配を察知したのか凶夜はすぐにベルトを取り出す

「させませんよ!」

しかし装着する暇もなく凶夜は相手の能力に掛かってしまい幻覚を見せられてしまう

「あの方の予測通りですね・・・いくら四天王最強と呼ばれていた貴方でも

 精神的な攻撃に対処するのは不可能・・・つまり・・・私の能力も通用するということです」

そう言って現れたのはまるで占い師のような格好をした魔人だった



「あんた!こいつの何をしたのよ!!」

二人はすぐに変身してその魔人に何をしたのか問い詰める

「先ほどその方から話を聞いたでしょう?私はトラウマを呼び起こして

 そのトラウマが起きた幻覚を見せる・・・今の彼はそのトラウマの中ですよ・・・」

それを聞いて二人は理解する彼こそがこの事件の犯人・バスンと呼ばれる魔人なのだと

「しかも面白い事に私の能力で具現化させた物もあなた方に察知されるらしくてね・・・

 人々を怯えさせると同時にダミーとしての役目も果たす・・・一石二鳥という奴ですかね?」

まるでバスンは人を馬鹿にしているかのようにそう言っていた

それを聞いた二人も怒りを抑えられずバスンに向かって攻撃を仕掛ける

「やれやれ・・・そんな怒りに任せた攻撃では私には当たりませんよ?」

しかし冷静ではない二人の攻撃を躱すのは簡単らしく

バスンはいとも簡単に二人の攻撃を捌いていた

「さて・・・まずはあなたのトラウマから見せてもらいましょうか?!」

そしてバスンは次にノワールのトラウマを呼び起こしてその幻覚を見せつけた

「ノワール!」

攻撃を受けてしまったノワールはそのまま落下していき

それをブランは間一髪で受け止めたのだがそれは同時に相手に隙を作ることになってしまった

「さて・・・あなたのトラウマは一体なんですかな?」

今度はブランのトラウマを見てみるとそこには蜂に襲われている小さな奏歌の姿があった

「なるほど・・・ではこちらに関しては具現化してもらいましょうか・・・!」

するとそのトラウマの映像にいた蜂が巨大化した姿で飛び出してきた

「くっ?!」

その巨大蜂はブランに目がけて襲いかかってきたが

今、彼女の手の中にはノワールがいるので避けることはできない

そう思いダメージを覚悟して目を瞑ったのだがダメージは来なかった

「大丈夫か?!」



「!みなさん!」

どうやら間一髪でライフレンジャーが救援に来たらしく

巨大蜂の攻撃を受け止めていた

「こいつが例の事件の元凶か・・・トラウマの幻覚に実体化・・・嫌な能力だ・・・!」

グリーンは即座に相手の能力を理解し同時に厄介な能力だと思っていた

「おやおや・・・数が増えてしまいましたね〜・・・

 それじゃあこちらも数を増やしますか・・・!」

そう言ってバスンは先ほどの巨大蜂を増産し始めた

「チィ!こいつは一つのトラウマから何度でも実体化させられるのか!!」

圧倒的な数で量産させれていく巨大蜂にライフレンジャーは徐々に押され始めていた

「クックックッ・・・人のトラウマで死ぬのはどんな気分?!」

それを見ていたバスンは自分の勝利を確信したが次の瞬間にその考えは変わってしまう

何故なら彼の眼の前には強烈な殺気を身に纏ったフィアーナイトが立っていたのだ

「・・・お前は俺に思い出させてはいけないものを思い出させた・・・!

 だから俺もお前にお返ししてやるよ・・・トラウマなんて名前じゃすまねぇ恐怖をな・・・!」

その姿はまさに恐怖そのもの

自分のやっていた事がどれだけ生温いことだったのかをバスンは理解し

同時にこれから自分に起こる事についても理解してしまった

『ブラッ・・・ド・・・』

フィアーナイトはゆっくりを剣を振り上げてそのまま一気に振り下ろした

その一撃は凄まじく目の前でその一撃を受けたバスンは姿形も残されていかなかった

(・・・これほどまでの怒り・・・なら凶夜さんの見たトラウマはおそらく・・・)

ブランはその一撃と彼の怒りを見て彼がどんな光景を見ていたのかすぐに理解できた



家族が目の前で殺される瞬間・・・それが彼の見た光景なのだと・・・

トラウマで呼び起こされる感情が必ずしも恐怖だけとは限らない・・・

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