楽しむ旅行
今回は戦闘なしのほのぼの回です
あれから三人は今日、泊まるホテルに来ていた
「・・・マジですか?」
そしてそこで凶夜は飛んでもない事実を聞かされていた
なんとかホテルの人に抗議するが聞き入れてはもらえず
そのまま部屋の鍵を受け取ってしまう
「ずいぶん長かったですね?どうかしたんですか?」
なぜか時間が掛かっていたことを奏歌が気にしていると
「まぁ・・・今にわかるよ・・・」
凶夜はなぜか苦笑いしか浮かべず部屋に行けばわかると言っていた
「どうしたの?早く部屋にいこ?」
そんなことを気にせずに愛心は部屋に言おうと告げる
三人はそのまま部屋に向かって鍵を使って中に入ってみると
「「おぉ〜!!」」
そこは三人でも大きいくらいの部屋になっており
それを見た愛心と奏歌は感動していた
しかしすぐに奏歌は疑問に思った
どうしてこんなに部屋が大きいのだと
自分達が使うにしても凶夜が使うにしてもこの大きさはありえない
そう思っていると一つの結論に至った
「・・・っ///」
そしてその考えがおそらく間違いではないことに気がつくと
奏歌の顔が赤くなっていった
「どうしたの?」
愛心はそれを見て一体どうしたのか聞く
「・・・もしかして・・・ここは家族部屋ですか?」
「・・・ああ・・・」
「えっと・・・どういうこと?」
二人の言っている意味がわからずに愛心はどういうことなのか聞く
「つまりこの部屋で三人とも過ごすってこと・・・」
奏歌が先ほどまで照れていた理由はまさにこれだった
あのチケットにあった一組様とは家族のことだったようで
その為に用意されたのもこの家族部屋と呼ばれる一部屋だけだったのだ
「・・・えぇぇぇぇぇ?!!」
衝撃の事実を聞いた愛心も先ほど奏歌と同じく顔を真っ赤にする
「他に部屋はなかったの?!」
愛心はすぐさま他の部屋が空いてないのか聞く
「残念ながら・・・今はこの部屋以外空いてないらしい・・・」
しかしそんな事は既に凶夜が訪ねていた
だがこの部屋以外は全て埋まっており空いて場所はなかった
「・・・・・」
これにはさすがの愛心も呆然とするしかなかった
「まぁいい・・・気を紛らわせる為にさっき聞いた話をするぞ」
凶夜は気を紛らわせる為に先ほど聞いた話を二人にした
「「人為的に竜巻が発生している?」」
凶夜の話を聞いた二人は本当にそんな事が可能なのか疑問に思う
「さぁな?だがもしそんな事ができる奴がいるとしたら・・・
おのずと正体は限られてくるんじゃないか?」
それを聞いた二人はすぐにその正体に察しがついた
「なるほど・・・つまりその竜巻は魔人か鬼が起こしたって事ね・・・
でもどうやって正体を突き止めるつもりなの?」
愛心はその正体が魔人か鬼のどちらかだと判断し
どうやってその正体を暴くつもりなのか聞く
「こればっかりは自分の目で確認するしかないな」
「自分の目って・・・どうやって?」
愛心は自分の目で確認すると言った
凶夜にどうするつもりなのか聞く
「だから直接竜巻の中に入って確認するんだよ」
どうやら凶夜は竜巻の中に入って直接確認するつもりらしい
「大丈夫なのそれ?」
愛心はそんな作戦で本当に大丈夫なのか聞く
確かに竜巻ともなれば小さくても
まともに立てなくなるくらいの強風が吹く
しかも今回は屋台を破壊するほどの威力を持っている
普通の人間だったら間違いなく吹き飛ばされるだろう
「俺を誰だと思ってるんだ?
変身すれば強風だろうと何だろうと関係ない」
だが凶夜ならばフィアーナイトに変身し
竜巻の中に入ることも可能だった
「問題はいつ、その竜巻が発生するか・・・ですね?」
奏歌の言う通り、ここで問題になるのは竜巻がいつ発生するかだった
三人がここに滞在できるのは今日を含めて三日だけ
つまりその三日を過ぎてしまうと竜巻が発生しても
すぐにここへ来れなくなってしまうのだ
「そればっかりは相手の気まぐれだからな・・・
俺達はそれまでのんびり旅行でも楽しめばいい」
しかしこればかりは相手の気分次第なので
今はこの旅行を楽しむしかなかった
「そうですね・・・それじゃあ早速お風呂にでも行きましょうか?」
「はぁ・・・いい湯・・・」
こうして凶夜と別れた二人はお風呂に入っていた
「それにしてもあいつ・・・どんだけ厄介事を持ってくるのよ・・・」
愛心はなんであんなに厄介事を持ってくるのだと凶夜に対して怒っていた
「まぁまぁ・・・そこが凶夜さんの良いところでしょ?」
奏歌はそれが凶夜の良いところだと言って愛心を宥める
「それもそうだけどさ・・・せめて一言は欲しいわよ」
しかし愛心が怒っているのは問題を持ってきた事にではなく
自分達に何の相談もなく勝手に引き受けたことに対して怒っていた
「・・・そうだね・・・」
それに関しては奏歌も同意見だった
彼女らからして見れば自分達はまるで関係ない
そう言われているような気分だったからだ
「でも今日はちゃんと話してくれた・・・それだけでも一歩前進じゃない?」
しかしそれでも前進はしていた
いつもなら自分一人で解決しそうな事を
今回は自分達にもちゃんと話してくれたのだ
それは彼女らにとっては嬉しいことだった
「はぁ・・・でも解決する時は一人でするんだろうな〜・・・」
しかしそれでも解決する時には自分達の力を借りずに
解決してしまうのだろうと愛心は思っていた
「そうだね・・・その時は精一杯勝手に手伝おうか?」
もしそうなったら自分達は勝手に手伝えばいいのだと奏歌は言った
「そうだね・・・てか奏歌・・・あんたまた大きくなってない?」
そう言いながら愛心は両の手を動かしながら迫っていく
「えっと・・・愛心ちゃん?」
「少しだけ揉ませろ〜!!」
「いやぁぁぁぁぁ!!」
こうして二人がお風呂を楽しんでいる中
凶夜は一人だけ先にお風呂から上がってこの前の竜巻の情報を集めていた
(やっぱり突然発生したのか・・・
しかし発生した場所がわからないとなると・・・
やっぱり竜巻が発生するまで待つしかないか・・・)
一通りの情報を集めた凶夜は広間で情報の整理をしていた
「あれ?なんでここにいるのよ?」
するとそこにたった今、お風呂から上がってきた愛心達が現れた
「さっきまで情報を集めてたんだよ・・・てかなんで顔が赤いんだ?」
凶夜は先ほどまで情報を集めていた事を話していると
なぜか愛心の後ろにいる奏歌の顔が赤くなっている事に気がついた
「いえ・・・気にしないでください・・・」
しかし奏歌はなにも答えなかった
「そうか・・・わかった」
何か女子にしたわからない事情があるのだと
察した凶夜はそれ以上は追及しなかった
「とりあえず部屋に行ってから情報を聞かせてちょうだい」
三人はとりあえず部屋へと戻り凶夜の集めた情報を聞いていた
「そっか・・・やっぱり発生した場所まではわかんなかったんだ・・・」
愛心は竜巻が発生した場所まではわからず
結局は待つしかないことにがっかりしていた
「まぁ最初から分かっていたことだ・・・
あんまり落ち込んでいても仕方ない」
しかし凶夜はこの結果を予想しておりそこまで落ち込んではいなかった
「そうですね・・・今はとりあえず!」
「「いっただきま〜す!」」
「う〜ん!このお刺身美味しい〜・・・!」
愛心達はホテルで出されたお刺身を美味しそうに食べていた
「・・・随分と美味しそうに食べるな・・・」
その姿を見て凶夜はそんなに美味しいのかと思っていた
「私からしてみればこんな豪華なのは初めてだよ〜・・・!」
確かに愛心の言う通り普通の家庭からしてみれば
こんな豪華な食事を食べれるのは一年に一回あるかないかだろう
「そうだね〜・・・
私もこんなのを食べるのは大晦日で集まる時だけかな?」
結構な名家の奏歌もこういった料理を食べるのは大晦日だけだった
「そういうあんたはこういうの食べたことないの?」
愛心は調子に乗って凶夜にこんな料理を食べたことがないのか聞く
「・・・うちで一番料理が豪華だったのは妹の誕生日の時だけだ・・・」
それを聞いて二人は黙り込んでしまった
二人は忘れていた
この人は小さい頃に家族を鬼に食われていこう
まともな生活など送ってはいなかった
それこそ全てを復讐に費やしていたくらいだ
そんな人がこんな豪華な食事はおろか
まともな食事すらできていなかったはずだ
それを忘れて浮かれていた二人は突然自分達が恥ずかしくなってしまった
「・・・おい」
そんな二人を見かねたのか凶夜は愛心の口に直接刺身を入れた
「ん〜!辛ぁぁぁぁぁ!!」
しかもそれはワサビをたっぷり付けた刺身だった
「さっき言っただろ・・・
お前らはのんびりこの旅行を楽しめばいいんだよ」
「凶夜さん・・・」
自分達を責めるどころか凶夜は逆に慰めてくれた
それを聞いた奏歌は少しだけ心が安らいだ
「てかそれを言うぐらいだったら
私にワサビを食べさせなくてもいいんじゃないの?!」
するとワサビを大量に付けた刺身を食べさせられた愛心は
それだけの為に自分にあんな物を食べさせる必要はないはずだと抗議する
「そう言いながら突っかかってくるのがお前だろ?
俺はその為にきっかけを作っただけだ」
しかしそれも愛心達を思ってやったことだった
二人はいつか自分達もこの人にこの恩を返せるだろうか?
そう思いながら食事を再開した
「・・・さて・・・問題はここからだな・・・」
「・・・ええ・・・そうね・・・」
三人は神妙な面持ちになっていた
というのもいよいよ夜になってしまい寝る為に布団を敷いたのだが
どこで誰が寝るかを決めていなかった
「まぁ俺は別に寝る気はないから二人で布団を使え」
すると凶夜は自分は眠らないから安心して布団を使うように言う
「余計に安心できないわよ!寝込みを襲う気?!」
しかし愛心は安心できなかった
「はぁ・・・俺はホールで過ごすっつってんだよ・・・
どうせ竜巻が発生しないか見ておく必要があるだろしな」
凶夜が起きていようとした理由は
竜巻がいつ発生してもいいようにだった
「でも発生したら騒ぎになるから別に起きている必要はありませんよね?」
しかし奏歌の言う通り竜巻が起きれば騒ぎになるので
どんなに寝ていたとしても絶対に起きるはず
なので起きて待っている必要はどこにもなかった
「・・・それじゃあどうすればいいんだ?」
凶夜はならどうすればいいのかを聞く
「それじゃあこういうのはどうですか?」
そうして奏歌の提案通り凶夜と愛心達は
お互いに頭を合わせるような形で布団を敷いた
「それじゃあおやすみなさい・・・」
そして電気を消してようやく三人は眠りについたのだった
(・・・ってこんなんで寝れるわけないでしょうが!!)
訂正・・・眠れたのは二人でした
次回はちゃんと戦うよ?




