信じる者、信じられなかった者
アテトとの最終決戦です!
説得をやめて本気で戦い始めたアテトの実力はまさに圧巻の一言だった
完璧な肉体を得たというだけありスピードでもパワーでもライフレンジャーを圧倒していた
現時点でその力はおそらくクリアストーンを使ったとしても超える事は出来ないだろう
しかしそれはこのまま戦っても同じで五人はどうにか弱点を探すところから始めようとする
(と言っても・・・さっきの話からして
おそらく弱点らしい弱点なんて存在しない可能性が高いだろがな・・・!)
一番の問題となってくるのは本当に弱点というものが存在するかどうかだった
あれだけ自身の体を豪語しているのだから
おそらくはそんな簡単に見つかるものではないだろう
しかし本人でも気づかない・・・いや気づいても直せなかった弱点があるはずなのだ
それをどうにかして見つけなければならないのだが戦いながらそれを探すのは難しいだろう
(だが・・・どんな力の差があるとしても戦うと決めたんだ・・・!
こんな事で諦めるわけにはいかないんだよ・・・!)
五人は本当に弱点はないのかと色んな方法で攻撃を繰り出して行く
水で攻めるのもあれば矢で関節の部分を狙って攻撃するなど色んな方法を試すが
どれもあまり効果はなくこうなってくると
残されているのはやはり物量で攻めるしかなくなってしまう
スカイレッド達は近接で隙が出来ないかと攻撃をしていくが隙らしい隙は出来ず
それらしい弱点なども分からないままただ自分達の体力だけが奪われていった
(何か・・・何か儂に出来る事はないのか・・・?!)
それをただ見ているだけしか出来ない来島博士はどうにかして力になれないかと思うが
しかしあんな激闘の中に入っていくほど力はない
なので出来る事はたった一つ・・・彼らの探している弱点を外側から探す事だ
(そういえば・・・先ほどから戦っていて何か違和感がある・・・
じゃが・・・それが一体何なのか・・・
それを調べるにはもう少し皆に頑張ってもらうしか・・・!)
「みんな・・・大丈夫か・・・?!」
ボロボロになりながらもスカイレッドは何とか立ち上がってみんなの様子を聞く
「正直かなりキツイがな・・・!だが・・・まだ戦える・・・!!」
確かにもうボロボロではあるがそれでもまだ戦えると四人は再び立ち上がる
「ええ・・・それにこうして戦っていればいずれ博士が弱点を見つけてくれる・・・!」
そう・・・五人は信じていたのだ
自分達が戦う事で来島博士が弱点を必ず見つけてくれるはずだと
(だが・・・正直アテトの強さが予想外すぎてそこまで長くは戦えそうにない・・・!)
しかし問題はそれを信じて戦うにしても自分達の体力には限界があるという事だ
しかも相手は予想以上に強くて正直、いつも以上に体力を削られているのは事実だった
つまりここからは彼らの体力が尽きるか来島博士が弱点を見つけるか時間との勝負になる
「それじゃあ・・・行くぞ・・・!!」
五人は凄まじい勢いでアテトに再び向かっていき攻撃を繰り出していくが
やはり先ほどと同様に反撃されたりなどして自分達の方がダメージを受けてしまう
『お前達はバカの一つ覚えのように攻撃を繰り出してくるが・・・一体何を狙っているのだ?
残念だがお前らの望んでいるような展開はおそらく来る事はないのだぞ?』
そしてアテトも気づいていた
この攻撃が全て自分の弱点を暴き出すためのものだという事を
自分にはそんなものはなく彼らの望んでいる時が来ないと言う事を告げるが
「さっきも言っただろ!!だからって俺達は戦う事をやめたりはしないって!!」
先ほどの発言通り彼らはそんな事で心が折れたりなどしない
そして・・・諦めない限りその可能性が潰える事もないのだと
「・・・そうか・・・!先ほどから感じていた違和感・・・!
それはアテトが全く床から離れようとしない事じゃったのか・・・!」
その結果、来島博士はようやくアテトの戦っている違和感に気がついた
そう・・・先ほどからアテトは床から離れようとしていなかったのだ
「皆!よく聞け!!奴の体は機械だから大量の電力が必要なのじゃ!
じゃがエネルギーを体の中に入れて置き続けられないから
余分なエネルギーを地面に逃がしている・・・それがあの力の正体じゃ!!」
来島博士はアテトのパワーの源がこの部屋に流れている電気から来ているのだと
つまり彼は地面にいる時といない時で力を使い分けているのだ
地面にいる時は電力を体の中に集めてパワーを上げて
空中にいる時は本来の性能である速度を上げていると言うわけだ
「なるほどな・・・だとしたらいい事を聞いた・・・!
なら・・・こいつでお前の力も弱体化するはずだ!!」
それを聞いたグリーンは武器を思い切り床に叩きつけて破壊するとそこから大量の電気が流れ始めた
他のみんなも床を破壊していきとうとう床から電気が流れなくなった
これで形勢は逆転したかのように思われたが
『・・・まさかその弱点に気がつくとはな・・・
だが・・・この俺がそれを計算に入れていないとでも思ったのか?』
アテトが指を鳴らした瞬間に今度は壁が展開して大量の電気がアテトに流れ始める
『残念だったな・・・貴様らがここにいる限り・・・勝ち目などない・・・!』
確かに彼の言う通りこの部屋にいる限りライフレンジャーの勝ち目はないかもしれないだろう
「いや・・・ここは俺達にとっても最高のステージだ・・・!!」
だが彼は気づいてはいなかった・・・
ここはライフレンジャーにとっても戦いやすい場所だという事を・・・!
「みんな行くぞ!クリアストーン!!」
ここでライフレンジャーはクリアストーンを取り出してパワーアップを果たす
しかもそれだけではなく先ほどアテトが行っていたように部屋に流れている電気を吸収していく
『なるほどな・・・やはりお前らのパワーアップに使われていたプラネットジュエルには
雷の力が備わっていたのか・・・!
ならば・・・こちらもそれを上回る力を使わせてもらおう・・・!』
「それは・・・?!かつてお主が見つけた謎の欠片?!」
『そう・・・この欠片はファーシル様の力が物質になった物
つまり・・・これを使えば俺もファーシル様と同じ力を得るという事だ!!』
そう言ってアテトはそのかけらを取り込むと周りに漂っていた全ての電気を吸収していく
そしてそれが集まると彼の体はまさしく光のように輝いていた
『これが俺がたどり着いた究極の姿だ・・・!果たしてお前らに超えられるかな?』
先ほどようやく勝てそうな兆しが見えてきたのにまさかのパワーアップ
まさしく絶望と言っても過言ではないだろう
だが・・・それでも彼らの目から光が消える事はなかった
「悪いな・・・俺達はもうそんな絶望じゃ心が折れる事はない・・・!
それに・・・お前を倒せなくなったわけじゃないんだ・・・!俺達は勝利を信じてる!」
そう・・・彼らは自分達が勝つ事を信じていたのだ
たとえどんな状況であろうとも決して諦める事のない背中と
そして逆境の時でも支えてくれた手があった
そんな思いに応えなければヒーローでいる資格などないのだ
「見せてやる・・・!俺達の思いがどれほど強いのかを!!」
ライフレンジャーは先ほど以上の速度と威力でアテトに攻撃を加えていく
それに対してアテトは範囲攻撃を駆使してライフレンジャー全員にダメージを与えていく
しかし先ほど違いライフレンジャーは攻撃を受けた後でも
ちゃんと反撃してアテトにも攻撃を当てていた
『何・・・?!先ほどよりも強くなったはずの俺に攻撃を当てるだと?!』
これに関してはさすがのアテトも予想外だったようで驚きを隠せなかった
そして再び範囲攻撃でライフレンジャーにダメージを加えるが
それを物ともしないで攻撃を繰り出してく
(バカな?!先ほどまで俺の攻撃を受けて何もできなかったはず・・・
それなのにどうしてそれよりも強くなった俺の攻撃に堪えられる?!)
自分の予想外の事に動揺を隠せないアテトにスカイレッドは説明する
「納得できないか?それがお前になくて俺達にはある覚悟の差だ!!」
『ふざけるな!そんな非科学的なものを頼らなくても俺が強い事に変わりはない!!』
アテトは範囲攻撃をやめて今度は全てのエネルギーを拳に集中しスカイレッドに向けて放つ
「それを・・・待っていた・・・!!」
するとそこへ他の四人も集まり必殺技の体勢に入る
「「「「「フルクリアインパクト!!」」」」」
ライフレンジャーの一撃とアテトの放った一撃は拮抗してお互いに譲らなかった
しかしそれだけでもアテトは納得がいかなかった
本当ならば自分の一撃が簡単に彼らの一撃を打ち破って直撃するはずだったからだ
それなのに直撃するどころか彼らの一撃は拮抗までしている
(何故だ・・・?!何故俺は・・・あいつらに負けるんだ・・・?!!)
自分の敗北を悟ったアテトの一撃はライフレンジャーの一撃に敗れ彼の胸を貫いた
「ハァ・・・ハァ・・・なんとか・・・勝った・・・!!」
もはやライフレンジャーもエネルギーが残されておらず変身が解除されてしまう
「・・・何故だ・・・究極の肉体を得たはずの俺が・・・どうして・・・」
死にゆくアテトはどうして自分が彼らの敗亡したのかその理由が分からずにいると
「・・・当たり前じゃ・・・お前さんはあいつらが持っていたものを
・・・失ってしまったんじゃからの・・・」
来島博士が彼の元へと向かい彼の敗北した理由は彼の失くしてしまったものにあると告げる
「俺が失くしたもの?それは俺が・・・人間だという事か?」
アテトは自分が捨てたものは人間という存在自体かと尋ねるが来島博士は首を横に振って否定する
「お前さんが本当に失くしたのは・・・友という存在・・・仲間という存在・・・
そう・・・お前さんが失くしたのは・・・他者とのつながりじゃよ・・・」
その言葉を聞いてアテトはようやく思い出した
かつて自分はそのつながりと唯一持っていた相手がいた事を・・・
そしてそんな相手を裏切ってまでに自分の目的を叶えようとした事も・・・
「そうか・・・それが俺の・・・敗北の理由か・・・」
「・・・だが悪いな・・・その理由を知った今でも・・・
俺はそのつながりを求める事はないようだ・・・」
アテトがそう告げた瞬間に彼らのいた部屋がまるで結界のようなものに包まれた
「?!アテト!お前さん何をした?!!」
来島博士はアテトに何をしたのか問い詰める
「俺がもしも負けた時・・・その相手を転送する為に
俺はこの部屋自体を巨大な転送装置に作り変えた・・・
そして俺の命が尽きようとしている今・・・その装置が作動した・・・」
どうやらこの部屋という存在も彼にとっては罠の一つだったようで
彼の敗北によりそれが作動してしまったのだ
「残念だったな・・・俺との勝負はお前達の勝ちだが・・・
魔人と人間の勝負は・・・俺達の勝ちだ・・・!」
アテトのその言葉を最後に空達は部屋ごと別の場所に転送されてしまうのだった
アテトを倒したライフレンジャーだったが
最後に発動してしまった罠により別の空間に飛ばされてしまった
これで魔人の基地に残されているのは凶夜ただ一人となってしまうのだった




