鳴り響く閃光
今回は長くなりそうです
異界の地下に存在する魔人の基地にてゼブルがアテトの研究室に来ていた
「・・・随分と派手にやられているみたいだな・・・
これ以上の損害はさすがの陛下も看過できないぞ」
どうやらゼブルは鬼合魔人を与えられたにも関わらず
何の成果も挙げられていないアテトに警告をしに来たようだ
「ヒッヒッヒッ!まぁ前回までのあれはすべて儂にとっての実験じゃよ・・・!
あれだけの力を持っている魔人がどれだけ活動できるのか・・・
そしてどれだけの力に耐えられる器なのか・・・それを見極める為のな?」
しかしアテトからして見ればこれまで送り出してきたすべての鬼合魔人は実験の為だったようで
むしろやられて当然と言わんばかりの反応をしていた
「それに・・・今回はこれまでのとは違い・・・かなり特殊な魔人になりそうじゃし
まぁ我らが王にも期待して欲しいと伝えてもらおうかの?」
そう言っているアテトの後ろには三つのカプセルが並んでいた
一つにはもちろんファーシルから与えられた魔人が入っており
その両隣に鬼の破片と思われるものが入っていた
「・・・なるほど・・・確かに今回はこれまでのものとは違う鬼合魔人ができそうだが・・・
それでもあのルナティックパラディンを倒すのは難しいのではないのか?」
ゼブルもそれを見て確かにこれまでと違う事を理解していたが
それでも懸念として残っていたのはルナティックパラディンへの対処だった
いくら鬼合魔人を作り出したとしてもあの鬼の王を倒し
さらにはあの阿修羅童を倒している彼ならばどんな鬼が合わさろうと勝つ事は出来ないだろう
「わかっているとも・・・その為にもう一つの実験に付き合わせてやるのじゃよ」
アテトは懐から何かを取り出してそれをゼブルに見せつけると彼は目を細めた
「さてと・・・それじゃあ儂はこれを彼奴に渡してくるとするかのう・・・」
そしてアテトはそれを再び懐にしまいそのまま研究室を後にする
(どうやら今回はルナティックパラディンが鬼と戦う事はないみたいだな・・・)
一方その頃、空達は修行とリハビリを兼ねてルナティックパラディンと模擬戦を行っていた
「・・・そろそろ時間だな・・・お前ら!終了でいいな?!」
どうやら終了の時間が来たようでルナティックパラディンは変身を解除する
「そうだね・・・それにしても凶夜くんの新しい能力・・・使い勝手が悪いね・・・」
空が先ほどの戦闘で感じたのはルナティックパラディンが使うジェットパックの癖の強さだった
「まぁな・・・俺も正直、あれにはしばらく慣れそうにないな・・・」
凶夜も同じ事を思っているようでさすがにあれを使いこなせる自信はないようだ
「とりあえずこの能力は空を高速で飛び回る相手以外には使わないようにするか・・・」
そして限定された相手以外には使わないように能力を封印しようと考えていた
「それで?お前の方はどうなんだ?ちゃんと調子は戻ったか?」
凶夜は本来の目的である空のリハビリに関してはどんな感じなのか尋ねる
「いい感じかな?もう体調に関しては怪我をする前となんも変わらないし
全力で戦っても問題はないみたいだしね?」
どうやら空の方も完全に怪我が完治したようで問題はないと話していた
「そうか・・・ならもう模擬戦もする必要はないな?しばらく休ませてもらおう・・・」
それを聞いて凶夜はそれならばしばらくの間、休暇をもらおうと考えていた
というのも彼のいない穴を埋めなければならないという思いもあったのだが
やはり一番体力を使ったのは試練の攻略とそれで手に入れた能力の使用だった
なのでしばらくの間、体を休めて万全の体勢にしたいと考えていたのだ
「そうか・・・ならその間は俺達が頑張らないとな!これまでの分も含めて!」
それを聞いて空はこれまで休んでいた分もしっかりと戦わせてもらうと宣言した
「それじゃあ俺はこのまま帰らせてもらおうわ・・・なんかあったら教えてくれ」
それだけを言い残して凶夜は秘密基地を後にした
「さてと・・・早速家に帰ってそのまま眠るとするか・・・」
外に出た凶夜は体を伸ばしながら家へと帰ろうと思った時だった
「ならばその眠り・・・二度と目覚めぬ眠りにしてやろう・・・!」
「?!」
一方その頃、愛心達は癒しの森でそれぞれ修行を行っていた
「う〜ん・・・イマイチ成果が出ないわね・・・」
しかしどうやらうまくいっていないようで強くなっている気配はなかった
「そうね・・・やっぱり身の入る訓練をしたいけど兄様は休んでいるし・・・
自分達だけだと実力が拮抗しすぎて強くなりにくいしね・・・」
リリムも自分達がこれまでよりも強くなっているとはとても思えず
かといってこんな修行を続けても意味がないのでどうしようかと考えていた時だった
「?!みなさん・・・どうやら街に魔人が現れたようです・・・!急いで向かってください」
大婆様が街に魔人が現れた事を察知し急いで三人に向かうように告げる
それを聞いて三人は急いで現場に向かうとそこにはひどい光景が広がっていた
「これは・・・なんなのよ・・・?!ビルがまるでくり抜かれたみたいに丸い穴が空いてる・・・!!」
なんとビルには大きな穴が空いておりまさにレーザーで撃ち抜かれたようだった
三人はその原因を作った鬼合魔人を探してみるが全くその姿が見えなかった
「どうやらやるだけやって逃げたって感じみたいね?だとしたらかなりやってくれたじゃない・・・!」
愛心は街を破壊するだけして姿を消した鬼合魔人に対して怒りがこみ上げてきていた
「ですが・・・どうして姿を消したのかわかりませんね・・・
私達をおびき出す為なら本人も残っていてもおかしくはないのですが・・・」
しかし奏歌はどうして鬼合魔人が姿を消したのか謎に思っていた
普通ならば街への襲撃を囮にして自分達をおびき寄せたりなどするはずなのだが
今回に関してはどうしてなのか鬼合魔人は街を破壊するだけして姿を消してしまった
「確かに不思議ね・・・鬼合魔人は行動できる時間が限られているはずなのに
こんな周りくどい事をしても時間を無駄にするだけ・・・意図が読めないわね・・・」
リリムもこんなに時間を無駄にする方法を使っていれば
鬼合魔人の限りある寿命を無駄にするだけなのにどうしてこんな事をするのか不思議に思っていた
そこへ愛心の携帯に連絡が入り確認するとどうやら来島博士からだったようで急いで電話に出ると
『大変じゃ!先ほどまで街で暴れていた鬼合魔人がこの空中基地を攻撃してきとるんじゃ!!』
「「「?!!」」」
それを聞いて三人は信じられないと言うような顔をしていた
何故ならば街を破壊したにも関わらず結局は本命の入る場所へと向かっていたからだ
つまり先ほどの襲撃には全くと言っていいほど意味がない事を表している
「そんな・・・どうしてじゃあ魔人は街を攻撃なんて・・・?!」
奏歌は今回の鬼合魔人の思考が全く分からず困惑していると
「・・・もしかして・・・本当に意味なんてなかったの?」
リリムは街を襲撃した事に対して本当に意味なんてなかったのではないかと考えていた
二人がそれはどういう意味なのだと疑問に思っていると
「つまり・・・鬼合魔人は最初から街なんて眼中になく
ただの試し打ちをしたかっただけなのよ・・・!」
その言葉を聞いて二人は驚きと同時に怒りがこみ上げてきていた
「そんな・・・ただの試し打ちの為だけに街はこんなに破壊されたというの・・・?!
ふざけるんじゃないわよ!!そんな理由だけで街をこんなにするなんて絶対に許さない!!」
愛心達は急いで空中基地を攻撃している鬼合魔人の元へと向かっていった
そして指定されたその場所に着くとそこではすでにライフレンジャーが戦闘を行っていた
「クッソ?!なんて威力だ!!盾の木や岩も構わずに貫いてくる!!」
グリーンは次々と放たれる相手からの攻撃に思わず口を荒げてしまう
しかしそれほどまでの威力がその攻撃にはあったのだ
かなり長い距離を攻撃できるだけではなく貫通力も高く壁を貫通して攻撃が通ってくる
唯一の欠点は攻撃の範囲くらいだがそれも連射が出来る事でほとんど関係ない
「どうする?!このままだとやられるのも時間の問題だぞ?!」
イエローの言う通りこのまま時間をかけていても自分達の方がやられてしまうだろう
どうにかしてまずは相手の懐に入り込まなくては勝負にすらならない
「だが・・・!あの弾幕の中を突っ込んでいくのは・・・!!」
しかしどちらにしてもあの弾幕に姿を晒さなくてはいけないのでかなりキツい
「どちらにしてもジリ貧か・・・一か八か突っ込むしか・・・!」
スカイレッドは覚悟を決めてあの弾幕の中を突っ込んで行こうと思った時だった
「待ってください!まだその判断は早いです!!」
そこへスピリットメイデンの三人が現れてスカイレッドの特攻をやめさせた
「どちらにしてもあの威力の中を接近したって勝ち目がないわよ・・・
まずはどうにかしてあの攻撃をやめさせないとそもそも勝負にすらならないわ」
確かにレーヴの言う通りあんな攻撃を放てる相手に突っ込んでいったとしても
接近したところを撃たれてそのままやられてしまうのが目に見えている
だからこそまずやるべきは相手の砲撃をどうにかして止めさせる事だった
「そうだな・・・あれ?そういえば攻撃がいつの間にか止んでないか?」
スカイレッドはそれを聞いて突っ込んでいくのをやめると
先ほどから砲撃音が聞こえてこない事に気がついた
「・・・やられたわ・・・鬼合魔人の姿を完全に見失った・・・」
そこへブルーが現れて鬼合魔人に逃げられたと告げる
「そうか・・・理由はどうであれなんとか助かったって感じか・・・」
スカイレッドはそれを聞いて安心すると同時にあの攻撃への対処が必要だと考えていた
「ええ・・・でもあの攻撃・・・本当にとんでもない威力だったわね・・・
あれがもしも基地に当たっていれば間違いなく落ちていたわ・・・
それだけじゃない・・・もしも自分に当たっていたらどうなるか・・・想像も出来ないわ」
「ああ・・・どうやら今までの時とは明らかに違うみたいだ・・・!」
今までの敵とは明らかに違う強さを持った鬼合魔人
果たしてライフレンジャーとスピリットメイデンはこの鬼合魔人に勝てるのか?!




