早駆け
今回はルナティックパラディンの新しい装備が出てきます
どうやらこのサーキットにはまだ魔人の姿がなく空達はここで見張っている事にした
「しかしいつ頃、出てくるかわからないな・・・どうする?」
確かにまだここに魔人の姿がないとなるとどれくらいで来るのか予測しないと
いざという時に体力も気力も切れてしまう可能性がある
「というか・・・お前らは何でここに魔人が来ると確信しているんだ?」
そもそもどうして空達はここに魔人が来ると思っているのか凶夜は疑問に思う
「実は先ほどこの周辺にいる動物達が一斉に移動しているのを確認したんだ・・・
それでその進行報告を確認するとここが一番大きな施設だったから
おそらくはここを狙って向かっていると確信したというわけだ」
どうやら空達は周辺を捜索している時に動物の大行進を見かけたようで
その進行方向にあったのがこの巨大なサーキットだったというわけだ
「いや待て・・・なんでこのサーキット限定なんだ?」
しかしここでまだ凶夜は疑問に思う事があった
それは進行方向には他にも施設があるのにどうしてこのサーキットを狙っているのか確信したのかだ
「それは簡単だ・・・ここ以外に森林地帯を作れるような巨大な施設は存在しないからだ
魔人の狙いは動物園だけではなかったと分かった時からその狙いを突き止めようとした時に
巨大な施設ばかりが襲われていると分かったんだ・・・
それでこのサーキットが次の標的になるのだと確信したという訳だ・・・」
森の話では他にも襲われた場所は森林地帯になり得る巨大な面積がある場所が襲われており
動物達の進行方向でそれに見合うような条件はこのサーキット以外に存在しなかったという訳だ
「なるほどな・・・しかし傍迷惑な魔人だな・・・本能で動いているからとはいえ
人も襲わずに施設だけをサファリパークに変えるなんて・・・」
凶夜は今回の魔人が起こしている事件に対してかなり呆れている様子だった
確かに本来ならば魔人は人を襲ってこそなんぼの存在なのだが
今回に限ってはなぜか自分の欲望を満たす為だけに行動しており
正直な話をするのなら魔人の相手というよりも我儘に行動している子供の相手をしているようだった
「まぁなんにしても魔人の相手はお前らに任せる・・・
俺には別でやらなくちゃいけない事が出来たからな・・・」
凶夜はそう言って見ていたのはガレージに置いてあるバイクだった
「珍しいね?どうしてそんなにあのバイクにこだわるんだい?」
空はいつも他人には無関心の凶夜にしてはかなり珍しい事だと思いどうしてそこまでするのか聞く
「・・・昔・・・爺ちゃんが同じようなバイクに乗っていてな・・・
サイドカーも付いてたから一緒に乗せてもらったんだが・・・
その時の風を忘れられなくてな・・・
色んなマシンに乗ったがあの風を感じたのはバイクだけだったんだ」
どうやら凶夜にとってはあのバイクには
祖父との思い出を感じられるかもしれないと可能性を抱いていたのだ
だからこそ最初にあのバイクを見つけた時は珍しく運命のようなものを感じていた
「さてと・・・それじゃあバイクのメンテを手伝わないといけないから
お前達にこのサーキットの事は任せたぞ?」
あの凶夜から出た言葉を聞いて空達はとても驚いていた
そりゃあ、あの凶夜から任せるという言葉が出るなど思ってもみなかった
しかし彼らにとってはその言葉を聞いてやる気を出さない訳にはいかなかった
「よし!とにかくこのサーキットを見回りして魔人が出そうな場所を探すぞ!」
空達は急いで魔人が出現しそうな場所を探してそこを見張っている事にした
「う〜ん・・・やっぱりこれまで動かしてなかった所為なのかボロボロになっちゃったな〜・・・
こりゃあ帰ったら全部のパーツのメンテナンスをしないと・・・」
どうやら先ほどの試し乗りの時点でバイクのパーツがボロボロになってしまったようで
いますぐに帰ってバイクのメンテをしなくてはいけなくなったようだ
「悪いな・・・迷惑をかけてしまって・・・」
凶夜は自分の我儘に巻き込んでしまいとても申し訳なさそうにしていた
「いや俺の方こそ悪いな・・・本当ならいつも万全な状態にするのが仕事なのに・・・」
こうして二人はバイクをお店まで持って帰りそこで凶夜は別れる事になった
どうやら作業に集中する為にこれから一人で作業したいと言っていたらしく
凶夜はその邪魔をしてはいけないと思い大人しく帰る事にしたのだ
(それにしても・・・普通にレースすればいいだけだと思っていたが
まさか魔人まで出てくる事になるとはな・・せめて前日までに事件が解決すればいいんだが・・・
おそらくは無理だろうな・・・さっきの空達の話を聞く限り魔人は森に隠れており
しかも隠れるのがかなりうまい・・・となると残された希望は当日に出ない事だけか・・・)
まさか自分の気まぐれで出るはずだったレースがかなり大事になってきており
凶夜はもしも魔人が当日に出た場合の事も考えておかなければならないと考えていた
「さてと・・・家に帰ったら試練の続きでもするか・・・」
そう思って凶夜は家に帰るとすぐに試練の間へと向かったのだが
何故かそこには前までになかったあのバイクが置いてあったのだ
「どういう事だ?もしかして・・・これを使って走れという事なのか?」
確かにこのバイクの性能を限界まで引き出せばこの試練をクリアする可能性はあるだろう
(だが・・・先ほど乗って分かったがこのバイクはかなりムラがある・・・
じゃじゃ馬と言っても過言ではないだろうな・・・果たして完璧に乗りこなせるかどうか・・・)
しかしやらなければ試練はクリアできないので凶夜は覚悟を決めてバイクに跨る
すると試練の馬が現れて凶夜の隣に陣取りレースのスタートラインが浮き出していく
そして炎が灯されていきスタートの合図が鳴り響く
スタートはほぼ互角だったのだが直線になった瞬間に凶夜が前へと出始めた
どうやら直線になるとスピードは凶夜の方が上のようなのだが
問題はこの先に待っている急なカーブだった
このスピードになってしまうおそらくはあのカーブは曲がれない
しかしブレーキをかけてしまえば間違いなく後ろにいる馬に抜かれてしまう
そう考えた凶夜は一か八かブレーキをかけずに体を倒してカーブを曲がる事にした
(クッソ・・・!曲がれぇぇぇぇぇ!!)
「!!」
凶夜はまさしく気合いでカーブを曲がりきりそのままコースを走っていく
その後もコツを掴んだのかこれまでの試練とは違い圧倒的な速度を見せつけてゴールした
「ハァ・・・ハァ・・・!さすがに・・・疲れた・・・!」
こればっかりはさすがの凶夜も疲れたらしくバイクから降りて座り込んでいた
するとそこへ試練の馬がやってきたのだがいつもとは様子が違った
なんと馬が光となって入ったのはアステロイドセイバーではなくバイクに入っていったのだ
(どういう事だ?この試練はアステロイドセイバーの力を引き出す為のものではないのか?)
凶夜はこの試練が一体何を意味しているのかより一層と謎に包まれてしまったが
これ以上は考えても仕方のない事だと思いとりあえずはそのまま眠る事にした
そしてその後、魔人は現れないままいよいよレース当日を迎える事になってしまった
「すまない・・・本当ならこのレースを中断させたかったんだが・・・」
空達はこんな危険なレースに一般人を巻き込ませてしまった事を申し訳なく思っていた
しかし魔人のこれまでの行動を考えるのならば仕方のない事だろう
「別に構わんさ・・・俺はレースに集中するから魔人はお前らに任せる」
凶夜はそれを責めたりなどせずレースに参加する意向を示した
「バイクの準備はできてるよ!これで思う存分に走れるはずだ!」
それを聞いて凶夜は嬉しそうな笑みを浮かべていた
そしていよいよ集合のアナウンスが聞こえ凶夜はバイクを持ってスタート地点に向かう
シグナルが順番に光っていき緑のライトが光ると同時に一斉スタートした
もちろん凶夜は一番最初まで飛び出しておりそこからは誰も寄せ付けないほど早かった
しかし・・・始まってすぐにその異変は起きたのだ
「?!」
なんとサーキットの道から植物が生えてきたり動物が飛び出してきたりしたのだ
間違いなくこれは魔人の仕業なのだろうがこれの所為で後続の選手は次々と脱落していく
(こうなってくるともうレースどころの騒ぎじゃないな・・・なら!)
「変身!」
『ライトアップ!』
凶夜はルナティックパラディンへと変身しそのままバイクに乗って魔人を捜索していると
「!あいつか!」
ゴール付近にその混成魔人の姿を発見しすでにライフレンジャーが戦っているのが見えた
するとその混成魔人もルナティックパラディンの姿に気がついたようで
大量の植物の根と動物を使って迎え撃とうとしてきた
ルナティックパラディンは間をくぐり抜けながらまっすぐに突き進むのだが
途中でエンジンに限界がきたのが火を吹き始めてしまった
「チッ!まだだ!お前の限界はこんなもんじゃないだろ!俺にあの風を感じさせろ!!」
ルナティックパラディンがそう願った瞬間、突如としてバイクが光に包まれた
そして光が晴れていくとそこには姿の変わった特殊なバイクが存在した
「これは・・・まさかあの試練で得た力なのか?!」
あまりの変化に驚いていたルナティックパラディンだったが
目の前からくる植物や動物の所為で気を抜いてはいられなかった
「こうなったら全部避けてやるよ!こいつでな!」
覚悟を決めたルナティックパラディンはフルスロットルで駆け抜けていく
先ほどとは違いそのスピードは音速を超えておりしかも華麗に障害物を避けていく
それこそまさにサーキットを駆け抜ける突風のようだった
「これで終わりだ!」
混成魔人が近づいてくるとアステロイドセイバーを取り出してボタンを押す
『フィニッシュチャージ!』
その機械音がなると同時にバイクごとルナティックパラディンは光に包まれていく
「ウォォォォォ!!」
『メテオジャッジメント!』
光速を超える速度で放たれた突きはそのまま混成魔人を光の彼方へと消滅させた
(・・・感じたぜ・・・あの時、感じた・・・気持ちのいい風をな・・・)
ルナティックパラディンの新しい装備は音速を超えるバイク
これからはこの装備が彼らを助ける事になるだろう




