最強の魔人
今回は二人の視点で話が進みます!
「クッソ!倒しても倒してもキリがない・・・!」
やはりというべきなのか混成魔人が生み出しているアンドロイドを倒しても
次々に生み出されてしまう為、これでは無駄に体力を消耗しているだけだった
「だが!本体に近づくにしてもこの数では!!」
しかし大元である混成魔人を倒そうと思っていても
すでに大量のアンドロイドを生み出されてしまっている為
これをどうにかしない限り近づく事すら叶わないだろう
「おまけに!一体でも逃したら街に被害が出ちゃうしね!」
さらに言うのならば彼らの後ろには大勢の人が避難している最中であり
一体でも通してしまったらどうなるか・・・それは言わなくても理解できるだろう
「やはり賭けにはなってしまいますがあの機械を破壊しますか?」
ホワイトは一か八かの賭けではあるが頭についている機械の破壊を提案する
確かにあれを壊せば本能が暴れ出してアンドロイドを作り出す余裕はなくなるだろう
しかしそれは同時に暴れ出した時にどうなってしまうのか想像がつかないのも事実だった
(だが・・・!結局はこうやって戦っていてもいずれ数に潰されるのは目に見えている・・・!
だったらホワイトの言う通り・・・ここは一気に賭けに出る!)
スカイレッドはこの状況でも負ける事には変わりないので
それならば少しでも勝率がありそうな方に賭ける事にした
スカイレッドからのアイコンタクトで指示を受けたホワイトは矢を放ち機械を破壊した
「グルゥゥゥウゥ?!!」
機械を破壊された混成魔人は頭を押さえ込み痛みに悶えていた
そのおかげでアンドロイドを作り出す手は一旦止まり
スカイレッド達はその間に現存するものを破壊してそのまま一気に混成魔人へと近づく
「っ?!」
しかし近づいたその瞬間に混成魔人は身近にあったポストを大砲に変えて迎撃を開始した
(わかってはいたが物体を変えるだけじゃなく元素の変換も行えるのか・・・!)
そう・・・今回の混成魔人は金属の構造を変える事の出来たトベリ
そしてあらゆるものを合体させる事の出来るブリュエルが合わさった魔人なのだ
しかもその二つの能力はお互いに相互効果のようなものがあり
かなり強力な能力となっているのは間違いなかった
(しかもブリュエルの能力を持っているという事は・・・
下手をしたら巨大なロボットを作り出す事すら出来るというわけか・・・!)
ロボットのいないライフレンジャーにとってこれ以上ないほど厄介な敵
とにかく今はなんとか注意を引いて
何かを作らせる時間を与えてはいけないとスカイレッドは攻撃を仕掛ける
混成魔人もそれに反応して今度は表札を手に取りそれを槍に変えて迎撃する
「ぐっ?!」
どうやらパワーは向こうのほうが上だったようでスカイレッドは簡単い弾き飛ばされてしまう
「大丈夫?!」
ブルーはそんなスカイレッドに近づいて心配するが
受け身は取れていたのでそこまでのダメージはなかったらしい
「問題はあのパワーにあらゆる物を武器に変える能力か・・・!
これじゃあここら辺にあるものは全部、武器に変えられそうだな・・・!」
確かにグリーンの言う通りこの街には彼が使える武器が無数に落ちているのと同義
どんなに武器を破壊したとしても
それこそ先ほどのアンドロイドのように次々と武器を生み出すだろう
「だったら・・・武器ごとあいつを倒す・・・!」
スカイレッドは覚悟を決めてクリアストーンを取り出した
どうやらパワーアップして一気に決着をつけるつもりでいるようだ
「確かに・・・それしか方法はないか・・・!」
他の四人もそれ以外に方法はないと納得し同じくクリアストーンを取り出した
そしてライフレンジャーはパワーアップを果たし混成魔人へと向かっていく
その頃、自身の知っている入口から魔人の基地へと侵入を果たした凶夜
しかし本当の問題はここからだった
(やっぱ・・・離れてから随分と様変わりしてるよな・・・)
たとえ入口の場所は変わっていなくても中の構造に関しては変わっていたのだ
さすがの凶夜でもこんなに変わってしまっていてはどこに何があるのか分からない
(いっその事、破壊して進むか?いや・・・確実にバレて殺されるのがオチだな・・・)
凶夜であってもゼブルという存在は恐怖を覚えるほどの強者である
そんな存在に近づかなくてはいけないのにわざわざバレてしまうわけにはいかない
(せめてどこかにここの地図でもあればいいんだが・・・手当たり次第に探すか・・・)
凶夜は地図を探しに色んな部屋へと入ってみる事にした
「でまずは近くにあった部屋に入ってみたんだが・・・なんだ?ここ・・・」
近くの部屋に入った凶夜の目に入ってきたのは明らかに何かを培養しているカプセルだった
おそらくはアテトの研究家何かなのだと予測は出来たのだがその正体までは分からなかった
(なんにしてもここに地図はないだろうな・・・別の部屋に向かうか・・・)
凶夜はもうここに用事はないと部屋を出て別の場所に向かおうとした時だった
「?!」
急にカプセルが割れ始め中身が飛び出してきた
「チィ!」
『ライトアップ!』
凶夜は急いでベルトを巻きルナティックパラディンへと変身し飛んできたものを撃退する
「こいつは・・・中級の魔人を組み合わせた混成魔人か・・・!」
ルナティックパラディンが目にしたのは中級の魔人が合体した混成魔人だった
おそらくは禁術を試す為に作られたのだろう
(そしていらなくなったからアテトの実験道具ってわけか・・・随分と陰湿な事で・・・)
そんな風に思いながらルナティックパラディンは倒れている混成魔人にトドメを刺した
「さて・・・問題は・・・今ので俺の存在がバレたって事だな・・・」
「まさかあやつが直接ここに乗り込んでくるとはのう・・・どう言った考えじゃ?」
監視カメラからルナティックパラディンの映像を見ながら
アテトはどうして彼がここにきたのかを考えていた
彼の事をよく知っているアテトだからこそ無駄な事をするわけがないと思い
色々な事を考えていると一つの推測が生まれた
それはこの基地にいる誰かに会いに来たという事だ
しかしそこで新たな疑問が生まれる
(あやつには仲間と呼べるような魔人はいなかったはず・・・一体誰に会いに来たのじゃ?)
そう・・・この場所にはルナティックパラディンが危険を冒してまで
会いに来るような者はいないはずなのだ
しかしそれ以外の考えが浮かばないアテトは別の予想をし始める
それはその会いに来た人物が敵なのではないかという予測だった
そしてもしもそれが正しい場合、一体誰に会いに来たのか
(ナキアの話に乗ってここまで来た?いや・・・あやつはあんな者の言う事を聞くとは思えん・・・
他の四天王に関しても同じ事・・・だとしたら・・・ゼブルか?)
そもそも四天王などは普通に地上に出て活動をしているのでわざわざこちらから出向く必要もない
ならば残された可能性はここから動く事のないファーシルとゼブルのどちらかだと分かる
さらにファーシルは未だに目覚めてはいないので
この時点でゼブルがターゲットなのだと分かる訳だ
(しかしあやつめ・・・魔人最強と謳われているゼブルに会いに来るとは・・・
命知らずな事を考えおるのう・・・これあやつらの影響か・・・)
アテトは自分の知らない間に変わったルナティックパラディンを思い浮かべて笑っていた
しかしそれは嬉しくてではなく悪戯を思いついたという邪悪な笑みだった
(さてと・・・とりあえずはゼブルに報告しに行くかのう・・・)
一応は仕事なのでアテトはゼブルにルナティックパラディンが来た事を知らせに向かう
「くっくっくっ・・・どうなる事かのう?・・・」
「・・・もはや地図を見つける前に迷ったな・・・」
その一方でルナティックパラディンは地図を見つけられずそのまま迷子になっていた
「・・・もうバレてるんだし壁を壊して進むか?」
もはや自分がここへ来ている事はバレているのでルナティックパラディンは
全てを破壊して進もうと考えていたその時だった
『そんな事をせんでも儂がお前の願いを叶えてやるわい』
廊下からアテトの声が聞こえてきてルナティックパラディンはやはりバレていたかと警戒する
『そんなに警戒せんでも罠なんぞ張っておらんわい・・・ちゃんと案内してやる』
確かにアテトの言う通りそんな罠なんて仕掛ける仕掛ける必要はないだろう
何故ならゼブルはそれほどまでに強い魔人なのだから
アテトの案内の元、ルナティックパラディンはようやく目的の場所にたどり着いた
そして扉を開けるとその先に待っていたのはアテトのもう一人・・・圧倒的なオーラを放つ魔人だった
(あれが・・・最強の魔人・・・ゼブル・・・!)
ルナティックパラディンは初めてゼブルを目の前にして悟ってしまった
・・・今の自分では絶対に敵わないという事を・・・
「貴様が来た理由は知っている・・・アースの会いたいのだろう?」
どうやらゼブルはどうしてルナティックパラディンがここにきたのかを知っていたようだ
そして同時にそれに対して手伝おうとしている節もある
「・・・どうして俺が来た理由を知っていながら手助けするんだ?」
ルナティックパラディンはどうして自分の事を手伝おうとしているのかその理由を確認する
「アース・・・奴が目覚めればファーシル様も目を覚まされるかもしれん・・・それ故だ・・・」
どうやらゼブルが手伝ってくれるのはファーシルと目覚めさせたいからだった
しかしルナティックパラディンからして見れば別にそんな理由でもよかったのだ
彼がここへ来た最大の目的を果たせれば・・・それで・・・
「それじゃまぁ・・・話してもらうぜ?
ファーシルとアース・・・この二人が最後に戦った場所について・・・!」
「いいだろう・・・すべてを知る者として・・・あの時の事を全て・・・貴様に教えてやろう・・・!」
いよいよ明かされる始まりの戦い!
果たして凶夜は無事に過去へのヒントを手に入れられるのだろうか?!




