繰り返される出来事
今回は最後でかなりシリアスになります
たった今・・・愛心達は秘密基地で空達を交えて作戦会議をしていた
その理由はただ一つ・・・この前の戦闘で凶夜も多少なり傷を負ってしまったのだ
今はその傷の治療をしているのでもし何かあっても十分に戦えない
なので何かあった時にどうすればいいのかを考える為の会議である
「とは言えのう・・・さすがに傷の治療で何かできるわけでもないしのう・・・
やはりフィアーナイトに頼らないようにするしかないかのう・・・」
来島博士の言う通りこれに関しての対策としては彼の負担を減らす事だけ
なので問題となるのは彼にどうやって魔人や鬼の事を悟らせないかだ
「まぁ・・・そこに関しては私達でどうにかするしかないわね・・・」
愛心は凶夜の家も知っている自分達で足止めをすると提案した
「確かにそれが一番良さそうじゃな・・・まぁ本当は何も起きないのが一番なのじゃが・・・」
来島博士の言う通り本当なら何も事件が起きないのが一番だが
そうはならないのがこの街の普通なのだ
「ハァ・・・今度はどうやら鬼の反応のようじゃ・・・」
レーダーに反応が出てきてそれが鬼だとわかった来島博士は空達を向かわせる
「お前さんらはちゃんとフィアーナイトの足止めをするんじゃぞ」
そして愛心達は凶夜の元に向かい絶対に現場に来ないように指示する
それに対して三人は頷いて凶夜の元へと向かっていった
「・・・やはり空達をパワーアップさせる必要があるかのう・・・」
みんなを見送った後で来島博士はライフレンジャーのパワーアップについて考え始める
「しかし・・・すでにアースはおらず力の源も全て使い切ってしまっておる・・・
そうなるとどんなパワーアップが通用するのか・・・」
だがライフレンジャーの力の元になったアースはすでにこの世にはいないので
新しい力を与えることはおろか生み出す事も出来ないのだ
その中でどうすれば魔人や鬼の幹部に対抗できるようになるのか
それは来島博士ですら頭を抱える問題になっていたのだった
一方その頃、空達はレーダーで示していた現場に到着した
「・・・来たのはお前らだったか・・・」
するとそこでは骸兵に囲まれて時計を体に埋め込まれたような鬼が待ち構えていた
「俺の名は再鬼・・・本来なら相手はお前らではなく
フィアーナイトか魔人のつもりだったのだが・・・
まぁいい・・・お前らも邪魔な奴らには変わりないのだからな・・・!」
そう言って再鬼は骸兵と一緒に空達に突っ込んでいく
「?!チェンジ!!」
空達もライフレンジャーに変身して骸兵と相対する
みんなが戦いを繰り広げる中でスカイレッドの前に再鬼が立ちはだかった
「ハァ!!」
もちろんスカイレッドは隙だらけの再鬼に攻撃を仕掛けないわけもなく
剣を振り下ろして再鬼に攻撃しようとすると
「ヌゥン!」
再鬼の体についている時計が動き出してそれが止まると
「ん?・・・あれ?!グハァ!!」
なんと振り下ろしたはずの剣がまた挙げられておりその隙に再鬼に攻撃される
「なんだ・・・?!今のは・・・?!!」
地面に倒れこむスカイレッドは今の能力がなんなのかと思っていた
「「オラァ!!」」
するとそこへイエローとグリーンが突っ込んで行き再鬼に飛びかかるが
再び時計が動き始めて針が止まった瞬間
「「なっ?!ガァ!!」」
何故か走り出していた場所に戻されており止まっているところを攻撃される
「残念だがお前らの攻撃は俺には通用しない・・・何故なら俺の能力は巻き戻し・・・
時を巻き戻してお前らの攻撃を全て・・・なかった事にできるのだ・・・!」
「まさにチートみたいな力だな・・・!」
ダメージを負った体をなんとか起こしながらグリーンは呟く
「ふん・・・本当ならお前らにすら使うのは勿体ないのだが・・・
俺は何事に対しても全力で当たるのをモットーにしているからな・・・」
そう言いながら再鬼はゆっくりと三人に近づいてゆく
「行かせません!!」
それを食い止めようとホワイトが後ろから射撃すると
今度は能力を使わずに攻撃を弾き飛ばした
「言ったはずだ・・・貴様らには使うまでもないと・・・!」
再鬼はホワイトからの攻撃を物ともしないで三人の元に向かい
到着すると武器を振り上げてトドメを刺そうとする
「これで・・・最後だ・・・!」
再鬼が武器を振り下ろそうとしたその瞬間だった
「ぐっ?!」
上空から攻撃されて上を向くとそこにはライフボーイの姿があった
『一度撤退じゃ!今すぐにライフボーイの手に乗れ!!』
どうやら来島博士がライフボーイを呼んでくれたようで
ライフレンジャーの五人は指示に従ってライフボーイの手に乗りその場を離脱した
「・・・逃したか・・・まぁいい・・・俺の能力が通用する相手なのはわかったからな・・・」
再鬼は逃したことに対してあまり困ったようには思っておらず
そのまま暴れ出すかとも思ったが自身の能力では
そこまで破壊力はないと悟ったのか帰って行ってしまった
「・・・フィアーナイトは出てこなかったか・・・」
そしてそれを遠くのビルから見下ろす者がいた
業鬼衆のリーダーである茨童だった
「何故出て来なかったのか不思議ですが・・・まぁいいでしょう・・・邪魔者は排除するだけです」
「うむ・・・時間を巻き戻す力か・・・なんとも厄介な能力じゃのう・・・」
みんなの治療をしながら来島博士は今回の鬼の能力について考えていた
「正直その能力がある限りダメージを与えられる気がしません・・・」
空の言う弱音にみんなも同意するかのように黙り込んでしまう
「・・・確かにそうじゃのう・・・何か対策が欲しいところじゃが・・・
戦ってもこちらの体力が削られるだけじゃからなぁ・・・」
来島博士としてももう少し相手の能力に対しての情報を欲しいと思ってはいるが
かといって空達が倒れてしまっては意味がないのでどうしようかと考える
「それなら私達が協力します!」
するとそこへ愛心達が現れて自分達が協力すると宣言した
「お前さんら・・・あやつの足止めはどうしたんじゃ?」
来島博士は三人に任せていたはずの凶夜の足止めはどうしたのか聞く
「それが・・・どうやら凶夜さんすでにどこかに行ったようで家にいなかったんです・・・」
奏歌の話ではリリムの持っている合鍵で家の中に入ったのはいいが
凶夜の姿はなく帰ってくる気配もなかったので一度、帰ってきたそうだ
「おかしいのう・・・それなら鬼の出現地点に現れてもおかしくないのじゃが・・・」
しかし姿がないのならどうして鬼が現れた場所に出てこなかったのか
そして鬼が目的ではないのならどこに行ったのか
来島博士は凶夜の動向を気にしていた
「・・・まぁいい・・・今はそれよりも再鬼への対処じゃ」
しかし彼の事をよく知らないのでこれ以上は考えても無駄だと思い
目の前にある問題として立ちはだかっている再鬼の対策を考える
「お前さんらが協力してくれたとしても攻撃は当てられないからのう・・・
どうにかしてダメージを最小限に相手の能力を割り出しておきたいのう・・・」
愛心達が協力してくれたとしても再鬼の能力を考えれば数の問題ではないので
果たしてどれだけダメージを抑えつつ能力の解析を出来るだろうかと来島博士は悩み始める
一方その頃・・・家にいなかった凶夜は今、癒しの森に来ていた
「・・・まさかあんたから連絡をもらうとは思ってなかったぜ・・・」
そう告げる凶夜の目の前には大婆様の姿があった
「私としては避けられていると思っていましたので・・・
ですがそれほどの傷を治すのならこの癒しの森に来るべきだと思いましてね」
実は大婆様の言う通り態度には出していなかったが凶夜の体は色々な箇所が折れたりしていた
それこそ普通の人間なら立っていられないほどの傷を彼は負っているのだ
「それにその傷・・・相手によってではありませんよね?」
その問いに対して凶夜は何も答えようとはしない
しかし事実は彼女の言う通りである
凶夜が負った全ての傷は自身の力に体が耐え切れなくて受けた傷なのだ
「いくらあなたが魔人によって改造された体とはいえ
・・・その力を多用すれば・・・命はありませんよ?」
大婆様は凶夜の使う力の危険性を伝えるがそれはすでに彼自身も理解していた
何故ならばこの前戦ったシャドウナイトは自分と同じだけの力を持ち
そしてその力に耐え切れずに壊れてしまったのだから
同じ力を持つ凶夜自身もこれから本気の戦闘を続けていれば
いずれはああなるだろうという未来のビジョンをシャドウナイトは明確に現していた
「・・・だが・・・俺はそれでも立ち止まるわけにはいかない・・・
どんな事をしてでも復讐を果たす・・・!それが俺の・・・生きている意味だ・・・!」
しかしそれでも彼は止まるつもりはなかった
何故なら彼にとって復讐こそが生きる目的であり戦う理由だからだ
もしも彼が復讐というものを捨ててしまったらおそらく今の彼はもうここにはいない
だからこそどんな風になったとしても・・・彼は止まるわけにはいかないのだ
「・・・わかりました・・・ですが忘れないでください・・・
あなたがどんなに復讐に囚われていたとしても・・・あなたを思う人はいるのです・・・」
「・・・話はそれだけか?それなら俺は少し寝させてもらうぞ」
話を聞くだけ聞いた凶夜はそのまま大木の下で眠ってしまった
(・・・彼もまた・・・復讐に取り憑かれてしまっているのですね・・・)
大婆様は凶夜と過去に自分と共に戦った者の事を思い出していた
(愛心・・・奏歌・・・リリム・・・
どうかあなた達は私のように彼から離れないでください・・・
それが彼を救う・・・唯一の道なのですから・・・)
果たして空達はフィアーナイトがいない中で
時間を巻き戻す再鬼に勝てるのだろうか?!




