新たなる力
ライフレンジャーとスピリットメインでの新しい必殺技が出てきます
金童を退けたフィアーナイトの戦う姿を見て
愛心と奏歌は自身の弱さを改めて思い知らされた
自分達は金童を相手にリリムの力も借りて全力で戦い
結果はかすり傷をつけるので精一杯だった
二人はこのままではダメだと思っていた
だからこそどうすれば
自分達が強くなれるのか考えながら道を歩いていると
『悩み事でもありましたか?』
「「大婆様?!」」
大婆様から突然の連絡が来て二人は急いで手鏡を取り出した
「どうしたんですか?急に・・・」
普段はよほどの事がない限り連絡をくれない大婆様から連絡が来て
奏歌は何事かと思っていたが
(いえ・・・充分大事ですよね・・・業鬼衆の襲来は・・・)
彼らの存在はそれほどまでに大きかった
自分達はおろか魔人の四天王ですら相手にならないほど強かった
そんな相手が五人もいるのだから絶望的な状況だろう
『・・・その様子だと私が連絡をした理由に心当たりがあるようですね・・・』
そして二人のその考えは当たっているらしく
大婆様の声はとても重いものだった
『とにかく今日は色々あったでしょう・・・
なので明日でいいです・・・癒しの森に来なさい・・・』
そう言って大婆様との会話が終わった
本当は今すぐにでも癒しの森に行きたかったが
確かに大婆様の二人は先ほどの戦いでかなり消耗してしまい
今すぐにでも倒れそうなくらいだった
なので二人は大婆様の言う通り癒しの森に行くのは明日にして
今日はおとなしく家に帰りゆっくり体を休ませることにした
そして翌日になり二人は約束通り癒しの森へと向かっていた
二人が来たのは大きなトンネルの前だった
そのまま二人はトンネルの中に入って進んで行くと
奥には緑生い茂る大きな森が広がっていた
「よく来ましたね・・・二人とも」
そして二人の前に車椅子に乗っている老婆・・・
癒しの森の大精霊である大婆様が迎えてくれた
「大婆様・・・私達は今より強くなることができますか?」
愛心は大婆様に会ってすぐに自分達がもっと強くなれるかどうか聞く
「・・・・・」
しかし大婆様は何も答えてくれなかった
だがその沈黙は方法がなくて黙っているのではなく
どちらかと言うと言いたくなくて黙っている感じだった
「教えてください!私達、これ以上足手まといになりたくないんです!!」
それを察した二人はどうしても教えて欲しいと頭を下げて懇願する
「・・・確かに方法はあります・・・
しかしこの方法はあまりにも危険・・・
本来ならもっと強くなってから使うつもりでした・・・
ですが四天王や業鬼衆が現れたこの絶望的な状況・・・
どうやら手段を選んではいられないようですね・・・」
大婆様は二人にその思いに胸打たれたのかその方法を教えることにした
「ついてきなさい・・・」
そう言われた二人は大人しく大婆様の後をついていく
しばらく歩いていると大きな木の前にたどり着いた
「この木こそこの癒しの森の主・・・そして私達精霊の力の源です・・・」
「癒しの森の主・・・」
「そして・・・精霊の力の源・・・!」
「二人にはまずこの木の中に入ってもらいます」
どうやら強くなる方法はこの木の中に入るという簡単なものだった
しかし問題はこの木自身だった
「先ほど言ったようにこの木は精霊の力の源・・・
つまりこの中には言葉では表しきれないエネルギーで満ちています
そんな中に人の身で入るあなた達にどんなことが起きるかはわかりません・・・」
この木の中はエネルギーの奔流がありその中に人間が入る
それは今回が初めての試みである
本当ならそれにも耐えられるくらい二人が強くなった時に
この方法を進めるつもりだったがここまで来た以上、止めることはできない
「それでも本当に入りますか?」
大婆様は二人に最後の選択を与える
「「・・・・・」」
しかし二人には一択しかなかったらしくただ黙って頷いた
「・・・わかりました・・・二人の幸運を祈ります・・・」
大婆様は木に触れ穴を作り二人がその中に入っていくのを見送った
その頃、来島研究所ではようやくパワーアップアイテムが完成していた
「ふぅ・・・時間がなかったから一個しかできなかったわい・・・!」
ようやく開発室から出てきた来島博士はマスクを外して一息ついていた
「完成したんですね・・・ついに!」
空は嬉しそうに来島博士に駆け寄り完成を喜んでいた
「ああ・・・みんなも中に入るがいい」
来島博士はみんなを開発室の中へと入れた
「これが新しく開発したパワーアップアイテム!
その名も・・・ライフバズーカじゃ!!」
そう言って目の前にあったのは
みんなの武器が合体して出来ていた大きな大砲だった
「まさか俺たちの武器を合わせるとは・・・さすがは博士だな・・・」
森はこの短期間にこれだけのものを完成させたことを素直に感心していた
「そうでもないわい・・・
結局時間はなかったからお前さん達の武器を合わせることで
無理やり作ったんじゃからのう・・・
おかげさまでうまく作動するのかすらまだ実験しとらんわ」
しかし来島博士はこれを完成させるので精一杯であり
ろくに調整すら出来ていないと悔しがっていた
「仕方ありません・・・それは実戦で試しましょう・・・!」
短期間しかなかったのでそれぐらいのリスクは彼らも覚悟の上であった
霧はその試しも全て実践でやるしかないと言った
「・・・!どうやら噂をすればみたいよ?」
すると丁度いいタイミングなのか研究所のアラームが鳴り響いた
五人は急いでその武器を持って現場へと向かった
「ふぁ〜・・・暇・・・」
街の大通りに現れたのは虎童だった
しかし彼は自分では何もせず
人々を襲っていたのは骸兵達だった
「そこまでだ!!」
そこへライフレンジャーが到着した
「ようやく来た〜・・・それじゃあ後はよろしく〜・・・」
虎童はライフレンジャーが現れると上空に何かの合図をする
「おうよ!任されたぜ!!」
すると上空から大きな影が落ちてきた
それが地上に激突し砂埃が舞う
そしてそれが晴れるとそこに立っていたのは
「ウォォォォォ!!」
熊童だった
まさかの業鬼衆二人の到来に五人は怯んでしまった
「ギャハハハハハ!!ここからは俺様が相手だ!!」
そして熊童はそのまま五人に向かって突っ込んでいく
「テメェらの相手は俺がしてやるよ・・・!」
「チィ?!誰だぁ?!!」
誰が飛んできて熊童を大きく蹴り飛ばす
熊童はその誰かを確認するとその人物はフィアーナイトだった
「言ったはずだ・・・俺はお前ら全員ぶっ潰すとな・・・!」
フィアーナイトの登場は熊童にとっては予想外のことだったが
それ以上に強者が来たことを喜んでいた
もしこのまま戦えば格下と戦うことになっていただろう
しかしそれは熊童にとっては何よりも辛いことだった
だからこそ強者である彼の襲来が嬉しかったのだろう
完全にライフレンジャーへの意識は削がれ
フィアーナイトとの一騎打ちになった
「・・・彼には感謝しないとな・・・」
スカイレッドはそう思っていた
先ほどまで萎縮していた自分達を助けてくれるだけでなく
業鬼衆の一人を相手にしてくれていることに対して
彼は心の中で感謝していた
これでようやく目の前の相手に集中できると・・・
しかし彼らは忘れている
目の前にいる彼もまた・・・業鬼衆の一人だと・・・
「しょうがないな・・・それじゃあ君達は・・・僕が嚙み殺してあげるよ・・・!」
「「「「「?!!」」」」」
五人は虎童から放たれた殺気に飲まれてしまった
それほどまでに彼の変わりようはすごかった
先ほどまでやる気がなかったはずなのに
今は打って変わって熊童以上のやる気に満ち溢れていた
(やはりこちらが本性だったか・・・だが・・・)
「俺達は必ずお前を倒してみせる!!」
「やれるものならやってみなよ・・・虫が!」
虎童はそのまま一目散に五人に突っ込んでいく
それを五人は華麗に躱したと思っていたが
「なっ?!ぐぁ!!」
虎童は空中で体勢を変えビルの壁を利用してグリーンを攻撃した
「森!!」
イエローが心配して駆け寄ろうとするが
「イエロー危ない!!」
その隙をついて虎童がまた突っ込んでいく
ブルーが危ないと警告するが既に遅く
「グァァァァァ!!」
虎童の強烈な突進を受けてイエローは壁に激突してしまう
「先にあいつの足を止めるのが先か・・・!」
空はなんとかして彼の足を止めないといけないと考えるが
その方法が一個として思い付かなかった
(かといってこのまま攻撃され続けるわけには・・・!)
この状況をどうやって打破するか考えていると
「私達が彼の動きを止めます!!」
「!君達は!!」
スカイレッドが振り返ると
そこにはスピリットメイデンの二人がいた
「・・・任せてもいいのか?」
スカイレッドは本当に大丈夫なのか確認するが
「大丈夫です・・・もう前の私達じゃありません・・・!」
二人の目は既に覚悟を決めた目をしており
これ以上は無礼になると思ってスカイレッドも覚悟を決めた
「頼んだ・・・!」
「戦隊五人の次は小娘二人か・・・まぁどの道、全員殺すからいいんだけど・・・」
虎童はたとえ女の子二人でも容赦をするつもりはないらしい
先ほど以上の速度で虎童は二人に突っ込んでいく
しかし二人はそれを躱そうとは考えておらず
むしろ迎え撃とうとしていた
二人はゆっくりと地面に手をつけ
・・・そして・・・
「「ドライウッドヴァイン!!」」
「何?!」
なんと地面から木の蔓が飛び出て虎童に巻きついて行き
二人の少し手前で完全に動きが止まった
「今です!!」
「「「「「ライフバズーカ!!」」」」」
五人は武器を合体させて巨大な大砲を作り出し
その砲身を虎童に向ける
「ファイヤ!!」
そしてスカイレッドが引き金を引き
砲身から巨大なエネルギーの弾が発射され虎童に直撃した
「はぁ・・・はぁ・・・!どうだ?!」
これまでにはない渾身の手応えをスカイレッドは感じていた
・・・しかし・・・これで終わらないのが彼ら・・・
業鬼衆だった
「よくも俺に傷を付けてくれたなぁ・・・!」
「何っ?!」
なんと土煙の中から傷を負っているものの
まだ戦えるだけの力を残している虎童が立っていた
「くそ!ならもう一度!!」
倒れていなかったことを再確認した五人は
もう一度ライフバズーカを撃とうとするが
「ダメです!エネルギーが足りません!!」
そう何回も乱発はできないらしく絶対絶命のピンチになってしまった
『ブラ・・・ッド・・・』
その音が聞こえるまでは・・・
「ガァァァァァ?!」
なんとフィアーナイトと戦っているはずの熊童が飛んできて
虎童と激突してしまった
「どうしたよ・・・そんなもんか?」
そしてその奥からフィアーナイトが近づいてくる
「・・・はぁ・・・もういいや・・・これ以上は面倒だし・・・」
すると虎童は何を思ったのか戦闘をやめて熊童を掴んで消えていってしまった
「助かった・・・の?」
ブルーは今の状況を全く理解できていなかったが
とりあえず助かったことだけはわかった
「ああ・・・助けられたんだ・・・敵にな・・・」
しかしそれは別にフィアーナイトが助けてくれた訳ではなく
あくまで彼が撤退したからこその勝利だった
もしあのまま続けていれば
そんな不安が彼らの頭をよぎり
より一層強くならねばと決心することとなった
新たな力を身につけたライフレンジャーとスピリットメイデン
しかしそれを使いこなすことができず
結局は敵に悔しい勝利をもらうことになってしまった




