漫才「神様」
ツッコミ「はい、どーも、こんにちはー、よろしくお願いしまーす」
ボケ「(ツッコミより遅れて登場し)皆さんこんにちは。私が……(数秒ためてから)神様です」
ツッコミ「いや、ためたなー、そして、いきなりぶっこんできたなー」
ボケ「ということで私は神様だから、君の願いをなんでも叶えてあげるよ」
ツッコミ「ホントですか?」
ボケ「ホント、ホント、神様嘘つかなーい」
ツッコミ「いや、いまいち信用できないな……でもまあ一応お願いしてみようかな。あのー、僕、今恋人がいなくて、だからかわいい彼女が欲しいんですよ」
ボケ「かわいい彼女?」
ツッコミ「ええ、そうです」
ボケ「え? かわいい彼女?」
ツッコミ「そうですよ、僕なんか変なこと言いましたっけ?」
ボケ「あ、いや、君、鏡って知ってる?」
ツッコミ「え、もちろん知ってますけど……」
ボケ「じゃあ一度鏡で自分の顔見てみるといいよ、その顔で彼女とか……アハハハハ」
ツッコミ「いや、人の顔見て笑うとか、めっちゃ失礼な神様だな! それに僕、別にそんなブサイクじゃないと思うんですけどねぇ……」
ボケ「うわー、自分のことイケメンだと思ってるんだー、キャー、こわーい、助けてー、駅員さん、この人ナルシストですー!!」
ツッコミ「いや、チカンみたいに言わないでくださいよ!」
ボケ「チカンなんかに彼女ができると思っているのか!?」
ツッコミ「だから僕、チカンじゃないですって! あなたが勝手に勘違いしてるだけで……」
ボケ「うわ、怖いー。悪いのは自分じゃなくて被害者の方だ、みたいな言い方してくるー、なんてひどい男なの!! この! 女の敵!!」
ツッコミ「いや、なんでですか! あなたの被害妄想の方がよっぽどひどいですよ!!」
ボケ「まあ、そんな話は置いといて……」
ツッコミ「いや置かないでくださいよ! 僕への風評被害がひどい!」
ボケ「君の願いの方、繰り返しまーす」
ツッコミ「いや、何、急に?」
ボケ「生まれてからうん十年、ずっと彼女がいなくて、チカンを繰り返してきた社会のクズの僕のことでも愛してくれるような優しくて広い心を持った、おっぱいはFカップで、ウエストは細く、お尻の大きい、顔はアイドルみたいにかわいい、そんな女の子を僕は恋人にしたいと思っている……ご注文の方は以上でよろしかったでしょうか? この身の程知らずのクソ野郎!!」
ツッコミ「いや、口悪いな!! そして願い、全然違いますねー。僕が言ったのは『かわいい彼女が欲しい』ってとこだけで、それ以外はすべて神様の拡大解釈ですねー、そしてこれだけは声を大にして言わなければならない! 僕は絶対チカンじゃない!!」
ボケ「素直に吐けよ。その方が罪も軽くて、早く楽になれるぞ」
ツッコミ「それでも僕はやってない!! ていうか、そういう展開になるんだったら彼女なんかいりませんよ!」
ボケ「じゃあ彼氏がいるの?」
ツッコミ「いや、なんでそうなるんですか!?」
ボケ「いいじゃん、その方が女の子たち喜ぶよー」
ツッコミ「いや、それで喜ぶのは一部の女子だけですから!」
ボケ「そうなの?」
ツッコミ「そうです」
ボケ「はっ、君がつまらないツッコミを入れまくったせいで、もう時間がないじゃないか。神様は地上に3分間しかいることができないのだ!」
ツッコミ「いや、ウルトラマンかよ! その設定!!」
ボケ「とにかく、一つだけ願いを叶えてやるから、なんでも言ってみたまえよ、君」
ツッコミ「え、そんな急に言われても思い浮かばないですよ、じゃあ……世界が平和になりますようにとか」
ボケ「チッ、クッソつまんねー願いだなー」
ツッコミ「ええー? 世界平和祈って怒られたの生まれて初めてなんですけど……」
ボケ「もっとこう他にないの? 人類が滅亡しますようにとか、人類が滅亡しますようにとか、人類が滅亡しますようにとか」
ツッコミ「いや、どんだけ人類に恨みあるんですか!? あなた神様なんだったら勝手に滅ぼせばいいでしょう!!」
ボケ「それを言ったらおしまいじゃない? 人として」
ツッコミ「どうすりゃいいんですか……あ、一つだけ願いが思いつきました」
ボケ「なんだ? 言ってみろ」
ツッコミ「めちゃくちゃウザい神様に絡まれて困ってるんで、その神様のこと消してもらえませんかねー」
ボケ「オッケー! 今すぐ消すねーって、それ俺のことじゃん! ギャー!!(画面から消える)」
ツッコミ「あ、ホントに消えちゃった。というわけで、どうもありがとうございましたー」
ボケ「(再び現れて)フハハハハ、そこの君、私は奈良の大仏だ。君の願いをなんでも一つだけ叶えてやるぞ」
ツッコミ「もういいよ!! どうもありがとうございましたー」