新たな家族
今から八年前こと。その頃の僕には、よく一緒に遊んでいた女の子がいた。いや、正確にはよく一緒に遊んでいた好きな女の子がいた。
その頃同時に、両親の仲が悪くなっていた。まもなくして、両親が離婚した。僕は親父に引き取られ、母は一人引っ越してしまった。その後、あの子がどうしでいるかは分からない。
八年後僕、山城 翔太は高校一年生にして、事故でたった一人の家族である、親父を亡くしてしまった。
僕はその時、不平等なこの世界を恨んだ。
「なんでだよ!なんで、僕ばかりこんなにならないといけないんだ…?」
「僕はこれからどうすればいいんだ。」
僕は膝を落として泣き続けていた。
それからは親戚の間で、たらい回しにされ、数ヶ月後、母のところに行くことが決まった。
数ヶ月経った今、少しずつ落ちついてきた。母親には時々会っていたが、久しぶりに会うので少し楽しみでもあった。
「久しぶりに母さんに会うの楽しみだな」
もうこれからは、ネガティブに考えず、前向きに考えよう。
そんなことを言っているうちに 、母さんが住んでいる家につき、インターフォンを鳴らした。
「はい、どちら様でしょうか?」
え? 聞き覚えのない返事。
やっば!家間違えた。
知らない人の声だったが、ドアが開けられた時すぐに分かった。
「な、なんで……なんで、ここに紅凛ちゃんがいるの?」
「え?お母さんから聞かなかったの?」
「私達今日から兄妹になるんだよ。」
僕は紅凛ちゃんの顔を見た瞬間、脳がショートしてしまった。
あれ?今紅凛ちゃんと兄妹になるって言ってなかった?
「え……えーーーー!?」
──その後、詳しいこと聞くと、母さんは親父と別れて3年後に、紅凛ちゃんのお父さんと再婚して今に至ったらしい──
てか、え?紅凛ちゃんって、母親いなかったの?あと、なんで母さん教えてくれなかっただよー!あーもう、いきなり過ぎて頭が追いついてこない!
なぜ僕がこんなに動揺しているかと言うとこの子、加賀 紅凛は昔から好きだった女の子であるからである。
どうしよう。何か話さないと。などと考えながら、紅凛ちゃんの顔を見た。
いきなりで驚いたけど、改めて見るとやっぱり可愛いな。
「おーい!翔太くんどうしたの?顔赤いよ?」
「はっ!ごめん。いきなり過ぎて驚いただけだよ。やっぱり数年ぶりに見たけど、可愛いね!」
「!?」
うっかり、思っていたことを声に出しちゃった。
「なーんて、言ってみたりして…」
ど、どうしよう…この気まずい雰囲気…
「だ、だよね!いきなり過ぎて驚いたよ。と、とにかく、家に上がって!ごめんね、立ち話しちゃって。」
「大丈夫だよ、あははー。ハァー」
危なかった!でも、変なやつだと思われたよ絶対。もう本当に馬鹿だ!自分のバカバカバカ!
などと思いながら、案内されながら、リビングに向かっていった。