07
通りを三つくらい抜けた所で
タクシーを拾った大木たちは
ホッと一息ついていた。
タクシーの中で。
空来たちもいる。
「星村さん。
いったいどこへ」
先は恐怖がまだ覚めやらぬよう。
震えている。
「さあ」
「先生。すいません。
カメラ」空来。
「エッ」
「星村の奴に持っていかれました」
「で、データーは」
「最初、サソリが出て来るまでのモノは
ありますが。
あまり容量がなかったので途中で交換を。
それで-----奴が出て来てからのモノは。
すみません」
「気にするな。
彼に任せておけば。
必ず返して来るさ。
まあとにかく研究室へ。
話はそれからだ」
サキもハラハラ。
「しかし先生。
どう思われます。
とても撃たれて死んだようには。
やはり-----例えば餓死でしょうか」
月川が話題を変えた。
「空来君。どう思う」
小さくなっている空来に大木。
「エッ。はあ。
はい、しかし先生。
餓死ならあのようには」
パトカーが数台。
けたたましくサイレンを鳴らしながら過ぎ去った。
「何かあったんですかねえ。
さっきからパトカーが」タクシーの運転手。
四人は顔を見合わせた。
「例のサソリが暴れたんだよ。
知っているだろう。
例の巨大サソリ」
「エッ!マサカ。
冗談を」運転手は信じない。
「テレビは見ましたが-----嘘でしょう。
怪獣映画じゃあるまいし」
“まあいいか”
大木は空来たちへ。
「死因か」
「ちょうど、エビを焼酎につけたような感じでしたから」
もがき苦しんで跳ね回っていた。
「焼酎はないだろうが」
「毒-----ですか」サキ。
「しかし、君。
なにを。
マサカパトカーや、コンクリートを
食べたからなんて」
「はい。先生。
ですから-----やはり違いますか」
四人とも沈黙。
「くそー。
奴の細胞さえあれば」月川が思い出したように。
「仕方ないよ。
あの場合。
それにうまくいけば警察の方から」
「先生。警察と言えば。
良かったんでしょうか。
あのままにしておいて」
「いや-----どっちにしても呼び出されるだろう。
その前に写真を分析しておこう。
しかし惜しかったねえ。
あの細胞」