2-04
社長室を後に、クルマへ。
隆二が運転。
案の定。大学前は黒山の人だかり。
隆二たちは裏からこっそりと入った。
「あいつら全部マスコミか」多末。
「そのようです」
「まいったなあ。
ウチが独占でやれれば
これは大スクープだ」多末。
「編集長。
うちは科学雑誌が専門ですよ」サキ。
「わかっている。
そんな事は」
研究室のある建物の前にも
ガードマンが張り付いている。
大学がガドラ騒ぎで
休校になっている事もあり、
人影は少ない。
「大木先生は」隆二。
「中です。
星村さんたちが来たら
通すように言われています」
顔を見知ったガードマンに入れてもらった。
「やあ、来たか。
編集長もご苦労でした。
空洞内では」
気軽に。眠そうな顔。
「先生。早速ですが-----。
原稿。原稿はできますか」
「原稿。
そうか、忘れていた。
いつだったか。
締め切りは」
「先生。東京がこの状況で。
それで締切が伸びましたので。
一週間以内」
大木は困ったという表情。
「ここでは何ですから
自室の方へ。
すぐに切りをつけて私も行きますから」
多末もその場の雰囲気に
圧倒されたか-----渋々。
それ以上言い出せず。
研究室を出た。
大木の自室へ。
「星村。
これは大木先生。
いつになるかわからんぞ。
あの様子では」
「はい。そのようです」隆二。
「どうします」サキ。
「どうするって。
それをどうにかするのが
君たちの役目だろう。
サソリの時から張りついとるんだし
空洞内にも一緒に。
何とかうまく。
内容はとりあえず何でもいい。
第五周期関係なら。
今なら大木先生の名前だけで
飛ぶように売れる。
とにかく書いていただけ。
しばらくはウチの専属になっていただく。
その件も上手く君たちから切り出せ。
それと-----くれぐれも先生に
失礼のないようにな。
うまく。
いや。
私が言った方が。
君たちはだまっとれ」
大木が来た。
「いや。失敬。
星村君に依頼されていた原稿の件。
すっかり忘れていました。
編集長には申し訳-----」
皆まで言わせず。
「いえ。とんでもない、先生。
そのあたりの事情は
充分心得ております。
先ほどはとんだ失礼を。
お忙しい中
時間まで取っていただきまして」
「そう言われると。
今は例の空洞の中で集めて来た
資料を整理しているところです。
編集長もご存知のように
膨大な量ですし。
それで原稿はあと一週間ですか」
何か考える風。
隆二の表情を。
「もちろん例のレーザー砲関係は。
ウチの社長にもそのスジから
協力要請が来ています」編集長。
「そうかね」
「先生。
内容は何でも結構です。
第五周期に関する事でしたら。
書ける範囲で。
もちろん、多数の人命にかかわる事ですから。
ガドラが生きていれば。
そのあたりも充分に心得ているつもりです」
「編集長もあの空洞へ一緒に。
まあ-----。
いいでしょう。
星村君にも季崎君にも
良く働いてもらったし。
一週間ですね。
何とかしましょう」
「それはありがとうございます」
多末は頭をペコリ。
「それと、来月号も。
いえ、第五周期に関する事は
ウチの独占という事でお願い-----。
原稿料はもちろん充分に」
「いや。それは。
今は何とも」
「まさか他社が」
「それは-----まだないですが」
「それなら」
「ガドラが生きている以上
書けるかどうか」
「もちろん、そのことはじゅうじゅう。
そうですね。
今からそんな事を言っても。
それよりも-----」
多末は戦法を変えたようだ。
ここはあまり深追いして、
気分を害しては元も子も。
「ウチの星村と季崎。
先生の教え子でしたね。
この二人。
どうぞ、ご自由にお使い下さい」
「お目付け役かね。
しかし、それは助かるよ。
二人は優秀だから」
「いえ、大木先生のお役に立てれば」
「ではお言葉に甘えて。
早速だが」
「はい」
「私も何か、お役にたつ事は」
多末自身。
社長直々に大木に張り付くように
言われている。
しかし-----そうでなくても。
大木に張り付いていればまた-----。
「いや。いくらなんでも」
「いえ、お気遣いなく。
コピー取りでも何でも」




