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 ヘリから報告が。

 それらしいものを発見したらしい。

 車両に乗りそちらへ。

 輸送ヘリは持ち込もうとしてはいるが

まだ到着していない。

 現在支援を要請中だ。

 何度目かの空気ボンベの交換も済ませた。

 空気ボンベとのコック部分が特殊で

交換時にも、外の有毒ガスや放射性物質が

侵入しないようになっている。

 第五周期の植物で満たされた草原を行くのは

装輪車のタイヤでは。 

 彼らは装甲車に乗り

けもの道を縫うように進んだ。

 隆二たちの着ている防護服も

プロテクターがなければ

その刃物のような葉によって

服どころか身体までも

ズタズタになっていただろう。

 しかしこのプロテクターにしろ

草や葉を踏み越えるたびに傷が。

 堆沢がこのように多数のプロテクターを

用意していたはずだ。

 これも消耗品らしい。

 クツもそうだ。

 壊れて使い物にならなくなった

プロテクターの残骸も

先ほどの研究所から多数発見されている。

 装甲戦闘車から降りる。

 「あれのようだ」陸峰。

 肉眼でもはっきりと見える。

 空洞の側壁に穴を掘って?

そこに仕掛けてあったらしい。

 数十キロのかなたが見通せる高所にある。

 脇の小道を通り、穴の入口へ。

 砲が。小さな砲台のようなモノが置かれている。

 護衛の体調が司令部へ報告を送っている。

 「溶けている」空雲。

 「ガドラかゾドスの

生物レーザーにやられたようです」海川。

 「そうだね」大木。

 「怪獣たちを射殺しようとして

逆に破壊されたか」陸峰も力なく。

 周囲の岩も生物レーザーを浴び

溶け固まった跡が生々しく残っている。

 この空洞の側壁の高所から一望できる

場所の何処かから

ここを目がけて滅多やたらに

生物レーザーを撃ちまくったようだ。 

 その跡が無数に帯状に。

 小さな丘や窪地、木の林立する林がそこかしこに。

 その向こうはここから影になっている。

 第五周期の木が折れている。

 方々で。

 これではとてもどこから撃たれたのか

特定できない。

 砲を見る。

 “そうか”

 この砲が最後にどこに

狙いをつけていたのか。

 その方向をスマフォで。

 気づくと陸峰たちも先ほどから

そちらを見ている。

 その先には。

 「ガドラか」

 むれが。

 十数頭はいる。

 種類はここからではよくわからない。

 「ティラノサウルスかもしれません。

 十数頭の群となりますと」

 「ガドラも一匹じゃあない可能性も」

 隆二の脳裏に戦慄が走った。

 「予想はしていたがね」大木。

 「ガドラでしょうか。

 それともティラノサウルス。

 あの死骸」陸峰。

 気を取り直し。

 「ガドラやティラノサウルス、ゾドスのような

肉食恐竜が他にも。

 充分考えられます。

 白亜紀、ジュラ紀あたりの恐竜を全て

復活させたという可能性もあります」隆二。

 「やはり。ここにある死骸全てを

調査する必要が。

 そうすれば種類だけでも」陸峰。

 「それに生物レーザーや放電能力を

どの種類の恐竜に与えたか。

 堆沢さんの性格からすると」隆二は大木を。

 「肉食竜のすべて-----

そう考えた方がいい。

 それと草食竜の一部。

 イグノス、ステゴン、トリケラスのような」

 「その何匹がここから逃げ出したか。

 今までのところは

この空洞内に生きた怪獣を見たという

連絡はないですから」陸峰。

 「逃げた奴がいるとでも」大木。

 「堆沢さんが全て処理してくれたとは。

 逃げ出す前に。

 そう考えられませんか」隆二。

 「ガドラの件がありますし。

 処分以前に空洞の外にいたモノも

いるかもしれません。

 それに-----。

 我々としても最悪の事態を

考えておきませんと」海川。

 陸峰の要請で先ほどの恐竜の確認に向かった

ヘリからの連絡では

ガドラとは別の種類との事。

 肉食恐竜のティラノサウルスのようだ。

 明らかにその内の数頭は

生物レーザーを発射する能力を持っているらしい。

 だとすると例の沼で見た奴らか。

 他の砲へ向かった隊からも

報告が入り出した。

 破壊の度合いに違いはあれ

ほとんどが見る影もないとの事。

 例のサソリの死骸も大量に発見されている。

 こちらはどうも毒か何かを

使ったらしい。

 毒ならその成分を分析できればいいが。

 隆二は砲をしげしげとながめた。

 洞穴はもともとあったモノを

利用しているらしい。

 土台はコンクリート製。

 その上にワゴン車ほどの大きさの砲台と砲が。

 前面にはカモフラージュを施した盾がある。

 厚い。

 しかしほとんどが溶けている。

 第五周期の怪物の生物レーザーが命中しても

この程度とは。

 いったい何でできているのか。

 もちろん鉄ではないようだ。

 砲は。

 砲も何やら覆われている。

 「ん」隆二は砲を。

 「先生。これ」

 「何だね」

 砲に着いた土ぼこりを手で払う。

 「メーカー名が」

 メーカーの名の入ったプレートが

溶け残っている。

 市販品の流用か。

 「何」陸峰が。

 「ここにもある」

 違うメーカー名。

 名前はあまり聞いたことがない。

 どこかの中小のメーカーか。

 宿付が自衛隊の無線を借りて連絡。

 「メーカーを当たれば」

 「いろいろなメーカーにバラバラに発注して

組み立てたのか」

 「同じものができますか。

 全部を当たれば」

 「電子顕微鏡の事もあるからねえ」大木。

 「やはり肝心な部分は堆沢自身で」

 「個人では造れない部分は。

 そこだけをメーカーに頼んで造らせたのかも」

 確かにこの砲の外装も

旋回部分もとても個人では造りようがない。

 「とにかく当たってみるしか」陸峰。

 「もしかして-----

我々がコピーできるかもしれませんし。

 やってみる価値はあります」空雲。

 内部を覗き込む。 

 「持って帰りましょう。

 他のもできるだけ多く。

 無事な部分を集めて

組み立ててもいいですし」陸峰。

 放射線の許容量もあり

大木も隆二たちもその場を離れ

もとの空洞の入口へ。

 側溝内の堆沢の研究室へと戻った。

 放射能を洗い落とし

防護服を別のモノに変えた。

 プロテクターは別の隊員に渡す。

 現在自衛隊の方でも

こちらはファインセラミック製の

プロテクターを開発中らしいが

一月はかかるらしい。

 すぐには間に合わない。  

 関節部分は堆沢製のように

第五周期の繊維製ではなく-----

繊維が開発できないためだが-----

セラミック部品を組み合わせて

自在に動くようにするらしい。

 この方法だと重くなるが仕方ない。

 そのセラミックや炭素繊維の強度を

試験するために

板状のモノを装甲車の車体に張り付けて

今空洞内でテストしている。

 自衛隊員たちも警官も次々に交代が。

 空洞内へ入っていく。

 空来と月川が。

 大木の助手二人が大木の弟子たち、

研究生数人とともに来て

ファイルを調べていた。

 「先生。

 これはどういう事でしょうか」

 大木の顔を見るなり

今まで調べていたファイルを投げ出し

別のシオリをはさんだファイルを持ち出してきた。

 「ここです」

 隆二も覗き込む。

 「金星?」大木。

 「どういう事でしょう」

 「わからない。

 んー。

 こんな事が可能とはとても思えないしねえ。

 金星に-----宇宙船で-----第五周期生物の楽園をか。

 細菌、植物の種を送り込み。

 その後、生育を見定めてから草食竜。

 その上で肉食竜か。

 とても-----こう言っちゃ何だが-----とは」

 言いにくそうに。

 金星には第五周期の水に当たるモノも

空気もない。

 その中では。

 「いくら堆沢さんでも」隆二も。

 第五周期は成功させたとはいえ。

 それにこれを運ぶ宇宙船となると不可能としか。

 「金星ならば第五周期生物には

理想的かもしれませんが。

 金属生物も別の惑星にか」

 「金星旅行でもできるようになってからの話かな。

 我々が」

 「それと先生。

 これを見てください」

 別のファイルを。

 「重力推進の宇宙船か。

 これで怪獣を金星へか」隆二。

 大木もファイルを。

 「それで先生。

 結果は」

 「いや-----このファイルにはこれだけしか。

 堆沢の発想のようなモノを

まとめたもののようだ。

 ものにならなかったモノも多いようだ。

 しかし-----」

 「○〇サイエンティスト」思わず。

 写したSDカードの数が

時間の経過を告げていた。

 空来が一通り移し終えたファイルの

SDカードとDVDを持って

研究室へ帰る事になった。

 他にはいくら捜しても

ガドラを倒すヒントなどなかった。

 大木たちはあきらめて空洞内へ。

 もう一人の助手の月川は

警官たちと研究所内を。

 見落としがないかを調べるため。

 「先生も星村さんも大丈夫ですか。

 放射能の許容量をもう超えてるんじゃあ」

 月川が心配して。

 行きたいらしいが他にやる事が。

 それにいつでも中へは入れるし。

 「そんな事は言ってられんよ」

 やさしく。

 陸峰たちも行くらしい。

 一緒に。

 プロテクターを受け取る。

 空洞内に小さな研究施設のようなモノを

発見したとの

連絡が入ったのはその時だった。

 例の光線砲の。

 そこから大分離れたところにあった

別の砲だが。

 それを調査中に見つけたらしい。

 砲が研究施設の入り口近くに

据え付けられていたと言った方が適当か。

 砲が破壊されたついでに

研究施設の入り口までもが壊されたらしい。

 輸送ヘリで乗り込む。

 今度は第一師団の情報幕僚の崎風さきかぜ

同行する。

 すでに簡単な空洞内の地図のようなモノが

作られていた。

 「広いなあ」隆二。

 スマフォの画面を見ながら。

 「これでもまだ完全では。

 ここから先は今調査中ですよ」

 この地図でも半分程度しか

カバーできていないとの事。

 この空洞の大きさは

想像を超えている。

 地図に示された地点へ向け

輸送ヘリはスタートした。

 空洞内は地形の起伏が激しく

地上からでは移動に時間がかかる。

 しかしヘリでは-----降りられる場所が

限られてくる。

 もし第五周期の木の枝に。

 それどころか長く伸びた草にさえ

ローターが引っかかれば

折れて飛んでしまう。

 今回の場合は近くに良好な

着地点があったようだ。

 それにもう-----怪獣の心配もない-----ようだ。

 「そこに堆沢がいる可能性は」宿付。

 「あまり期待は」

 陸峰も陸幕の部下の報告から。

 すでに彼の部下は

中へ入って捜索中。

 「そうですか。

 しかし他にもそのようなモノがあるかも

知れませんねえ」宿付が意味ありげに。

 「もちろん。全て調査します。

 砲の残骸は見つけ次第。

 ご心配なく。

 もし他にもそのような研究施設があれば

そちらにも連絡します」

 「それはありがとうございます」

 宿付も満足そう。

 何せここは核汚染されている。

 警察の独力では今のところ。

 核用の防護服を

現在民間の協力でそろえているらしいが

それでも-----中へは。

 プロテクターも必要だ。

 まだ怪獣の心配も残っている。

 「それで-----壊されていない砲は

見つかりましたか」隆二。

 陸峰もそれを最重要視している。

 「いえ。それがまだ」

 「では怪獣どもと撃ちあって全て」

 「それなら生きた怪獣がいても

いいでしょう」

 「と言いますと」大木。

 「いえ、先生。

 怪獣を全滅させるつもりで砲を使う。

 怪獣と砲が撃ちあう。

 とすると、どちらかが全滅し

どちらかが生き残る」

 「怪獣の生き残りは」

 「それはまだ発見されてはおりません」

 「砲の方は」

 「生き残った完全なモノはまだ。

 それが完全な形で。

 それを期待しているのですが

まだ発見の報告は」

 「両方とも相撃ちで

全滅という事は」隆二。

 「それは-----。

 その可能性は極めて低いですねえ。

 映画などではよくありますが。

 実際には。

 特にこのような状況では

まず考えられません」

 「それでは。

 後は堆沢さんが怪獣たちを始末した後。

 砲を破壊していない事を

祈るだけですね」隆二。

 陸峰もギョッとした様子。

 「その可能性は」今、気付いたらしい。

 司令部へ連絡を取り

堆沢による人為的な破壊の痕跡がないかも

調べるように念を押している。

 「爆発物は仕掛けられていましたか。

 あの砲」大木。

 「いえ、それは-----。

 見た限りではなかったようでしたが」

 それも師団司令部へ連絡。

 調べるように要請した。 

 「爆発したような跡は

なかったようですが」

 「ええ、それは。

 しかしあの生物レーザーを受けたあとでは

それも見分けがつきませんし。

 そのつもりで見なければ

わからない事もありますし。

 念のため。

 それに小さな爆発物でも

重要な部分は破壊できますし。

 事実、電子顕微鏡も他の者も全て」陸峰。

 「しかし、まあ。

 あれは最初から仕掛けてあったものでは

ないですし-----

後から壊すつもりでセットしたものですから」

 「砲にも自爆装置のようなモノを

着けているわけはないですか」隆二も納得。

 「ええ、砲の性格上。

 しかし一応。

 念のためです」

 何せ相手は堆沢先生。

 何をどう考えるか。

 「待ってくださいよ」宿付。

 「それじゃあ。

 もし砲が壊されていれば

堆沢が中にいる可能性もありますねえ」

 「堆沢が空洞内を回って

砲を一門づつ破壊しているとでも」

 「ええ。この短時間にとなると

壊すのにもその暇が」

 ガドラが地上に現れてから、

そう時間が

経ってはいない。

 「一人で破壊するとなると。

 それも怪獣を一匹残らず始末した後」

 「しかしそれなら-----。

 いくら堆沢でも。

 そこまでしますか。

 砲を破壊するために」

 「それは」陸峰の顔を。

 「結局。報告待ちですか」

 「そうなります」





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