30
その頃ガドラはゾドスと。
野球場をはさんで向かい合った。
ゾドスはうるさいガドラを倒してでも
早くあの空洞へ戻りたいらしい。
それとも腹をすかしているのか
ガドラを襲う事に決めたのか。
ガドラと向き合うなり全身を。
生物レーザー。
ガドラの全身を襲う。
ガドラが一瞬たじろいだ。
口からレーザー。
ゾドスを。
二匹は距離を詰める。
野球場を踏み潰しながら。
「これでしばらく野球は」城岡。
“冗談が出るくらいだから。
今度は”隆二。
輸送ヘリが十数機。
近くのビルの屋上や広場に着地。
無反動砲。対戦車誘導弾を手に
隊員が散っていく。
戦車。道路が方々で寸断されているため、
ガレキの山をかわし
溶岩を避け。
ジープ搭載の106ミリ無反動砲が
牽引式の120ミリ迫撃砲が
野球場目指して。
ゾドスはガドラのすきを窺っている。
頭部に火花が。
巨大な角から、周囲の建物に。
そしてガドラへ向けて放電が。
落雷の比ではない。
避雷針があろうがなかろうが
直撃を受けた建物は爆発し崩れ。
その金属部分は-----鉄筋、鉄骨は-----
高熱を発し溶けだし蒸気と化した。
一瞬に。
コンクリートが弾ける。
ビル全体が爆発するかのように崩れ落ちる。
ガドラの全身にも火花が。
ガドラは少しいやな表情。
咆哮した。
距離を詰める。
「いったいどのくらいの電圧があれば
あんな風にビルを破壊できるんだ」
「ビルを造っている鉄筋や鉄骨を
一瞬にして蒸発させる電力とは-----。
どのくらいになるのか」
「ゾドスの放電能力は我々の想像を」
「戦車もですから」
パチパチと火花を散らす角を振りかざしながら
ゾドスはガドラへ近づく。
ガドラは右へ。
回り込もうとする。
ゾドスもそれに合わせて。
ガドラが-----生物レーザーを。
頭と言わず。前足へ、胴体へ。
肉が弾ける。
ゾドスがレーザーを。
ガドラの顔面を狙っている。
ガドラがたじろいだところを
突っかけた。
間一髪。
ガドラはゾドスの角に、あごに手をかけ
抱え込む。
火花が散った。
ゾドスをひねり倒そうとしたガドラが
思わず手を離した。
感電したのだ。
ゾドスはそのすきに一歩退く。
そしてガドラの腹へ角を。
突き立てざま首を横に振った。
ガドラが大きく飛んだ。
頭から落下。
しかしすぐに起き上がる。
ゾドスがさらに突き掛かるところを
生物レーザーで。
ゾドスの頭部が裂ける。
構わず突っ込むゾドスをかわしざま
巨大な尻尾でゾドスの足を払った。
ゾドスがつんのめるような形で
そのまま前方へ。
倒れ込んだ。
ガドラは倒れたゾドスへ生物レーザー。
全身をなめるように。
ゾドスもすぐさまガドラへ。
レーザーを。
ゾドスの牙がガドラの肩口を捕えた。
ゾドスは首を振って
ガドラの肉をもぎ取ろうとする。
ガドラはその強力な腕で
ゾドスを振りほどこうとする。
火花が散った。
ゾドスが放電したためだ。
ゾドスはなおも頭を大きく振った。
ガドラが吹き飛ぶ。
ガドラの肩口の肉が
わずかにもげている。
ゾドスはその肉を満足げに飲み込んだ。
ガドラは怒り狂ったようにゾドスへ。
ガドラは腹にもゾドスの角によって
着けられた傷跡が。
そう深くはないらしい。
「大臣。あれを」
上空に攻撃機の編隊が。
やっと到着したのだ。
「攻撃を始めます」
「陸自は」
「もう少しかかります」南岡陸幕長。
「急がせろ。
しかし-----ガドラを攻撃して
本当にいいのだろうか」つぶやくように。
見ている限りでは
ゾドスの方が明らかに押している。
「どうします」陸山。
「どう思う」城岡。
「やはりガドラを」
「もちろん攻撃しろと」
「はい」
「そうか。
わかった」
ガドラが、ゾドスが執拗にレーザーを。
ガドラの肉が弾け
ゾドスの身体の一部が裂ける。
「ガドラもゾドスも
相当腹をすかしてるなあ」大木。
「どうして」城岡。
「普通、肉食獣はいくらなんでも
あそこまではやり合わないでしょう。
いくら空洞内であろうと」
「とうに諦めてもいいと」
「とすると窒息死も近い-----ですか」
「そうかもしれません」
空自が攻撃を。
レーザー誘導爆弾を。
「目を狙うとのことです」幕僚の空雲。
海上の護衛艦からも弾道ミサイルが。
攻撃機も腹に抱えた弾道ミサイルを
遠距離から。
陸自も撃ち出した。
多目的誘導弾がガドラへ。
対舟艇対戦車用の有線誘導弾もガドラへ。
炸裂。
目を直撃。
ゾドスに集中しているためか
攻撃機にもミサイルにも目もくれない。
成層圏から落下してくる
500ポンド爆弾も全く効果がない。
「何ともないのか」
ガドラがレーザーを。
ゾドスの頭部が、胴体が。
ゾドスもレーザーを。
「ゾドスのレーザーが」隆二。
「弱くなっている」
「先生。どういう事ですか」サキ。
「ゾドスは胴体に生物レーザー用の
発光細胞を持っている。
それがあれだけ傷つけば」
「そうか。それにあの頭の部分も」隆二。
「ではレーザーだけでなく
放電の方も」城岡。
「これでは-----」
「ゾドスの方が押していると思っていたら」
「-----」
陸自は戦車も加わった。
ガドラを。
しかしガドラの生物レーザーは
前にもましてパワーアップしているようだ。
ゾドスはもうその角と牙で攻撃するしか。
ゾドスがガドラへ。
だがその前足も傷ついている。
ガドラは難なく角を両手で。
ゾドスが首を左右に振る。
放電を。
何とか振り放そうとする。
だが-----放電能力が。
ガドラは両手で角を握ったまま
ゾドスの身体へ生物レーザー。
角を折ろうと力を入れる。
角が音を立ててもぎ取られた。
ガドラがゾドスの首に噛みつく。
ゾドスは放電して逃れようとするが-----
ガドラは構わず。
「ダメだ」
自衛隊も攻撃の手を休めてはいないが。
ゾドスは最後の力を振り絞って
ガドラを振り放した。
しかし目はうつろ。
生物レーザーを-----吐けない。
放電は。
放電細胞ももうほとんど残っていない。
ガドラはゾドスの足を。レーザーで。
左の前足を。
ゾドスが、左の前足が膝をついた。
さらにレーザー。
残った三本の足で突進しようとする。
その間も自衛隊の攻撃。
ゾドスはもうガドラの動きには
ついて行けない。
アッサリ背後を取られレーザーを浴びる。
首へ命中。
血があふれ出る。
ガドラは噛みついた。
その強力な両腕でゾドスを引き倒す。
ガドラがゾドスの首の急所へ。
生物レーザーを。
さらに噛みつく。
「ゾドスが」
「首に噛みついて窒息させるつもりだ」陸峰。
「いや違う。
奴らにそういう窒息死はない」大木。
「そうでした。
奴ら、食べ物から空気を」
ガドラがゾドスの首の肉を
その強大な顎で、牙ではぎ取った。
血がほとばしる。
「出血多量でか」
「それしか」
地面はゾドスの血で。
ガドラが生物レーザー。
ゾドスの眼からは生気が失せていく。
「どうすればいいんだ」陸山。
ガドラはゾドスの腹を-----最多。
口へ頬張る。
その内臓を。
ゾドスはもう動けない。
攻撃機がむなしく攻撃を。
ガドラの顔面で炸裂。
ガドラはゾドスの肉片をゴクリと飲み込むや
上空をにらんだ。
生物レーザーを。
周囲や道路、ビルの屋上に陣取る
戦車や自衛隊員に向け-----放った。
攻撃機が。
周囲の道路が、ビルが蒸発。
溶け崩れる。
城岡も陸山も-----なすすべもなく
ただ見守るだけだった。




