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前日。防衛省。
「大臣。護衛艦のソナーが。
奴を発見しました」
「場所は」
「八丈島の東。約70カイリ」
海中を移動中との事。
相当な速さだ。
中央のパネルにはその影が。
護衛艦から通信衛星を経て
リアルタイムで送られてくる
データーを表示している。
「もう一つあるな」
城岡防衛大臣は
例の怪獣が海へ去った後、
すぐここへ詰めている。
首相直々の指示で。
「これも数日前から対潜哨戒機が
マークしていたモノと同一です」
「もう一つの影も-----やはり」大臣。
「はい。それが-----
護衛艦からの報告によりますと-----
もう一匹いるらしいとの事です」
「音紋が二つとも似ていると
報告してきました」
「確かもう一度確認すると言っていたが。
潜水艦じゃあないのかね」
「いえ、やはり違います。
全く違う音を出しています」
「そうか。間違いないか。
怪物は二匹か」
城岡は制服幹部を振り返り。
「議長。どうするね」
陸海空の幕僚長もいる。
「それが-----我々は-----外国の侵略を
想定して作戦を立ててきたものですから。
それが怪獣相手となりますと」
“この前、子供と見た怪獣映画以来だな。
仕事柄、本物の自衛隊だったらこんな事しないよ。
私だったらこうするなどと
頭の中でシュミレーションしたんだが。
ここに上陸したら
あそことあそこの部隊を。
防御陣地はこの辺りに築城して。
云々。
こうすれば勝てるのに。
などと思わず”
「それを何とかするのが君たちの-----。
もし奴らが上陸すれば、
あのサソリ騒ぎの比ではスマン。
何としても阻止せねばならん」
「もちろん心得ております。
お任せ下さい」
「そうか」
「ご覧ください」
パネルが切り替わった。
「大臣もご存知のように今回の場合。
相手が怪獣?という事もあり
使用できる兵器も限られてきます。
例のサソリに対する兵器実験を
検討しましたところ
陸自、海自、空自とも
小銃、機銃、対空ミサイル。
場合によっては艦砲も効果ないモノと
考えられます」陸山議長。
「例のサソリよりも頑丈だと」
「はい。少なくとも同程度。
もしくはそれ以上かと」
“怪獣映画の中ではやられっぱなしだが、
本物の自衛隊の実力を見せてやる。
怪獣など一撃で”
「それで」
「海幕長」陸山。
「はい、ではまず海自から。
目標は海から来ると思われますので。
君」中海海幕長が幕僚へ。
「はい。わが海自といたしましては
目標に対し次のような作戦を考えております。
第一案としましては。
これは目標-----怪獣ですが-----の上陸を
断固海上で阻止。
上陸の意図をくじくもので。
対艦ミサイル搭載護衛艦を
相模湾および房総半島沖に展開。
目標の接近に際しては
まず海中からは潜水艦、
海上からは別の護衛艦部隊を持って
短魚雷、アスロック等で攻撃いたします。
「それで奴も一巻の終わりかな」城岡。
「いえ、例のサソリの件もありますので-----
念には念を」
「なるほど。サソリか。
それは-----あるか」
あのサソリ。
爆薬を使おうが、火炎放射器で焼こうが
ビクともしなかった。
「それによって海中より目標を浮上させ、
先に展開させたミサイル搭載護衛艦の
対艦ミサイル。
さらには空自の-----協力をえて」
空自の方をチラリと。
空自がうなずく。
「空からは空自の空対艦ミサイル、
レーザー誘導爆弾によって
とどめを刺すというモノですが-----」海幕の幕僚の海川。
「が-----なんだね」
「一度浮上させた目標が
またすぐ海中に潜ってしまえば
同時に集中攻撃が不可能ですし。
相当接近しなければ
ミサイルが命中する以前に
再び海中へ。
海中からの攻撃も継続させますが」
「効果が薄いか」
「はい。下手の攻撃しては我々の被害も。
奴の眼から発するレーザーのような光の威力も
まだ未知数です。
先日上陸した怪獣。
そのレーザーが命中したビルは」
その光景を思い浮かべながら。
「コンクリートも鉄筋も
一瞬にして溶けていましたので。
数千度以上の熱はあるかと
専門家の先生も」
「そうか。それで」
「はい。第二案としましては」
「何だね」
「まず目標は二つあります。
その内の一つを
潜水艦隊の一部と護衛艦部隊の一部を持って攻撃。
進行を阻止します」
「うん」
「そのうえでもう一つを。
別の一隊をもちましてゆうどうします。
房総半島側と相模灘の二方面より
水中攻撃をもって、挟み込むように。
そのうえで両翼を狭め-----。
東京湾に」
「ちょっと待て。
東京湾に誘い込むというのかね。
それは困る」
「は!しかし-----。
東京湾は浅く、海底にはヘドロが。
ここに目標を誘い込めれば
奴は底なし沼に入ったようなモノです。
海中へ逃げることもできません。
そこへ誘い込んで動けなくなったところを
陸上からは特科部隊(砲兵部隊)、地対艦ミサイル。
海上からは艦対艦ミサイル。
空中からはレーザー誘導爆弾、空対艦ミサイルで
四方から攻撃すれば
確実の葬れます」
「ンーーー。三自衛隊協同か。
しかし-----東京湾はマズイ。
東京湾は」城岡も考え込んだ。
「はい。それでは第一案で防衛体制を」
「そうしてくれ。
しかし-----もし手負いにでもして-----
上陸でもされれば」大臣。
「陸上の配備はどうなっているね」
「はい。敵の侵攻に対するものとは違い。
目標の上陸地点の特定が
さらに困難でありますので
機動的の運用したいと」陸幕長。
「どういう事かね。
つまり一度上陸させて
部隊を展開させた上で
それから攻撃するという事かね」
「そういう事になります」陸幕長の南岡。
「仕方がないか。
水際では無理か」
「部隊をここと、ここの二か所に配備し、
目標の上陸に合わせ展開いたします」
陸幕の幕僚の陸峰が南岡に促されて。
東京の西、東京湾に近い横浜付近と
もう一か所は房総半島の東京湾岸を示した。
「これならばもし目標が
九十九里浜、相模原に上陸しても
対応できます」陸幕の陸峰。
「元々自衛隊の部隊はこの二方向からの
敵の上陸に対処できるように
配置されていますが」
“しかし相手は怪獣。
そううまくいくか”
「東京は守られるわけか」納得したように。
「それのうまく東京湾に
向こうから入ってくれば」大臣。
「いや。東京湾へは入れたくない。
都心部への被害は何としても」思い直した。
「奴のレーザーは。
東京湾へ入れるな」
「はい。上陸を阻止すべく
全力を尽くします」
“まさかこちらが何もしないのに
底なし沼へ自分からは。
東京湾へは入ってこないだろう。
惜しい気もしたが仕方ない”
「よかろう」
これで首相に報告が。
防衛出動には首相の-----。
「しかしあの怪獣。
このまま何処かへ行ってほしいモノだな」




