表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/46

12

 「いやー。

 先生がここへ。光栄です」

 「いえ、私も一度。こちらへはお伺いしたいと

かねがね」

 ここは政府、官界、民間企業。

 そして大学などが多数参加したDNA研究所。

 研究所とはいっても、

それぞれ独立した実験研究施設が多数並ぶ

わが国最大の研究地。

 そこに大木たちはいた。

 宿付が帰った後、

すぐさまこちらへ。

 思い当るところはとりあえずここ。

 第五周期生物を造るとなると

ここ以外は、あと国内では数か所。

 それを隆二はしらみつぶしに

当たってみるつもりだった。

 そう言う隆二に

大木も興味を抱いたのか。

 「私も行く」と。

 研究員は快く中へ。

 もちろん程度はあるが。

 やはり大木の存在は大きかった。

 「それで今日は何を」

 研究所内を一通り見て回りながら

所員が。

 「これがDNA合成装置ですか」隆二。

 「そうです。

 先生のところにも」

 「ええ、もちろん。

 それで今は何を」大木。

 研究員は笑みを。

 「それはちょっと」

 「そうですか」

 言うとやはり差し障りが。

 “どこでも同じだ”

 すでに何か所かの研究棟は

まわり終えていた。

 しかしこれという疑わしいところはなかった。

 そしてここでも。

 「先生。これを」

 「これは」

 ATGCの文字が延々と。

 「人の遺伝子のこの部分の機能を

解明しようとしているのですが」

 人の遺伝子情報がすべてわかった以上

次は。

 進み具合も相当なもの。

 大木は切り出した。

 「それで-----失礼だが、他には。

 例えばサソリとか」

 「あれですか。

 やっぱり」研究員も気にしているらしい。

 「その件で昨日から

うちにも警察やらなにやら-----」

 「ここにまで」隆二。

 “考えることはいずこも同じか”

 「はい。それでウチの研究所でも所長以下。

 警察の方がこられましていろいろと。

 大変ですよ。

 私たちも一時期。

 この研究所が建設される時に

遺伝子が外へ漏れ出すとかで

問題になったモノですから

気になって調べているんですが。

 しかし私のところでは。

 少なくともこの研究所ではないですよ」

 そこで小声になり。

 「しかし、内緒ですよ。

 その手の研究もこの中の

何処かでは行われていると。

 もっぱらのウワサで。

 あのサソリ。

 あらはそこで造られたものだと」

 隆二は色めきたった。

 「どこですか」

 「いえ、それは」

 「そうですか。

 それで-----。

 “第五周期”。

 こういう言葉を聞いたことはないかね」大木。

 「第五-----周期?

 なんですか、それ」

 「いや、知らなければそれでいい」

 「何かあのサソリと。

 関係でも」探るように研究員が。

 「もしその-----。

 第五周期という言葉をどこかで聞けば

連絡を」

 方々で聞いたのだが

もう一つ反応がない。

 知っていて隠しているという風でもない。

 堆沢の研究は20年も前に

発表されているのだが。

 今ではもう知る者はいないのだろうか。

 とすると怪しいのは。

 「先生」また、あの声が。

 「刑事さん」研究員。

 「今の話。内緒ですよ。

 単なるウワサですから」小声で隆二たちに。

 「エエ!

 第五周期の事もまだ警察には」

 「わかっています」

 「よくお会いしますねえ」宿付だ。

 「本当に」

 「ええ、もう一昨日からDNAですか。

 その方面の研究をしているところは

全て回っていますので」

 「やっぱり」

 「とすると私も疑われている」大木。

 「まさか」宿付は笑った。

 “これはおかしなことは

言わない方がいいな”

 「先生はどうしてこちらへ」当庭。

 「いえ-----もちろんサソリの件で。 

 遺伝子研究の結果生まれたとすれば-----

ここしか」

 「それでですか。

 それで何か」宿付。

 「いえ、何も」大木。

 「やっぱり。

 私どもも。

 どこを回っても現在の段階では

それはまだ不可能だと」

 「ええ。中には先生だったらもしかして。

 そういう」当庭。

 「コラ」宿付。

 大木はぶぜんとした表情。

 隆二たちも。

 「失礼じゃないか」

 「いえ、とんでもない。

 まさか先生が。

 我々はもちろん先生を信じてますから。

 そういう人もいるという事で」

 宿付も慌てて否定を。

 当庭も詫びた。

 「うちの鑑識でも何がなんだか。

 頭をひねってましたよ。

 「どういう風にですか」隆二。

 「いえ-----。

 こんな事を言うと

笑われるかもしれませんが-----

細胞が大きいと」

 「細胞が」

 “おかしなことは言えないな”

 「はい。もちろん細胞にも

いろいろな大きさが。

 それにしても大きいと。

 筋肉、皮膚、血液を含めて

マトモなサソリの大きさと

統計を取って比べたらしいのですが。

大きかったと」

 「そうかね」大木。

 その時、突然。

 巨大な爆発が。

 その衝撃に隆二たちのいる

ビル全体が震えた。

 「地震だ」

 しかし爆発は-----次々と。

 警官が慌てて駆けつけてきた。

 「大変です」

 息が続かない。

 「落ち着け」

 「怪-----獣です」

 「カ・イ・ジュ・ウ・。

 何だそれ」

 「あ-----現れました。

 すぐそこです」

 「またか。まだいたのか」隆二。

 警官は元来た道を。

 階段を駆け下りた。

 「それで一匹か」

 「はい」

 「本庁へは」

 「はい。連絡しました。

 ですが-----サソリではありません」

 「何」

 「とにかく」

 ビルの外へ。

 隆二も大木もサキも。

 愕然とした。

 「先生。あれは」

 「怪物Ⅴ(ブイ)。

 いや。Ⅴ(フィフス)というべきかな」

 宿付も当庭も真っ青。

 何せ周囲のビルなど小さく見える。

 それほど巨大な生物が。

 何かに戸惑ったように

ゆっくりと歩き始めた。

 その一歩一歩。

 そのたびに腹に響く揺れが。

 怪物が巨大な鳴き声を。

 「いったい。どこから」宿付。

 「まさか。口からレーザー光線なんか-----。

 ハッハッハッ」顔が引きつっている。

 ひときわ高いビルを目がけ。

 身体が-----。

 口から光が。

 ビルを。

 ビルが吹き飛んだ。

 隆二はスマフォを手に

その様子を取り続けた。

 「星村君。ここは危険だ。

 逃げよう」

 既にこの研究施設の者たちも

異変に気が付いたのかぱらぱらとビルから-----

こちらの方へ逃げて来る。

 宿付たちはこの研究所の前に

止めてあった自動車クルマに。

 無線にかじりついている。

 隆二たちも自動車へ。

 ハンドルは隆二が握った。

 怪獣はゆっくりとした足取りで

ビルを破壊し続けた。

 口からレーザーを吐きつつ。

 隆二は近くの丘に自動車を進めた。

 ここならば大丈夫だ。

 大木はスマフォを。

 サキもカメラのシャッターを。

 「どうなるんだ。これから」

 空には自衛隊の偵察ヘリが。

 怪獣は戸惑うように。

 「海へ向かっている」大木。

 彼方に海が広がっている。

 ここは海岸に近い。

 怪獣はレーザーを吐きつつ

周囲のモノを破壊しながら

海へと消えて行った。

 「先生。これからどうします」

 「ンー。

 研究室へも自宅へも帰れないなあ」

 「ええ。疑われているようですし」

 ハンドルを握る隆二もどうすればいいのか。

 「逮捕されかねませんわ」サキ。

 「まさか。

 私は関係ないんだし」

 「いっそ本当のことを言いますか」隆二。

 「堆沢の事をかね」

 二人には口止めをしてあった。

 はっきりとするまではという事で。

 「しかしこうなっては」

 「そうですわ。先生。

 あの怪獣の写真を見ていますし。

 あの刑事さんたち。

 こうなっては本当に逮捕されかねません」

 “仕方ないか”

 大木は考え込んだ。

 「一度、堆沢に会ってみたい」

 隆二は再び自動車を堆沢邸へと向けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ