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大怪獣 Ⅴ
ガドラ 1
日本近海。
厚い雲に覆われ、
月の光も届かぬ海上。
周囲一面
漆黒の闇が支配している。
その海底を巨大な影が蠢いていた。
ゆっくりと何かを捜すように。
海上自衛隊の対潜哨戒機が上空を。
「目標海面へ到着」
音波探知浮標を投下する。
「何だ。これは」
「どうした。
音紋解析は出たのか」
「見てください。
明らかに生物ですが-----。
クジラでもイルカでもありません。
魚とも違います」
「クジラよりはるかにデカいか」
スクリーン上に映るその影は。
巨大生物。
怪獣。
怪物は一点をジッと見据えた。
その視線の先に何があるのか。
怪物の全身が-----。
その眼から-----。
強大な光の帯が-----海中を。
海が光の帯に沿い
爆発したかのように噴き上がった。
いまいましげに前方をジッと。
怪獣はいずこへともなく姿を消した。