表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お嬢様は負けるもの!!  作者: べべ
第2敗:身の回りのお話
9/26

第1話:お嬢様と侍女

どもどもべべでございます!

今回から主要なキャラがちらほらと出てきます。

ひとまずこの章で三人くらいかな?

おたのしみあれー!

 

 

 双子都市ティルミリィ。



 中心に位置する大広場を囲むように、規則正しい感覚で石造りの建物が並ぶ、美しい町並み。

 交易の為に人々が集まると同時に、ここからクレセント王国全土に最新の技術もお送りしている、まさに最先端の都市である。


 現在、時刻は早朝。

 朝日が登ると同時に人々は順次動き出し、それぞれの生活の為にしのぎを削る。


 我等がベネエッタお嬢様の住まうこの都市は、季節が冬であろうと活気を失う事はない。

 近隣の農村との連携を綿密に相談しつつ、互いに必要な物を物々交換で仕入れているのだ。それにより、市場にはある程度の野菜が並び、森の恵みである肉も揃う。

 これらの品々が人々を潤し、春に向けての活力に繋がるのである。


 農村の住民たちには、防寒に役立つ品を降ろしているため、相互の利益はきちんと得ているという寸法だ。もちろん、村民たちが食えなくなる程に取り立てるような真似はしない。

 立場に差があれど取引はウィンウィンに。現領主であるベネエッタの父は、これを厳にすることで自領の平穏を保っていた。

 悲しいかな、やはり貧民の住まう地区はあるのだが……まぁ、そこに関しては今つつく必要はないだろう。わりと平和だ、とだけ明記しておくこととする。


 そして今回の物語は、ティルミリィの奥。もっとも大きな建物から幕を開ける。

 当然のように、領主の館だ。つまり、ベネエッタの住まう我が家である。

 建物は計3階建て。全体的に白と黒で統一した、シックかつモダンな雰囲気がなんとも風情を感じさせる。


 よくよく周りを見てみれば、石造りの建物もみな似たような雰囲気をもっている。この建築技法は、この領では定番なのかもしれない。

 まぁそれはそれとして、気持ちのよい朝を迎えたこの家の人々は、今日も今日とて明日に向けての希望を紡ぐ活動を始めるのである。


「ふぅ……いい朝日ですわ」


 領主の館の窓を開け、顔を覗かせた朝日を一身に浴びるは、我等がベネエッタお嬢様。

 気品に満ちた寝間着姿はマニア垂涎の逸品。フリルをあしらいつつ子供っぽさを感じさせないデザインとなっている。

 寝起き故か、いつもは強気につり上がった瞳は程よく蕩け、本質である人の良さが全面に押し出されているのがわかるだろう。


「……ふふふ………」


 あぁ、だがしかしバッド否。

 ベネエッタ・ローゼンブルグのこの姿を拝めるのは、この時間のほんの一瞬。

 この日も、すぐにそれは終わりを告げる。




「オォーーー―ッホッホッホ!! 朝日よご苦労様ですわ!今日も今日とてワタクシの美しい姿を照らす栄誉を与えましてよぉ!! オォーーー―ッホッホッホ!!」




 どこからか取り出した扇子をパァン!と開き、いつもどおりの呵々大笑。

 街に響くこの声でもって、「あぁ、今日も一日が始まったなぁ」と感じ入る人が何人もいることは想像に難くない。

 ほんま、全力でもったいない人である。



「……お嬢様、日課はお済みになりましたか?」



 と、そんなベネエッタの背後にスッと佇むのは、一人のメイド服を着込んだ少女。

 褐色の肌に黒く艷やかな髪、瞳は大きめでややつり目気味だが、黒目の部分はその比率に比べて小さいのが特徴と言える。

 程よい高さの鼻筋と、丸みを帯びた輪郭。身長の低さも相まって、どこか幼さを感じさせる存在であった。

 しかし、そんな見るものが抱く保護欲を全力で粉砕しにかかるのは、少女の胸元に存在するたわわな果実。

 ジェントルメンであろうとも「ほぅ……」と劇画調タッチで眺めてしまうくらいにはご立派なそれの存在があるが故に、少女はアンバランスな美を演出してしまっていた。

 メイド服はカチューシャではなく、髪を隠す為の帽子を使用したオールドタイプ。

 この建物に非常に見合った、まるで背景の一部となったかのような自然さを覚えられるだろう。


「あらエネロア。いましたのね」


「はい、朝食の準備はもう少々かかることをご報告にあがりました」


「そう、まぁ日も出てきたばかりですわ。皆には焦ることなきよう伝えなさい」


「かしこまりました」


 淡々と無表情に返事をする彼女こそ、ベネエッタお付きの侍女。

 その名を呼ばれた通り、エネロアと言った。

 街の人々とも、当然ベネエッタとも違う人種の彼女。

 そんな彼女がなぜここでメイドをしているかは、後に語るとしよう。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ