第4話:お嬢様と子供たち
どもども、べべでございます!
せっかくだしこの作品でなにかしら狙ってみようかしら。無理そうだけどw
というわけで一話投稿、お楽しみあれ~
「ひぅいいあぁぁ!? 冷えますわ冷たいですわ凍えますわぁぁ!?」
「だーっはっはっは!」
背中をばたつかせながら必死に雪を落とすベネエッタに対して、村の悪ガキズ達の勝ち誇った笑い声が飛んでくる。
暑かろが寒かろうが、どんな状況でも悪戯に全てを賭けているような、ある意味精鋭といえる少年たちであった。
「いよっしゃ~!」
「今年もやってやったぜ!」
「相変わらず甘いな~ベネエッタは」
「あ、あわわ……みんなマズイよ、謝ろうよぉ」
子供とは最も無垢で最も残酷な生き物である。
興味を示した物であれば、たとえ泥の付いた靴で踏みしめることも厭わない精神構造をもっているのだから。
そんな彼らだからこそ出来た偉業と言えよう……まるでクラスの女子のスカートをめくるような気軽さでもって、領主の娘に辱めを与えるという大罪を平気で犯して見せた事は。
このご時世この世界においても、わりと行けるとこまでいけちゃう感じの犯行であることは想像に難くない。こう、裁判的観点で?
「こぉらぁぁああ!! アンタ達何してんだい!!」
「やっべぇトルノの母ちゃんだ!」
「逃げろぉ!」
「あわわ! お母さんごめんなさーい!?」
1人のオカンの登場により、少年たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
残ったのは肩で息をするベネエッタと、一部始終を横で見ていた村人達だけとなった。
「……あ~、なんだ。お嬢様、災難だったな?」
「今年もすまねぇなぁ」
「あいつらもアンタに会えて嬉しいんだよ。その……」
「……えぇ、存じております。理解していますとも……」
大人たちのぎこちないフォローに、俯きながら応えるベネエッタ。
そう、理解しているし、毎年恒例の行事であった。
彼女が来ると、子供たちは毎回その発明品に大喜びして駆け寄ってくれていた。
ベネエッタもそれに気を良くし、高笑いとともに受け入れていた。
そうなるとまぁ、当然のようにスキンシップも過激なものにランクアップしていくものである。
これはベネエッタが巻いた種であり、彼女の人間性が生んだ悲劇と言えよう。
「あれは彼らの交流の形。えぇ、えぇ、もちろん存じておりますとも。ワタクシは咎めませんわ。寛容な精神と高潔な包容でもって誓います。彼らを法的な罪に問うことはない、と」
「そ、そうかい? 助かるよ」
「えぇ、えぇ、当然ですとも。貴族とは上に立つものであり、貴方達庶民は我々の財産。財を自ら手放す行為も、壊す行為も、理知的ではありません。えぇ、えぇ、ふふふ」
「お、お嬢様? お嬢様? 言ってることと雰囲気が違う気がするんだが!? 髪がオーラ的な何かで浮き始めてるのは気のせいかい!?」
気のせいだと言いたい。
が、今や彼女の瞳は爛々と輝き、コメカミには漫画の如き青筋が浮かんでいる。
おもしろい事など何もなかろうに、口元には自然と笑みが浮かび、後ほど描写しようと思っていた『魔力』が体外に漏れ出てしまっている始末。
とどのつまり、激おこマジギレフェスティバル状態なのであった。
「えぇ、えぇ、これは些細な悪戯! 滑稽な滑稽なお遊戯! だからこそ大人として! えぇふふふ、大人として付き合ってあげなくてはなりませんわねぇ!? あの子達全員捕まえてふんじばり、寒空の下にお尻を晒してキンキンに冷やした所を10回ずつ平手打ちの刑ですわジャリガキどもぉぉぉおお!!」
「うわぁぁああ!! お嬢様が切れたぞぉぉお!」
「村長に連絡しろ! トトカルチョの準備だ!!」
「俺はお嬢様に300だ!」
「いいや、ガキどもに500だぁ!」
こうして、今ココに。
お嬢様vs村のチビッコ軍団、1対6のタイトルマッチが幕を開けたのであった。