2話 契約1/2
「神様?」
と立っている美青年に目が釘づけになっている私が言った。
「はい。そうです。」
優しく微笑みながら神様は答えた。
私は、その神様に見とれながら
(え!なにこのイケメン!ジャニーズなんか目じゃないわ!いいえ!物語に出てくる理想の王子様も超えてるわ!)
と思った。
しばらく、私は言葉も出ず、神様を見つめていた。
「田中麗香さん。魔法陣にてわたしの元に来たのですから、何か願いがあるのでしょうね。」
と神様は微笑みを絶やさずに話しかけた。
その笑顔に負けた私は思わず
「結婚して!!」
と言ってしまった。
「それは無理です。・・・・・・ですが、この魔法陣を使ったのですから別の願いがあるのではありませんか?」
と言われ、私は”はっ!!”と我に帰った。
そうだ!当初の目的を忘れていたわ・・
「本当に神様なのですか?何か証拠を見せていただけないでしょうか?」
と言ったものの、何が神様の証明になるんだろうか?
「それでは、証明になるかどうかわかりませんが、あなたに能力を授けましょう。」
といい、神様は私の額に触れた。
静電気みたいなものが、一瞬私の全身を走った。しかし、何も起こった様子がない。
「すいません、何をしたのでしょうか?」
「ゲームでいうステータスと鑑定の能力を与えました。心の中でステータスと念じてください。」
私は、その言葉のとおり”ステータス”と心の中で唱えた。
名称:田中麗香 年齢:*6歳
種族:人
職業:未定
状態:普通
レベル:1
HP:10/10 MP:0/0
腕力:・・・・・・
・・・・・・・・・
能力:鑑定LV1、・・・・・・・
・・・・・・
と視界の隅にウインドウのように表示された。
私は、”すごいゲームみたい”と思った。
ついでに”鑑定”も使ってみた。
目の前の自称神様の表示は・・・
鑑定結果
『名称:ナイアリャフェル 年齢:****才
種族:神(次元の神、遊戯の神、******、****)
職業:次元管理
状態:超越、******
レベル:******
HP:******* MP:******
*********・・・・・・・
・・・・・・』
見れない所が多いけれど、確かに神様と表示される。これを信じていいものかどうかは判らないけれど、毒を食らえば皿までということわざがあるので、信じてみる?ことにした。どうせ幻覚とかなら私に抗いようも判断することもできないのだから・・・。
「神様すごいです。信じます。」
「この程度のことで信じてもらえるとは・・・もっと何か見せなくてはと思っていたのですが・・・・」
と神様が言って苦笑した。
「では、神様はこの魔法陣で来た者の願い、具体的にはゲームのような世界への転移を叶えてくださるのでしょうか?」
「ええ、それならお安い御用ですよ。どのような事が望みですか?」
「私がいた世界でいう乙女ゲームのような世界へ転生をお願いします。できましたら転生で記憶を持って生まれ変わり、チートな能力もつけて・・・」
我ながら、欲張りな願いかなと私は思った。
「わかりました。では、どんな世界がいいか具体的に言ってください。平行世界は多数存在するので、希望に沿った世界に転生させましょう。また、チート能力は、どんな能力がいいですか?3つ言ってください。」
「剣と魔法の中世風の世界で、学園があってそこで・・・・・・・・」
と長々と私は喋りだした。
神様は、眉に皺を寄せて苦笑いをしていた。
「・・・・最後にチート能力は、空間転移、絶対防御、若返りがいいですわ。」
と私は遠慮なしに言い切った。
話を聞き終わった。神様は、
「わかりました。能力はすぐにでも上げられますが、希望した世界は、少し私の使途をつかって、改変しなければいけませんので、少し待ってもらいますよ。」
「本当に可能なんですか?」
「はい。神様なので。」
「では、対価として、願いをかなえる前にある世界に行って”神の欠片”を手に入れて持ってきてもらいます。」
「はいー???」
私は変な声を上げてしまった。
しかし、確かにタダで、願いを叶えて貰うのは都合が良すぎるわと思った。”そうよね、相手が悪魔だったら、魂とか取られてるわよね。それに比べたら正当な要求じゃない”
「”神の欠片”を手に入れるのは、難しいですか??神様!」
「難しいミッションと比較的優しいミッションがあります。また、時間と労力がかかります。」
「どんな内容ですか?」
「難しいミッションでは、神の欠片はその世界の魔王が持っています。つまり、勇者となって、魔王を倒し神の欠片を手に入れるだけなのですが、その世界では、私の力が届きにくく、勇者LV1からミッションに取り組んでもらいます。」
「LV1からですか・・・・」
「ええLV1からなので、20人ほど送りましたが、すべて失敗に終わりました。半分以上が死亡、四分の1が行方不明、残りが、あきらめて、現地に家族を持って生活してしまう状況です。」
え!なにその無理なゲームは、まあゲームじゃないと思うけど。
そもそも私は、レベル上げとかのゲームは乙女ゲーの簡単なものしかやったことないし、どこかの成り上がり小説のようにLVをこつこつ上げるなんて無理よ。と私は思った。
「・・・・・それでは優しいミッションはどうなのでしょうか?」
「優しいミッションでは、神の欠片はその異世界にある神殿に封印されていて、神殿は聖なる神聖国家の元厳重に守られています。それを取ってくればいいだけです。」
「え?それは神殿なので神様自身が行って取っては来れないのでしょうか??」
「敵対神の神殿なので結界を壊さないと入れません。また、主神の決まりがあって、わたし(神)は平行世界に入れません。」
「敵対神って、そんな神殿に入るのは危険なのではありませんか?」
「確かに、その世界の神や正義に戦いをしかけることになりますが、大丈夫です。その世界のわたしの勢力として、魔王軍があります。麗香さんは魔王軍率いて神の欠片を手に入れてくれればいいのです。」
え??魔王軍??
・・・・
それって、この神様は邪神とか悪神では!?
と顔をしかめてしまった。
その顔を見た神様は、察したらしく、
「 正義や悪は、その人、その国の立つ位置で、いくらでも変わります。今回は、たまたま魔属側だっただけです。」
修正
行間読みやすいように改行。内容は変わらないです。