委員紹介
メインメンバーたち。増える際はその都度紹介します。
〜中山 由衣の場合〜
彼女を一言で表すならば、間違いなく「母」の一文字を誰もがあげるだろう。しっかりもので面倒見が良く、時々煩わしいくらいに注意を寄越す人。どう足掻いたって母である。そう、愛称が「お母さん」になる程度には。
彼女が図書委員に入った理由はもちろん、本が好きだから。ライトノベルからハードカバー、参考書までを万遍なく読み漁る、いわゆる活字中毒患者であるため、図書館最高と毎日叫んでいる。(もちろん心の中で)
「お母さん聞いて‼︎今日起きたら本をまくらにして寝てたさ!」
「本が痛むからやめなさい。というかちゃんと離れたところに置いてから寝ろ」
そして、非常に貴重なツッコミ担当でもある。ボケの多い図書委員の中でブレることのないツッコミ役は、大層大事にされている。
ーーーが、しかし。この少女、悪ノリ好きな愉快犯の傾向もあり、むしろボケを加速させることにも定評があった。
「お母さんっ!ゆきちゃんがっ、ゆきちゃんが反抗期なの‼︎」
「なん…だと…⁉︎」
「いや違うからね⁉︎俺呼んでると思わなかったんだよ!」
「何回も呼んだのに返事してくれないんだよ⁉︎」
「こらっ!お母さんそんな子に育てた覚えはありません!」
「俺悪くないよね⁉︎つか育てられた覚えねぇよ‼︎」
「あんたたちー、ちょっと静かにしなさい」
「「「はーい」」」
本にカバーを貼りながらのこんな会話は日常茶飯事である。
〜中山 穂香の場合〜
苗字に背格好、思考回路に果ては顔立ちまで由衣と実にそっくりな穂香。
「「いや縁もゆかりもない、全くの赤の他人だけど」」
そう、よく周りに言われるが、血縁関係など一切ない赤の他人である。ただ中学からの親友であり、高校も一緒で同じクラス、出席番号が前後で常に一緒にいるほどの仲良しではあるが。「どっちがどっちかわからなかった」「絶対双子だと思ってた」とは、クラスメイトの談である。クラスに馴染むにつれ、由衣の方は男女構わず「お母さん」と呼ばれるようになり、穂香は特に男子にニックネーム替わりとして「山中」と呼ばれるようになった。余りにも浸透しすぎたため、出席番号順で並ぶときなどは驚かれる。
「あれ、何で山中お母さんの前?」
「私の苗字は中山だけどな!」
「そうだったっけ?」
思考回路も似通っているため、由衣と同じくツッコミなのかと思いきや、怒涛のボケである。それも畳み掛けるような勢いでボケる。
「お母さんお母さん、身から出た貞子ってよくない?」
「どこら辺が⁉︎てか錆だよね‼︎」
「いや、もちろん知ってるよ?でもさ、自分の体から貞子出てきたら面白いよね!」
「これそういう話じゃないからね。面白さを求めちゃダメだろ」
「失敗したの?それは身から出た貞子だよ‼︎」
「ドヤ顔で使うな」
余りのテンポの良さに、とある人に言われたことがある。
「きみら二人で漫才コンビ目指したら?」
「お母さん、二人とも就職できなかったらそうしよう」
「真顔で言うな」
質が悪いことに、穂香は自分がツッコミだと思っている節がある。「いやあいつは間違いなくボケだ」、そう呟く相方(由衣)であった。
〜小田 札雪の場合〜
「やっべ数学超楽しい」と言い切る理系特化の少年、それが札雪である。テスト前など、余りに言い過ぎて他の委員から総攻撃を食らう程度には数学なんて簡単だと公言している。本がそれほど好きではないがーーー曰く「絵本は読むよ?」ーーー図書委員に所属している。本人も質問される度に遠い目をしていた。
「俺何で図書委員になったんだろ…」
とは言うものの、仕事熱心ではないが最も図書館にいる時間が長い。
特徴は理系特化の委員であること、大食いであること、他の委員から弄られていることなどがあるが、やはり一番はその名前である。最初に顔を合わせた時も、やはり名前に対する追及からだった。
「ねぇねぇ、ゆきちゃんってさ、本名何て言うの?」
「小田札雪だけど」
「古風な名前だね!」
「一人だけ時代違う‼︎」
「すごい名前なんだね、ゆきちゃん!」
まずは名前の貴重さに驚かれ。
「え、字は実行でさねゆき?」
「いや?札幌の札に白い雪の雪で札雪」
「新しいなおい!」
「すごい、カッコいいじゃん!」
続いて漢字の意外さに驚かれる。そして性格が加味された結果、ゆきちゃんと呼ばれ弄られるのだ。決して札雪とは呼んでもらえない。今日も今日とて札雪は、様々な人に弄られている。
〜伊藤 依織の場合〜
図書委員と言えば、世間一般では物静かで大人しく、読書が好きで引っ込み思案と言われることが多い。依織はまさしく、典型的な、いわゆる文学少女らしい委員である。それぞれにキャラが濃く、常識は持っているはずなのに予想外の行動を起こす委員たちの中で、唯一常識人の枠に収まる依織は、図書委員内部で「女神」「天使」と呼ばれている。
「うわ、返本の棚がいっぱいだ」
「あ、じゃあ、私が行くね。穂花ちゃんはカウンターやってて」
「…ゆきちゃーん‼︎女神の返本手伝えぇー‼︎」
「ちょ、俺カバー貼りやってんだけど⁉︎」
人が嫌がる面倒な仕事を進んで請け負う依織の優しさによって、何故かさらに不憫になっていくのが札雪である。
そんな心優しい文学少女、依織ではあるが。
「あーもう!数学が全然わからないー」
「は?どこがわからないのさ、あんなの簡単でしょ」
「誰もがあんたと同じだと思うなよ」
ぎゃあぎゃあと会話する周囲に、ポツリと。
「でもゆきくん、図書委員だけど国語はできないもんね。ちゃんと本を読めばいいのに」
「…は、はい…」
ポツリと、毒を吐く。
普段は全くそんなそぶりを見せないが、実はうっすら腹黒さが垣間見えるのだ。
特に仲が良くなるにつれて多くなってくる。
「…め、女神がぁーっ‼︎」
「違う、今のは幻聴だ!気のせいだ、うん!」
そしてうろたえる図書委員。例え何度聞いていようとも、この反応は変わらない。
類は友を呼ぶーーーそんな言葉が皆の頭を過ぎったなんて、言えない。
〜久我 弘明の場合〜
漢数字の九を丸で囲んだマークが目印、図書委員内で画伯と呼ばれる少年が弘明だ。
図書館のマスコットキャラのイラスト全般を手がけている。キャラには描き手の本当の姿が表れると言うが、彼の描くキャラは。
「画伯、今回もいつも通りやさぐれてるね!」
「…別に狙って描いてるわけじゃないんだけど。なーんか、そうなるんだよね」
やさぐれている、と言うか世間を斜に見ているような印象を受ける。しかも、妙にシュールだ。
実際弘明の性格も、どこか周りを斜に見ているきらいがある。
世間一般では馴染みにくいと言われるだろう性格はしかし、規格外の人間ばかりが集う図書委員では個性の一つとして受け入れられている。それほど毎日入り浸っているわけではないが、来れば滞在は長い。
弘明の仕事は基本的に他の委員たちと変わらないが、イラストの注文が入れば別。イラストを描くことが何よりも優先され、周囲の人間が彼の仕事を分担して受け持つ。
「あ、久我くん、イラストよろしく〜」
「あ、はい」
「んじゃ、残りのカバー貼りはこっちでやっとくね」
「また面白いのよろしく!」
数分もしないうちに描いてしまう腕前は、画伯と呼ばれるのに相応しいものだ。
ちなみに委員の中では本人の目印に合わせてくーちゃんと呼ばれている。クールに見えていいツッコミ役、札雪を素晴らしくいじり倒すが基本的には常識人に近い感覚をもつ弘明。だが、図書委員のメンバーとして馴染んでいる時点で、彼もある意味変わり者の一角を占めている。
「まぁ言っても、俺はそこまで変わってないけどね」
「いや変わってるからな⁉︎」
「うるさいゆき」
〜葛西 沙苗の場合〜
「私、バーコードリーダーでバーコードを読み取りたくて図書委員になったんだ!」
ならレジ打ちのバイトでもしろよ、というツッコミが入りそうな理由で図書委員となった沙苗は、演劇部と兼部しているため、結局なかなか図書館を訪れられない。
それでも図書館に来た際は喜んでカウンターで貸出・返却処理をしている。
加えて、弘明とは異なった方面でのイラスト担当だ。可愛らしくきれいなイラストを描くことに定評があるため、手作りしおりの裏側にちょこちょことイラストを描いてくれる。これがまた人気なのだ。
また本人の趣味で、たまにお菓子を作っては持ってくる。それがかなり美味しい上に、レパートリーも豊富なのだ。
演劇部と兼部、可愛いイラストが描けてお菓子作りも得意、と何気なくハイスペックな沙苗だが。
「…女の子って柔らかくて可愛くて最高だよね‼︎」
その中身は実に残念な少女でもあった。というか、すでに中身はおっさんである。
依織は今日も天使で女神だ、クラスメイトの誰々が可愛い、今借りに来た子何年なんだろ等、その発言はもはやセクハラというか変態の域に入っている。
しかも本人取り繕うつもりも隠すつもりもなく、堂々と公言しているから余計手に負えない。
もちろん恋愛対象ではなく、愛でる対象として、である。
そして一方でこうも呟いている。
「くそー、恋愛したいなぁ!」
女の子らしい気持ちだって持っているのだ。
だが、ここで可愛いなぁと油断してはいけない。気を抜けば次の爆撃にやられてしまう。
「でもBLも最高だと思うの!」
そう、腐女子であることもオープンなのである。それでも気にしないのが図書委員クオリティだが。
とりあえず、委員の女子はそのセクハラの矛先がむけられないよう、男子はカップリングを組まれないよう注意はしている。
余談だが、依織はセクハラの対象にはならない。
「だって女神は穢しちゃいけない」
「「正論だ」」
こんな奴らがいます。