四葉高校図書委員
何てことのない平凡を綴った物語です。
肩の力を抜いてお読みください。
私立四葉高校。
地元ではそれなりに有名な進学校であり、また部活動も盛んな高校である。
文武両道を掲げ多くの運動部が活躍する中で、ひっそりと、しかし活発的に活動を行う、知る人ぞ知る文化部があった。
新校舎の中、必ず一度は生徒たちが迷い込むそこはーーー図書館。
そう、図書館を運営する図書委員ーーー彼らこそ、四葉高校を代表する文化部である。
カウンターに座っていた一人が、ふと後ろを振り返って呟いた。
「……図書委員の仕事って、何だっけ」
「基本業務は本の貸し出しと返却、返本と図書だよりを作るくらいじゃないかな。あとカバー貼り」
「だよねー、一応それが普通だよねー。ならこの風景は一体何だろねー」
釣られるように、もう一人も振り返る。
カウンターの奥、図書委員が集まっている司書室では、黙々と作業を行う委員たちがいた。
遅れて振り返った方が、いい笑顔を浮かべる。
「……しおり製作中だね‼︎」
「いやまぁ図書委員だし、ってか本貸し出すとこだから間違っちゃいないけど……いないけどさぁ……」
マスコットキャラが印刷された紙を切る人。
それを台紙に貼る人と、その裏を可愛く飾って行く人。
それを並べて透明フィルムに挟み、ラミネートしていく人。
何が異様かと言えば、それらを真剣に沈黙して行っていることだ。
司書の先生すら、あまりの異様さに沈黙を守っている。
「……今日の集中力は異常だね」
「本当にね!」
そう呆れた顔をする二人であるが、どちらも気づいていない。
そもそも、図書館にマスコットキャラがいる時点で何かが大きく違うことに。
私立四葉高校図書委員。
変わった活動が多いそこに集まるのもまた、変わった人々ばかりである。
そんな彼らの、普通時々特別な日々。
気まぐれ更新になりますが、どうぞお楽しみください。