エピローグっぽいもの
これで一旦完結であります。
お付き合い下さり有難うございました。
それからさらに一週間ほどが経過した休日の昼下がり。
休日。
お休み。
くつろぎの日。
つまり、遊べる日。
しかし、
「あうううううううう……」
塔宮学園理事長兼学園生徒であるところの塔宮邑璃お嬢様に休日という概念は存在しない。
なぜなら。
「終わらないよぉぉぉぉ~~~~~」
仕事が山積みだからである。
「ま、普通そうなるわな」
今まで普通の学生がちょこちょこ手伝っていただけの仕事量が、数十倍に膨れ上がったのだ。
平日は授業&勉強の学生の身分としては、休日が犠牲になるのは自明の理だった。
現在、邑璃の机の上には理事長の承認が必要な書類から学園内の問題提起、それから今後の行事予定など、さまざまな書類が積み上がっていた。
さらには二つ目の条件をこなすために勉強もしなければならないので参考書の山も次に控えている。
トドメが悊人氏が送ってきた塔宮グループの書類仕事まで控えている。
休日丸つぶれ。
休日残業サービス残業のオンパレード状態と言ってもいいだろう。
「なっちゃぁぁぁ~~~~ん……」
「ん?」
机の上で涙目になっている邑璃に対して、俺は共用スペースで優雅に紅茶を飲んでいた。
まあ、アレだ。
からかい半分嫌がらせ半分みたいな?
「手伝ってぇぇぇぇぇぇ……」
「無理」
どっちも機密書類だらけなのだ。
いくら身内とはいえ俺が見ていいものじゃないだろう。
つーかそれくらい理解しろ。
「俺が教えてやるのは勉強だけだ。自分で決めたんだろ。まあ頑張れ」
「あうううううぅぅぅ。なっちゃんのはくじょうものぉぉぉぉ!」
「そんな俺が好きなんだろ?」
「そんななっちゃんはきらいだよぉぉぉぉ」
「じゃあもっと嫌って解放してくれ」
「絶対やだーーーー!」
「じゃあ頑張れ」
「がんばるぅぅぅ」
そしてノイローゼ気味の表情で仕事を続ける邑璃。
学生のうちから企業戦士とはまったくもってご苦労様な身分である。
「………………」
そんな姿を見ていると、まあ、ちょっとくらいは労わってやろうと思わなくもない。
「なっちゃん。どこ行くの?」
「ちょっとそこまで買い物」
「……いってらっしゃ~い」
「おう」
この状況で一人にされるのはさみしいらしい。しかしさすがにすぐに戻ってくる買い物まで制限するつもりもないらしく、大人しく行かせてくれた。
二十分後――
「………………」
ソファの上で邑璃が屍になっていた。
……訂正。
屍のようになっていた。
強いて言うなら生ける屍。
ゾンビ三歩手前みたいな。
そんな邑璃の前に、俺は先ほど購入してきた学園都市内スイーツ店『しょこらでご~』のフォンダンショコラを置いてやった。
「っ!!」
がばっと屍から生者へと甦る邑璃。
「一息入れるならちょうどいいと思ってな。これ、好きだろ?」
いい加減数か月の付き合いなので、邑璃の好みくらいは把握できている。
邑璃はここのスイーツ、特にフォンダンショコラが大好物なのだ。
まあ、一休憩ってことで。
「好き! 好き! 大好き大好き大好き!」
「……フォンダンショコラが、だよな」
「どっちも!」
「スイーツと同列に語るな」
「食べよう! 早く食べよう!」
「はいはい。いま紅茶淹れてくるからちょっと待ってろ」
この状態の邑璃をこれ以上働かせるつもりもないので、必然的に雑用が俺の仕事になる。
それくらいはやってやろうという気持ちもある。
「えへへへ~。やっぱりなっちゃんは最高だね」
「このタイミングだと餌につられたようにしか聞こえないぞ」
「それでもいいよ~」
「いいのかよ……」
「ずっと一緒にいようね。なっちゃん」
「……卒業までに俺を落とせればな」
「頑張る!」
「………………」
仕事中の『がんばる』とは雲泥の差だった。
まあ、こんな感じで俺たちはうまくやっているような気がする。
きっと卒業までこんな日常が続くのだろう。
それはそれで悪くない、と思ってしまうあたり、俺もちょっとほだされているかもしれない。
答えは卒業式で。
それまではまあ、今ある日常を大事にしてみようと思う。
塔宮棗生と塔宮邑璃の、ちょっとばかし波乱続きの日常を。
完結です。
しかし予想より好評なようなので多分続編書きます。
毎日更新は無理かもしれませんが、一週間更新くらいで書くと思いますのでその時はよろしくお願いします。
それと企画として変態日記の時のようなメタ対談をやってみようと思うのですが、キャラに対する質問やメッセージなどがありましたら感想やツイッターの方で寄せてくださると嬉しいです。




