万年発情期ヒロインへの憂鬱 03
次の日。
「ん……」
目覚まし時計をセットした六時よりも早い時間に眼を醒ましてしまった俺は、お目覚め早々、身体全体に妙な窒息感を感じていた。
「うげっ……」
窒息感の正体は、俺の身体に乗っかって気持ちよさそうに眠っている邑璃が原因だった。
「んにゃ……むにゃ……」
俺の胸の上で気持ちよさそうに寝息を立てる邑璃。
もみもみ……。
しかも俺の胸(偽)を揉んでやがるし。
眠ってまで百合根性全開とは始末の悪い女だ。
「はあ……」
女の子が俺にしがみついて眠っているのに、ちっともうれしくないこの状況。どうしたものか。
「つーか、重いし」
眠ったままの邑璃の方を乱暴に掴んで引き剥がそうとするが、
「んっ!」
邑璃の方がしがみつく力を一層強めて離れてくれない。
「くっ……」
華奢な身体をしている癖に、力だけは意外と強い。あまり力を入れすぎると痛がらせてしまうし、加減が難しい。
「離れろ……この!」
「ん~っ!」
ぎゅ~!
ん~っ! じゃねえっ!
「………………」
うわ……。
やばい……。
邑璃がしがみつく力を強めるほどに、胸がめちゃくちゃ押しつけられてるんですけど!
それ以前に男の朝は不可抗力な現象が起こるのですよ!?
いわゆる生理現象というか!
朝●ち、みたいな!?
いつもはほっといても収まるんだが、さすがにこの状態で女の子にしがみつかれて胸なんかが当たってしまっては、収まるものも収まらない。むしろ活性化するというか……。
いやいやいや、それはまずいって!
だって俺ってば今は女だよ!?
女だと思ってしがみつかれてる状態でそそり立ったアレが太ももあたりに触れているのに気付かれたら……。
「うう……」
泣かれるだけならまだいい方だが、最悪の場合、寮内全体に響き渡るくらいの悲鳴を上げられてしまうだろう。
それはいくらなんでも不味い。
入寮早々女装趣味の変態野郎がまぎれこんでいる、なんて騒ぎになってしまうじゃないか!
「うぐぐぐ……」
下手に起こしてしまう危険性がある以上、邑璃を引き剥がすのは諦めることにした。
そして心頭滅却もとい精神統一を始める。
ここにいるのは万年発情期変態百合女!
ここにいるのは万年発情期変態百合女!!
ここにいるのは万年発情期変態百合女!!!
断じて俺にとっての性的な対象ではあり得ない!
だから収まれ息子よ!!!
……なんてことをマジでやっていることの虚しさに気付く頃、ようやく邑璃が目を醒ました。




