第四十四話 皇國ノ興廃コノ一戦ニ有リ
最後の投稿から早2年と9ヶ月、自分の意志の弱さにほとほと呆れつつも四十四話投稿です。
待っていただいた方本当に申し訳ありませんでした。
午後1時30分、大和会議室にいつもの顔ぶれがあった。
大和 会議室
馨「航海術長によると、米太平洋艦隊との交戦は15:30(ヒトゴウサンマル)から16:00(ヒトロクマルマル)の間になるとの事です。」
隼「後約8時間ですね。」
小沢「もう一度敵艦隊の陣容を頼む。」
馨「はい、陣容はネヴァタ級2隻、ペンシルヴァニア級2隻、ニューメキシコ級3隻、テネシー級2隻、コロラド級3隻の計12隻と思われます。」
隼「ネヴァタ級は35.6㎝砲10門、ペンシルヴァニア級、ニューメキシコ級、テネシー級は12門、コロラド級は8門ですが40.6㎝ですから最終的に、35.6㎝砲104門、40.6㎝砲24門、合計128門ですね。」
小沢「対し此方は金剛型の35.6㎝砲32門、大和型の46㎝砲36門、合計68門か・・・」
馨「例え長門型を入れても41㎝16門で合計84門です。」
隼「しかし、万が一突破された時の為に長門型は真珠湾に残す必要があります。」
小沢「扶桑型は砲撃戦には向かないから、やはり8隻で立ち向かうしかないな。」
馨「水雷戦隊も使えば一方的に叩かれる事も無いと思います。」
小沢「しかし、まさか艦隊決戦の作戦立案をする事になるとはな。」
隼「確かに、この大和の使用目的から見ても想定外でしょうね。」
小沢「そういえば、他に艦隊は見付かってないか?」
馨「はい、米本土側にも索敵していますが発見されていません。」
小沢「そうか・・・。いや、居ないに越した事はない。」
馨「しかし、なぜ他の艦隊を・・・?」
小沢「ノースカロライナ級だよ。」
馨「ノースカロライナ、ですか?」
小沢「うむ、アメリカ海軍が竣工させた最新鋭艦で、主砲40.6㎝3連装3基9門速力28tk、現時点でアメリカ海軍最強の戦艦だ。」
隼「サンディエゴ軍港から来る可能性があるという事で、昨日から偵察しています。」
実際、小沢の心配は杞憂に終わる。ノースカロライナ級の2隻、ノースカロライナとワシントンは12月現在、アメリカ東海岸で訓練を実施中だった。
小沢「さあ、準備は取り敢えず終わったな。望月大佐、潜水艦部隊は?」
隼「既に予定海域にて待機中です。」
小沢「素早いな、さすが彼と言ったところか。」
小沢は数時間前に潜水艦隊を率いて出港した横森から先ほど海域到着の一報が入り、すべての準備が整った。
隼「さすが、というとやはり長官・・・」
小沢「・・・彼の父親とは知り合いでな、事情はよく知っている。それに、彼は潜水艦運用にたけている。適任だろう。」
馨「事情、ですか?」
小沢「戦闘から帰ってきたら教えよう。彼の家系の事情を。」
馨「はい・・・。」
あまり納得していないようだったが馨艦長は了解した。
馨「それはそうと、望月大佐。」
隼「はい?なんでしょうか。」
馨「最近艦魂達があなたの事をよく話しているんですけど、彼女たちとはもう?」
どうやら隼が艦魂を見れることは知っているようだ。
隼「ええ、主な艦魂達とはすでに。ちなみに話というのは?」
馨「なんでも『艦魂が見えるかっこいい人がいる』、『大和姉妹ととても仲がいい』等々・・・」
隼「・・・・・」
自覚はなかったが、艦魂達の間ではかなり話題になっているらしい。
小沢「随分人気だな、望月君は。」
隼「・・・申し訳ありません。」
少々申し訳なくなってしまった隼、そんな隼に小沢は続けた。
小沢「・・・彼女たちはいつ死んでも、つまり沈んでもおかしくない。いつかはいなくなる。それまで、彼女たちを見守っていてくれ。」
隼「長官・・・」
小沢「俺たちは、もう年だ。そのうち引退してあとは死ぬだけだ。これは避けられないことだ。頼むぞ。」
隼「はい、もちろんです。」
若き参謀と年老いし司令官の固い誓いとなった。
大和 戦闘艦橋
兵士「小沢長官、野田艦長、望月大佐、上がられます。」
艦橋に上がると艦橋要員全員が敬礼する。三人は敬礼を返す。
小沢「状況は?」
兵士「は!横森提督指揮下の第一潜水部隊8隻は目標海域に接近、戦闘開始予定時刻には準備を完了するものと思われます。」
小沢「ふむ・・・」
ハワイ周辺海域の海図を広げながら小沢は頷いた。
隼「各空母は後方へ退避、戦艦部隊は再編を終え、現在補給中です。」
小沢「米艦隊は?」
隼「我が艦隊同様、機動艦隊を後退させ戦艦部隊が接近しています。」
小沢「予想どうりか・・・」
そう呟くと小沢は艦橋無線を掴んだ。
小沢「各艦隊艦長に伝達、無線を艦内放送につなげ。」
無線を離してしばらくしたあと、小沢は再び無線に話しかけた。
小沢「真・八八艦隊全乗組員に次ぐ。本艦隊はこれよりアメリカ太平洋艦隊戦艦部隊との艦隊決戦に臨む。機動艦隊による敵艦隊に対する攻撃は見事に成功した。敵機動部隊はその戦力を失った。敵航空部隊の空襲の危険はない。」
そこできり深く呼吸をし、話を続けた。
小沢「1905年の5月27日、我々の先人たちは圧倒的戦力差の相手に一歩も引かずに戦いを挑んだ。あるものは言うだろう、『あの海戦は勝つべくして勝った』と。のちの歴史家は言うだろう、『偶然が重なり勝利したのだ』と。
あの海戦は、日本の存亡をかけた海戦は、そのような言葉で終わらせて良いのだろうか?今から行われる海戦も、のちの人々からそう言われるかもしれない。戦力差は確かに大きい、アメリカ太平洋艦隊は現時点で世界最強と言っても過言ではないだろう。では逃げるのか?勝てない相手と諦めるのか?わずか36年前の先人たちの決死の覚悟を無駄にするのか?
我々は一歩も引かない。たとえそれが、世界最強の艦隊だろうと!」
捲し上げ乗組員の士気を昂める。そして、
小沢「皇國の興廃この一戦にあり!各員一層奮励努力せよ!」
その言葉を発した。
小沢「全艦出撃せよ!」
士気は高々に、艦隊は出撃した。目標はアメリカ太平洋艦隊、恐れるものは何もなし。
次話以降の投稿は未定ですが早めに投稿したいと思います。




