表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/60

第二十七話 親愛ナル、キンメル閣下ヘ

 引き続き太平洋艦隊に目を向けます。

 1941年12月10日午前8時、アメリカ太平洋艦隊はウェーク島から約三百海里の海域を航行していた。

 ハワイ迄は約4日、航続距離を重視した為、平均して20ktしか出せない太平洋艦隊に歯噛みしていたキンメルだったが、文句を言っても始まらない。

 兎に角日本艦隊を殲滅、もしくは撃退出来れば本国から陸軍の増援がくる。

 車両後進国の日本にまともな戦車は無いと軍部は言っていたが、ノモンハンで登場した戦車はT―34を簡単に撃破したらしい。

 侮り難し日本軍、と当時キンメルは思った。

 諜報部の情報では、現在日本艦隊にいる戦艦は、フソウ・イセ・コンゴウ・ナガトクラスであり、新造艦の『ヤマト』クラスが配属されている。

 フソウ・イセ・ナガトクラスは2隻ずつ、コンゴウ・ヤマトクラスが4隻となっていると言う。

 今分かっているヤマトクラスの情報は、16インチ3連装3基を搭載しているという事ぐらいしかない。

 門数で言えば、コロラドクラスは勝てないが、日本海軍はレーダーを搭載していないらしい。対して此方は初歩的だがレーダーを搭載している。少なくとも、叩かれるばかりにはならないだろう。

 大鑑巨砲主義を信じて止まないキンメルに「航空機」の言葉は無かった。



 ペンシルバニア 艦橋

 ふっ、と目を開けるとまばゆい日光が艦橋に入っていた。暫く眠っていたらしい。

通信兵

「キンメル大将、ご報告する事があります。よろしいでしょうか?」

キンメル

「あぁ、何だね?」

 通信兵が自分の所にやってきた。

通信兵

「先程、ハワイから日本本土へ送られた暗号が『レッド・システム』の物でした。ようやく解読出来ました。」

キンメル

「そうか!!」

 レッド・システム、日本側の正式名称はD暗号と言う。連合艦隊が使用している物で、開戦前にアメリカ軍がようやく解読に成功した暗号でもある。

キンメル

「それで、内容は?」

通信兵

「はい、『宛・大本営 発・連合艦隊 先のハワイ攻略作戦は成功、しかしヤマト4隻は中破。クレへ4隻を回航する事を許可して頂きたい。』です。」

キンメル

「ヤマトクラスがいない・・・勝てるかもしれんな。」

 確証は無い。しかし、日本の昔の名前である『ヤマト』が居ない。それだけで勝てる気がしてきたのだ。

通信兵

「長官、平文で通信が入っています。発信元は・・・れ、連合艦隊司令長官のオザワです!」

キンメル

「何?!本当か!」

通信兵

「はい!『親愛ナル、キンメル閣下へ。ヨウヤク雌雄ヲ決スル時ガ来タ事ヲ、嬉シク思イマス。ハワイニテ貴官ヲオ待チシ、会エル事楽シミニシテオリマス。発・大日本帝國連合艦隊司令長官 オザワジサブロウ』。」

キンメル

「・・・なかなかやるな、日本人も。」

 不敵に笑うキンメル、ある1つの確信を胸に、ハワイオアフ島を目指した。

 日本艦隊小沢治三郎と、アメリカ艦隊ハズバンド・キンメル、2人の提督の対決も近付いていた。

 ご意見ご感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ