第二十五話 ウェーク島の太平洋艦隊
少し短めです。
キャシーが海軍基地の医務室へ連れていかれた、午後4時頃、アメリカ太平洋艦隊はウェーク島にてタンカーから燃料を補給していた。
作戦司令部の読み通り、太平洋艦隊はネヴァタ級の最大戦速の20.3ktでハワイに向かっていた為、燃料が不足しウェークで補給を行う事を決定した。
ウェーク島
空母エンタープライズの艦橋で、葉巻を吸いながら外を眺めている男――アメリカ太平洋艦隊機動部隊指揮司令長官のウィリアム・ハルゼー中将――は、イライラしていた。
ハルゼー
「糞!何をぐずぐずしているんだ!」
吸っていた葉巻を床に落として踏み潰した。
ハルゼー
「卑劣なジャップ猿共は我が物顔でハワイを歩いているんだぞ!猿は動物園に放り込まなきゃならん!そして、この世からジャップ猿を駆逐してやる!!」
怒鳴りながら、補給作業を急がせた。
エンタープライズ甲板
甲板では、航空機用燃料の再チェックをしており、てんてこ舞いになっていた。
その甲板の端に、腕を組みながらハルゼー同様イライラしている女性がいた。
エンタープライズである。
エンタープライズ
「どうしてこうも遅いの!?本国からはジャップ殲滅の命令が出ているのに、これじゃあ出撃は明日になってしまうわ!」
そこに、テネシー級2番艦のカリフォルニアがやってきた。
カリフォルニア
「エンタープライズ中将、戦艦郡の燃料補給がほぼ終了いたしました。これより、補助艦艇と空母郡の補給を開始すると、キンメル大将より承りました。」
エンタープライズ
「分かったわ、補助完了の予定時刻は?」
カリフォルニア
「はっ!今夜の午後11時頃と思われます。」
エンタープライズ
「ほとんど明日ね。報告ご苦労、カリフォルニア。」
カリフォルニア
「有り難うございます。それではこれで失礼いたします。」
そう言って、彼女は転移していった。
エンタープライズ
「覚悟していなさい、ジャップ。ハワイ沖を貴様らの墓場にしてやる!合衆国に喧嘩を売った罪は深いわよ!!」
飛行甲板で、怒りの叫びを上げるエンタープライズ。
だが、彼女は知らなかった。これから、数年に及ぶこの太平洋戦争が地獄になると言うことを・・・
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