第十話 鮮血のハワイ
今回は短めです。
攻撃開始から約45分後の7時49分、第二次攻撃隊がオアフ島へ突入した。
現時点で壊滅的打撃を受けた真珠湾だが、ようやく対空砲火が始まっていた。既に何機かが撃墜されている。
湾内に主力艦が不在だった為、九七艦攻は引き返し爆装に転換した後、第三次攻撃隊として出撃する準備をしていた。
エワ飛行場
オアフ島南部に位置するエワ飛行場は、第一次攻撃隊の攻撃を受けたが被害は軽微で済んでいた。その為、いち早く迎撃機を発進させていた。
整備兵
「急げ!ジャップの攻撃がまた来るぞ!」
パイロット1
「はん!黄色い猿の戦闘機なんて、すぐに仕留めてやる。安心しとけ!」
パイロット2
「俺達だけで、ハワイにいるジャップを皆殺しにしてやるさ!」
そうして次々と飛び立っていった。
ワイアナエ山脈上空
エワ飛行場を出撃した10機のP−40『ウォーホーク』は、日本の攻撃隊を探して高度2,000mを飛行していた。
パイロット1
『ジャップの奴、怖じ気付いて逃げ出したんじゃねーか?』
パイロット2
『違い無いな。やっぱり猿は猿って事だな。俺達アメリカの敵じゃ―――』
ズガガガガガッ、と機銃の音と共に4機のウォーホークが爆発した。
パイロット1
「なに?!糞が!!」
残った6機が反転する。すると、上空から4機の白い機体が急降下して来た。
パイロット1
「不意討ちなら勝てると思うなよ!劣等民族が!」
巧みに操り敵機の後ろに着く。
パイロット1「貰った!」
トリガーを押そうとしたその時、ゾワッと背中に悪寒が走る。
本能的に操縦桿を引き起こす。すると目の前にいた敵機が降下した。そして、後ろから新たな敵機がやってきた。
パイロット1
「まさか、味方を囮にしたのか?!」
日本海軍が編み出した『ニ頭戦法』は後の『ロッテ戦法』や『ヒットエンドラン戦法』と同じである。採用したのが日本の方が早かっただけである。
パイロット1
「糞、糞!」
後ろにピタリと張り付く敵機―零式艦上戦闘機―から逃れようとしたが、速度・機動性・旋回率、全てで劣っていた。
勝負は3分で片が付いた。
次回はハワイに新型機が舞い降ります。