第六話 作戦開始
最初の方になります。番外編の『第一独立機動艦隊記』もよろしくお願いします。
12月5日正午、陸海軍統合作戦本部から宣戦布告の日時が伝えられた。
『大日本帝國及び亜細亜連合軍は、ハワイ時間12月7日午前7時を持って、米英蘭3国に対して宣戦布告を行う。
陸海軍統合作戦本部』
同日、第二独立機動艦隊が陽動の為ミッドウェーに接近、更に亜細亜連合艦隊もグアム方面に出撃した。
アメリカ太平洋艦隊は両艦隊殲滅の為、ハワイオアフ島のフォード島海軍基地、通称『真珠湾』を出撃した。
12月7日午前5時、真・八八艦隊と第一独立機動艦隊はオアフ島の北230海里の地点にいた。
大和 右舷甲板
誘導兵「零戦カタパルトに固定完了!総員待避を確認、射出秒読み開始。5、4、3、2、1、射出!」
ドンッと勢いよく射出される『零式艦上戦闘機二一型』通称零戦は、現在日本海軍内で『無敵の戦闘機』と呼ばれている。
旋回性能、速度は世界レベルを越えており、操縦性も良いのでパイロット達からも好評の機体である。
大和 第一艦橋
次々打ち出されて行く零戦を見ながら、望月は複雑な気持ちになっていた。
望月(後戻りは出来ない、全力を尽くすまで・・・)
経済力、生産力が桁違いの超大国との戦争は長期化してしまったら相手側に有利になる。此方が『負けない』為には、短期決戦しか無いのだ。
零戦の射出が終わり、次は艦爆隊の出撃を開始している。
その中に、周りの艦爆と比べて一回り程大きな機が止まっていた。
望月(しかし、淵田大佐も無茶をなさる・・・。)
少し苦笑いになる望月だが、理由は分からなくも無い。
今回、3機のみ艦載しているのは『九十九式艦上爆撃機二二型』であった。
第一次ノモンハン事変で一番槍を入れた淵田美津雄大佐(事変終了後に昇進)が、三菱に頼んだ新型艦上爆撃機である。
九九艦爆の改良型とだけあって、スペックは違った。
先ず、九九艦爆の特徴である牽引式車輪を格納式に変更した。その為、空気抵抗が少なく速度が上昇した。
更に、零戦に搭載されている『誉三二型エンジン』を搭載、1500馬力の生み出すパワーにより爆装でも、592㎞/hを出せる。
装甲も従来の九九艦爆よりも頑丈にし、撃墜されにくい爆撃機と成ったのである。
その分、九九艦爆の1.5倍のコストがかかる為、量産化は進んでいない。
九九艦爆の最後尾にある3機は、淵田大佐が直々に指揮する先発隊である。つまり、一番槍を入れ奇襲か強襲かを判断するのだ。
全ての九九艦爆が発進し、いよいよ淵田隊長機も出撃する。攻撃開始の午前7時、『大熊作戦〜牙〜』は発動される。
成否は、両艦隊に託された。
次回はハワイ・オアフ島に目を向けてみます。